『仕事終わったら家に寄っていって。干し柿と新米をあげるから。』
仕事中におふくろからメール
忙しかったので
『はーい』とだけ返事をした
夕方、定時で逃げ帰った俺
実家に寄ってみた
…
どうせ弟は居ないだろう
オヤジとおふくろの二人だけだろう
俺は心の中でスイッチをカチッと入れて
元気に家に入って行った
『うぇ~~~~い』
と玄関で奇声をあげると
リビングの方から、オフクロに話しかけるオヤジの声が聞こえた
『なんだ?にゃびか??』
『うぇ~~~~い』
『んだな。にゃびだな。』
…
ちょっと迷惑ですかね俺。
年寄りが二人でいる寂しい夕飯時に
明るい長男が帰ってきましたけれども。大歓迎じゃない感じですかね。
リビングではオヤジが相撲中継を見ていて
台所でおふくろは夕飯の支度。
特にこれといった会話もしてなかったでしょう?
飛び道具の長男が来てくれて若干、嬉しいでしょ?
『そこの米、持ってけ。』とオヤジ。
…会話しようぜパパ
台所からおふくろが顔をだした
『おかえり~忙しかったか?』
『忙しかったよぉぉ』
オヤジはしょうがねぇヤツだなみたいな感じで笑っていた
先日、俺が届けた渋柿を
おふくろが干し柿にしてくれて
それももらった
俺が黙ると静かな実家の空気になる
…俺は邪魔なのかもしれない
忍法『この辺で…ドロン』をやってもいいのだが
それじゃあまりにも寂しすぎる
俺が来たのだという爪痕を残したいじゃないか
とは言っても深爪マニアの俺だ
爪痕を残すには余程の事が無い限り無理なのである
とりあえずオヤジと相撲中継を見て
豪栄道(ごうえいどう)と言うお相撲がVTR判定で負けになったのを見て
『あ~イカサマだな。またやりやがったな相撲協会』
とか、相撲に詳しくもないのに言ってみた
と言うかデブが裸で闘っている姿の何が面白いのか俺にはサッパリだ
キュウリの浅漬けよりサッパリなのだ
俺の最初の結婚の時
一緒に暮らすかどうか…と言う話をしたら
オヤジは『若いウチは二人でやってみろ』と、やんわりと拒否った
それ以来、実家に入るきっかけを失って
二度目の結婚の時にはもう実家に戻る選択肢もなく
別々に暮らす道を歩んでいる
ワガママ気ままな弟は
特に盛り上げることもないし、離婚してから留守にしている事が多いようで
だから実家は、ひっそりと年寄り二人の生活みたいになっている
…
やはり長男の俺がこうして起爆剤になって
『ひゃっは~』してあげないとボケちゃうんじゃないだろうか
30kg入りの米袋が三つあって
そのうちの一つを俺にくれると言う
俺の車にオヤジが積んでくれた
玄関からまた家の中に入りながら
『あと、二袋は俺が運ぶから手伝わなくていいよ』
と言うと
『全部持ってくのかよ~このヤロ』とオヤジは笑っていた
おふくろは漬物と干し柿を持たせてくれた
『これだったらもう少し何か持てるから持たせてくれぃ!!』
と言うと
ゲラゲラ笑っていた
…
俺が帰った後の実家の空気を思うと
またちょっと切なくなる
オヤジが自分の見たいテレビ番組だけを見て
会話も少なく二人で夕飯を食べて、後片付けをおふくろがやって
遅い時間になってようやく弟が帰って来るのだ
俺ももう少し頻繁に顔を出さないとな…
って思ってるんだけれど
なかなか行く感じにならない
近いから余計に『いつでも行ける』って思ってしまう
ダメだな…もう少し顔を出そう
きっと言葉にはしないけれど
オヤジもおふくろも
脳天気のムードメーカーを待ってるはずだ
って言うか
こんな長男で申し訳ないけれども。
一緒に暮らすようになったら
毎日俺はムードメーカーでいられるかしら
弟のように無言で面白くなさそうに接するんだろうか
もう何十年も親と一緒に暮らしていないから
どんな感じか忘れちゃった…
たまに行くからこんな風にバカをやれるのかもしれないな
俺は、まだまだ未熟だなぁ
とかなんとか言ってみたりなんかして。
仕事中におふくろからメール
忙しかったので
『はーい』とだけ返事をした
夕方、定時で逃げ帰った俺
実家に寄ってみた
…
どうせ弟は居ないだろう
オヤジとおふくろの二人だけだろう
俺は心の中でスイッチをカチッと入れて
元気に家に入って行った
『うぇ~~~~い』
と玄関で奇声をあげると
リビングの方から、オフクロに話しかけるオヤジの声が聞こえた
『なんだ?にゃびか??』
『うぇ~~~~い』
『んだな。にゃびだな。』
…
ちょっと迷惑ですかね俺。
年寄りが二人でいる寂しい夕飯時に
明るい長男が帰ってきましたけれども。大歓迎じゃない感じですかね。
リビングではオヤジが相撲中継を見ていて
台所でおふくろは夕飯の支度。
特にこれといった会話もしてなかったでしょう?
