無口な船長
またひとまわり、
南十字の向こうの方をやって来るよ。
それはね、
風という奴は吹くとなればぼんぼん吹くさ。
こわくはないよ、
怖いほどあのまあるい世界は人情ぽくないよ。
だからいい、
人間がなんじゃろとわめく魚がいるしな
そんな馬鹿があるか、
不思議の神秘という膳立てはまだ食わん。
ありのまんま、
そいつが押してくるんだ。又押してゆくんだ。
オレの顔か、
寂しくて楽しくてそのまた上に又なにかあるか。
冬だな、
海岸通りの屋根から煙が出て人がちらちらして山がまっしろで。
うむ又会おう、
おいおい、このタバコを持ってゆけよ。
……
今日、友人が栄転することをきいた。
すばらしい。
すばらしい。
祝福する。
ただ、
ちょっと、
ちょっとだけ、
思った。
「かわいそうに」
そう、
ほんのちょっとだけ。
You deserve it.
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