「たとへば君」
河野裕子のエッセイより。
昭和42年に、どういう機運でしたか
京都の学生たちが集まって同人誌「幻想派」を
立ち上げました。その第1回の会合が京大の
楽友会館でありました。
夏だったような記憶がありますが。
楽友開館というのは、京大キャンパスの中にあって、
大正末に建てられた趣のある古風な建物でしてね。
あの人が一番初めに来ていたらしくて、立って窓の外を見ていた。
私が入っていったら振りむいた。
それが初めての出会いだったと思います。
テーブルをはさんで、向かい合って座ったんです。
そして須田克太が描いたドクダミの表紙の「塔」の
8月号を渡された。
そのとき、向こうは私のことを生意気な奴だと思ったらしいんですよ。
私も、なんて生意気なんだろうと思ったから、
お互いに生意気だと思ったんですよ。
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