飛び道具の長男が来てくれて若干、嬉しいでしょ?
『そこの米、持ってけ。』とオヤジ。
…会話しようぜパパ
台所からおふくろが顔をだした
『おかえり~忙しかったか?』
『忙しかったよぉぉ』
オヤジはしょうがねぇヤツだなみたいな感じで笑っていた
先日、俺が届けた渋柿を
おふくろが干し柿にしてくれて
それももらった
俺が黙ると静かな実家の空気になる
…俺は邪魔なのかもしれない
忍法『この辺で…ドロン』をやってもいいのだが
それじゃあまりにも寂しすぎる
俺が来たのだという爪痕を残したいじゃないか
とは言っても深爪マニアの俺だ
爪痕を残すには余程の事が無い限り無理なのである
とりあえずオヤジと相撲中継を見て
豪栄道(ごうえいどう)と言うお相撲がVTR判定で負けになったのを見て
『あ~イカサマだな。またやりやがったな相撲協会』
とか、相撲に詳しくもないのに言ってみた
と言うかデブが裸で闘っている姿の何が面白いのか俺にはサッパリだ
キュウリの浅漬けよりサッパリなのだ
俺の最初の結婚の時
一緒に暮らすかどうか…と言う話をしたら
オヤジは『若いウチは二人でやってみろ』と、やんわりと拒否った
それ以来、実家に入るきっかけを失って
二度目の結婚の時にはもう実家に戻る選択肢もなく
別々に暮らす道を歩んでいる
ワガママ気ままな弟は
特に盛り上げることもないし、離婚してから留守にしている事が多いようで
だから実家は、ひっそりと年寄り二人の生活みたいになっている
…
やはり長男の俺がこうして起爆剤になって
『ひゃっは~』してあげないとボケちゃうんじゃないだろうか
30kg入りの米袋が三つあって
そのうちの一つを俺にくれると言う
俺の車にオヤジが積んでくれた
玄関からまた家の中に入りながら
『あと、二袋は俺が運ぶから手伝わなくていいよ』
と言うと
『全部持ってくのかよ~このヤロ』とオヤジは笑っていた
おふくろは漬物と干し柿を持たせてくれた
『これだったらもう少し何か持てるから持たせてくれぃ!!』
と言うと
ゲラゲラ笑っていた
…
俺が帰った後の実家の空気を思うと
またちょっと切なくなる
オヤジが自分の見たいテレビ番組だけを見て
会話も少なく二人で夕飯を食べて、後片付けをおふくろがやって
遅い時間になってようやく弟が帰って来るのだ
俺ももう少し頻繁に顔を出さないとな…
って思ってるんだけれど
なかなか行く感じにならない
近いから余計に『いつでも行ける』って思ってしまう
ダメだな…もう少し顔を出そう
きっと言葉にはしないけれど
オヤジもおふくろも
脳天気のムードメーカーを待ってるはずだ
って言うか
こんな長男で申し訳ないけれども。
一緒に暮らすようになったら
毎日俺はムードメーカーでいられるかしら
弟のように無言で面白くなさそうに接するんだろうか
もう何十年も親と一緒に暮らしていないから
どんな感じか忘れちゃった…
たまに行くからこんな風にバカをやれるのかもしれないな
俺は、まだまだ未熟だなぁ
とかなんとか言ってみたりなんかして。