素晴らしきトンテキ、母と水泳。

先日、生まれて初めて「トンテキ」なるものを作成・食してみた。

いつも楽しみに読んでいる某料理ブログにて「豚小間でもおいしいよー」と紹介されていたので、
食べたことないし、いっちょ試してみるか！と夕飯のおかずにしてみたのだ。
調べたら色々レシピはあるみたいだけれど、私が試したのは
「しょうゆ、みりん、砂糖、ウスターソース、ケチャップ」
で味付けするバージョン。

旦那とドキドキでいただいたのだが、何ていうか
未知の味。

子供の頃に好きだった懐かしい味のような、かといって食べたことはない、
そしていくらでも白飯が入っていってしまいそうな危険な味がした。
うちはあまりソース使わないせいか、すごく新鮮な衝撃だったというか。
若者ぶってるわけではないが、これヤバい。
少なくとも、せっせとプールに通って痩せようとしている四十路女にはデンジャーだと判断した。
そんな、初挑戦メニューであった。


話は変わって。
私の母は泳ぎができない。
本人は「犬掻き専門」と言っており、娘である私はこの年まで「そうなのか」と思ってきたのだが、
実は犬掻きも満足にできない「カナヅチ」であることが、一緒にプールに通って判明した。
子供時代は川が遊び場だったはずだし、本人も野生児なイメージなのに、本当に意外だ。

何より私が驚いたのは「ビート板がないと浮けない」と本気で思い込んでいた点だ。
母にしてみれば「けのびからのバタ足」、まあ小学校の水泳の授業でかなり最初の方にやらされるコレで
浮いて進めるなんて信じられなかったようなのだ。

ずっとビート板につかまって顔を出した状態でパチャパチャしているだけなので、
まずはビート板なしで息継ぎしながら泳げるようにならないと、と私が言ったところ、
実際にやって見せるまでちゃんと浮くということを信じなかった。
いやいや、普通に浮くから。
っていうか、これで浮かなかったらクロールも平泳ぎも無理だから。

学校で習わなかったのかと聞いたら、
「水泳の授業は川でだったし、子供の頃は普通に潜れた」
と言う。
母の出身地がたまたまそういう感じだったのか、当時はそれが珍しくなかったのかはわからないが、
授業として「プールで泳ぐ」という経験自体がなかったことに衝撃を受けた。
そして、まあありがちだが「潜れる＝泳げる」ではないことも再確認した。
川での素潜りや魚を捕まえたりする遊びは、プールでの水泳にあまり役には立たないみたいだ。
流れがある分、川の方がよっぽど大変だと思うんだけど。

そんなわけで、不慣れからくる過剰な恐怖心のせいで、現在の母はビート板を使っていても
深い（といっても、ちゃんと足がつく深さ）所に差し掛かると進むのを止めて無理やり立とうとしてしまう。
落ち着いて考えれば、わざわざ深い所で立とうとする方がよっぽど怖いし危ないのだが、
そうせずにはいられないようだ。
おかげで、せっかくビート板で楽に進めているのに、25メートルを泳ぎきれない。
水に顔をつけたまま進むのも、息ができない！とパニックになるようで、息継ぎする余裕がなかなか持てないようだ。
本能に根ざした恐怖だけに、頭ではわかっていてもうまくいかないのかもしれない。
当人は「いずれは水泳教室に入って。。。」と考えているようなので、まめに通うことで水への恐怖が
少しは和らぐといいな、と思う。

かくいう私は、
3歳の頃に浮き輪からすっぽ抜けて海で死にかけ（父が潜って探し、水中を漂う私を発見したそうな）、
小１の頃に溺れた同級生に水中に引きずり込まれて足の立たない深さで溺れ、先生に人工呼吸を施された経験あり。

昔の出来事のトラウマからか、小学校高学年まで水に顔をつけるのも嫌がる水泳嫌いだったが、
ある時ふと「何かこのまんまじゃつまんない？」と感じ、思い切って水に顔をつけてみたら、あれ？平気？
→じゃあ泳いでみよう→これも平気だった！と唐突に克服した過去がある。

自分でも何で平気になったんだかサッパリわからないので参考にはならないが、
我が母にもそういう「平気になる一瞬」が訪れるといいな～と娘は思うのである。
弟のお姑さんなんか、母より年上だが毎日プールで何時間もガンガン泳いでいるらしいぞ。
そして、晴れて水怖いを克服できた暁には、母娘で初心者向けの水泳教室に参加したい。

それにはまず慣れなくちゃね！と、明日のプールの支度をしながら思う今夜の娘であった。