里山のてっぺんに眠る家族に会うために、短距離ドライブ。
そして手を合わせたあとは、恒例の里山散歩*
車を預けたままハイキングコースに分け入って、ピクニックを兼ねた散策を楽しんできました。
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新緑で彩られた里山は、山全体の輪郭がやわらかくて、吹き抜ける風さえも瑞々しい。
里山にとって特別なのは、桜咲く春ではなく、初夏のこの季節なのだなと実感しました。
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昨秋の台風で甚大な被害を受けて、一時期は立ち入りすら禁止されていたこの場所も、生き残ったものたちの息吹で満ちていて、なんだかとても安心しました。
…それでも。
大木がいくつも同時に倒れたことにより、明らかに植生が変わった場所もあり。
今回の散歩では、今までほとんど目にすることのなかった草花をいくつも見つけて、驚くやら嬉しいやらで大興奮してしまいました。
草まみれになりながら写真もたくさん撮ってきたので、そんな里山の植物たちを備忘録代わりに載せておきます。
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トチ(栃)の木の花
マロニエ、と言ったほうが通じるかしら。
けれど私はこの木を見ると、幼いころに読んだ『モチモチの木』という切り絵の絵本を思い出すので、私にとってはこれは「トチノキ」なんです*
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ヤマフジ(山藤)
野生の藤です。
花の盛りはわずかに過ぎていましたが、数十メートル離れた場所にも甘い香りが届くほど。
たたずんで見惚れていたら、鼻の利く私は酔ってしまいそうになりました(笑)
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ウラシマソウ(浦島草)
こんな姿ですが、食虫植物ではありません。
ただし、全草が有毒。(触れるのは大丈夫だけれど、食べちゃダメ!)
中学生ぐらいのころ、祖父母の住む岡山県山間部の裏山で見かけて以来で、この地では初めて見ました。
花(包)の真ん中から、こげ茶色のひょろりとした紐のようなものが出ているでしょう?
あれが「浦島太郎の釣り糸」のように見えるから、この名前なんですって(笑)
祖父が教えてくれました。
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そしてこちらはマムシグサ(蝮草)。
なんとも恐ろしい名前で、こちらも全草有毒でもありますが、花も葉もこんなにも芸術的な姿をしています。
それでもウラシマソウと同様に、うっかり山で出逢うと気味が悪い姿ですよね(笑)
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ヘビイチゴ(蛇苺)の花
これは平地でも珍しくもないもののはずなのですけれど…
私が今住むあたりでは、目を凝らして歩いていても見かけることすらありません。
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こちらはヘビイチゴの実。
私が幼い時を過ごした同じ市内の別の家の裏手には、とても広い田畑があって。
夏には畦道にこの実がたくさん生るので、摘み集めてはままごとの食材にするのが定番でした。
毎日畦道を縦横無尽に駆けていたあのころが、懐かしいな*
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キツネアザミ(狐薊)
咲いた花だけを見るとアザミに見えますが(これはまだ蕾です)、よく見ると葉も茎も全く違うので、「キツネに騙された!」ということでこの名前なのだそうです(笑)
植物の名前って、穿ったものが多くて面白い。
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アメリカフウロ
これもまぁ…雑草のようなものですけれど。 (帰化植物だし)
私、フウロソウの仲間には目がないんです* かわいいでしょ?
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キンラン(金蘭)
近年めっきり見かけることの少なくなった植物です。
倒木が片付けられて新たに開けた明るい場所に、ぽつんと咲いていました。
一度は通り過ぎたあとで私の中のセンサーが反応し(笑)、「…ん?」と振り向いたところ、足元に。
見つけたときはびっくりしました。
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ギンラン(銀蘭)
まさか金銀を同時に見られようとは…!
驚きすぎて、しばし瞠目。
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イヌザクラ(犬桜)
名前のとおりにサクラの仲間です。
…が、花も葉も樹皮もおよそサクラとは違う形をしていて、仲間とは思えない(笑)
地味な木ですが、こんなふうに白くふわふわの花が高い木の全体にびっしりと咲くので、今の時季は目を引きます。
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これは…何の赤ちゃんたちかしら。
切り株の上のコケに根を張って、この里山の次の世代になるべく、生長しています。
がんばれ、里山の未来は君たちにかかっている!(笑)
山とは名ばかりの低い山ですが、それでも地上とは違う景色をたくさん見られて、最高に好奇心のくすぐられた一日でした。
あぁ、楽しかった!