parismaris's days*

庭の景色は春から初夏へ (庭だより*2020.春4)

春になる前から、新型のウイルスだ、自粛だ、非常事態宣言だと、目まぐるしくも不安定に過ぎる日々。

今日までの決して短くはない人生で、一度も経験したことのない事態の連続に、気を取られ翻弄されているあいだに季節はまたひとつ歩みを進め、今となっては桜が咲いたことさえも「夢だったんじゃ…?」と思うほど。

…3月を、私はどう過ごしたんだっけ?
過ぎた4月のこの半分に、私は何をしたんだっけ?

日々動く感染症に関するニュースに耳を傾けながら、いま自分ができる最大の対策に取り組みつつも、『日常』に重きを置いたいつもどおりの生活を淡々とこなしてきたはずなのに。

気がつけば、足は地から少し浮いて、どこかグラグラとした安定感の悪い毎日です。


そんな自分に気づいたら、私は庭へ出ます。

スマホを置いて、パソコンも閉じて、テレビも切って。
マスクさえ必要のない庭へ。

芽吹いたばかりの葉のやわらかさを指先で愛おしみ、若葉の色の鮮やかさに目を細め、開いた花々に鼻を突っ込んで深呼吸。

そうしたことを繰り返しながらゆるゆると敷地内を巡り、目についた雑草なんかを抜きながら土にも触れて、気持ちをそっとリセットします。


その庭の景色が、めっきりと初夏めいてきました。

あらゆる草木に新しい葉が芽吹き、ついた蕾は弾けるように次々と開き、庭全体がぐんぐん嵩張ってきています。



八重のモッコウバラ(木香薔薇)

淡いけれど、確かなバラの香り。
これほど心癒される香りを、私は知りません*


30年を越す老木で、年によって花数に大きなムラがありますが、今年はどうやら当たり年。
花嫁のベールよろしく、頭上に降り注ぐように咲いています。



一重の黄モッコウバラ
このまま胸元に飾りたいほどの、愛らしさ*



こちらは一重の白モッコウバラ。
楚々として、可憐。



クレマチス
こちらも庭の古株さんで…品種名がわかりません。



わからないのでもうひとりの庭の主に問うたところ、「え?品種名? そんなの忘れちゃったけど、先端が丸いこの花びらのかたちが好きで植えたの!」と申しております。
(なんてテキトーな (≡Д≡;))



アジュガ
飛び石のあいだで咲いています。

…だから、この時季。
ここを通るときには、花を蹴り折ってしまわないよう膝を高く上げて、行進よろしく歩きます(笑)



サクラソウ(桜草)

名前は 『花子』。
…いやほんとに、こういう品種名なんです。

花子ちゃん、名前どおりに愛らしいコでしょう*



白いタチツボスミレ(立坪菫)
真白のスミレも、爽やかに可愛くていいですね。



ガマズミ

北側のシェードガーデンで咲いています。
今年も見事な咲きっぷり!



アイスランドポピー

一年草のポピーです。
いつも行く園芸店で、蕾がついた状態の苗が見切り品のようにすみっこに追いやられて売られていたので、うちに迎えてみました。

そのときはまだ、複数ある蕾のいずれもが毛むくじゃらの殻で固く覆われていて、何色の花が咲く苗なのかが皆目わからず。
それに気づいたら悪戯心が湧いてきて、「何色だと思う?」と母と賭けをしました。

母は即決で、「黄色!」
私は少し迷って、「じゃあ…赤!」

しばらくして出た結果は、ご覧のとおり。
残念、引き分け! オレンジ色でした(笑)




しかし、この姿…植物というより、もはや怪物では?
どう見ても、舌舐めずりする毛むくじゃらの怪物にしか見えない。

でもね、一見すると剛毛のようなこの黒く濃い産毛は、じつは触るとふわっふわで、気持ちいいんです*
見た目と指先の感覚とのギャップがひどすぎて、脳が追いつかないけど ^^;



こんなふうに、手を伸ばした先にある植物たちに気持ちを支えられて、日々を過ごしています。

家族との会話も、コロナの話題は最小限にして。
その日の植物たちの様子だったり、これからの庭仕事の相談だったりを、積極的にしあっています。


…たぶん、この禍(わざわい)は、年単位のものとなるだろうから。
不安定な気持ちの解放のしかたにも、これからますます工夫が必要になるのかもしれませんね。


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