[tchaikovsky Symphonies 4-6 and Paul McCartney "Yesterday"]
YouTubeのような音源でマッカートニーの「イエスタデイ」を聞くと、
"ほぼ"d minorで歌ってるようである。
"たまに"それより半音高いe-flat minorのときもある。
歌は現実問題として「移調(キーを換えること)」してもしかたない。が、
たとえ歌風情にしても原調(オリジナルなキー)に
それ相当の意味を持たせてる場合もあるので注意が必要である。
マッカートニーにはそんな知識も教養もなかっただろうから、おそらく、
プロデューサーのジョージ・マーティンが"d minor"にアレンジしたのだろう。
"d minor"すなわち「ニ短調」には、クラ音においては、
「死」を表す調として使われることがしばしばあった。かといって、
平行調である「ヘ長調」(簡単に言えば長短の違いだけでニ短調と同じ)は、
「のどかさ」「平穏さ」「明るさ」「牧歌」を表す、
というのだから、いいかげんなものである。
さて、
マッカートニーの「イエスタデイ」である。1番(めのパラグラフ)だけ、
歌詞を例示する。但し、
John LennonをずっとJohn Lemmonだと思いこんでたような
拙脳なる私の聞き取り能力で採詞したものなので、
オリジナルと異なる瑕疵があるるかもしれないので、
悪しからず了承いただきたい。
"Yesterday all my troubles seemed so far away
Now it looks as though they're here to stay
Oh I believe in yesterday"
この1行め、【all my troubles seemed so far】の箇所は、
[4分音符=108程度、おそらく4/4拍子、1♭(ニ短調)]で、
****♪●●●●・【ミー<♯ファー・・<♯ソー<ラー・<シー<ドー│>シーー】♪
である。いっぽう、
チャイコフスキーの「交響曲第6番」(「悲愴交響曲」)第1楽章の第1主題は、
それぞれにディヴィズィされたヴィオーラとチェロoの弦楽4部によって提示され、
フルート2管+クラリネット2管の木管四重奏によって確保される。
****♪●【ミッ<♯ファッ<♯ソッ・<ラーァッ<シーィッ│<ドーーー・>シー】♪
ちなみに、
クラリネット1管によって吹かれる「交響曲第4番」第1楽章の第2主題は、
*****♪●●●【ミ<♯ファーー、<♯ソ<ラーー、<シ│<ドーー、>シ】>ラーーー、
>♯ソ<ラーーー・ーーー、>ファ<ラーーーーーーー・ーーー、>ミ<ラーーーーーーー│
>♭ラ>ソ>♭ソ>ファ>ミーーーーーーー・ーーーー♪
である。この主題は第2楽章でも影を落とす。チェロが主題を確保するとき、
クラリネット2管がオクターヴ・ユニゾンで吹くオッブリガート、
***♪【ミー・<♯ファー│<♯ソー・<ラ<シ│<ドー・>シー│ー】●・●●♪
がそれである。さらに、「交響曲第5番」第1楽章の第2主題は、
***♪【ミーー・ーー、<♯ファ│<♯ソーー、<ラー<シ│<ドーー・>シーー】│>ミーー・ーーー♪
である。チャイコフスキーの後期3交響曲に共通して現れる
♪【ミ<♯ファ<♯ソ<ラ<シ<ド>シ】♪
は、その死後72年経って、音楽のオの字も解らない民にも、
【all my troubles seemed so far】
として無意識のうちに伝わった。
ともあれ、
「起承転結」のようになってる4つのパラグラフのうちの「転」、
第3パラグラフはこうである。
Why she had to go
I don't know she wouldn't say
I said something wrong
Now I long for yesterday
この【【Why she had to go I】】と
【【I said something wrong Now】】の箇所は、
****♪【【ミーーー・ーーーー・・ミーーー・ーーーー│<ラーーー・<シーーー・・<ドーーー・>シー】】>ラー│
<シーーー・ーー>ラー・・>ソーーー・<ラーーー│>ミーーー・ーーーー・・ーーーー・ーーーー♪
と、曲もここで「転」の趣となる。いっぽう、
チャイコフスキーの「交響曲第6番」(「悲愴交響曲」)第1楽章の第1主題提示は、
サルタンド律動部を挟んで推移し、
[アッレーグロ・ノン・トロッポ(4分音符=116)]が第67小節で
→[ウン・ポーコ・アニマンド]とテンポ・アップされる。
ここで初めてトランペット2管+トロンボーン3管+チューバが使われる。
****●【【ミミミ・<ラー<シー│<ドーーー・>シーーー】】・・<ドー♪
これは、実質変ホ短調(e-flat minor)、次いで、嬰ヘ短調で吹奏される。
チャイコフスキーもポール・マカートニーも同じく、
14歳のときに母親が病死した。ちなみに、
ジョン・レノンとレノンを射殺したマーク・チャプマンの配偶者はともに、
日本人妻である。
ところで、
マカートニーの「イエスタデイ」を私は"d minor(ニ短調)"と言った。が、
厳密にはニ短調とはいえない。実際、
この歌謡曲を"F major(ヘ長調)"としてる人もいる。
だからこそ、それがこの歌の"おもしろい"ところなのである。
冒頭、"Yesterday"という箇所(1小節め)は、コードはF、つまり、
ヘ長調の主和音である。そして、次小節では1拍あけて、
第2拍から【all my troubles seemed so far】away
と歌われるのである。その第2小節は、
Em7(シ-レ-♯ファ-ラ)→A7(ミ-♯ソ-シ-レ)と進行し、
第3小節で初めてこの歌の主調であるニ短調の主和音が
満を持して打ち出されるのである。この
「溜め」も、大衆には無意識のうちに植えつけられる、
「ラーメン、附けメン、ポールてきめん」という効果バッチリの
化学調味料である。さらに、
この第3小節の主和音に対して、
[far away]の"far"の箇所の音はe(シ)なのである。つまり、
Dm(ニ短調の主和音=d(ラ)-f(ド)-a(ミ))には含まれない
非和声音である。そしてこれは、非和声音の中でももっとも効果的な
「倚音(いおん)」である。この倚音はすぐに主音に移行して、
和音内に収まる(♪シーー>ラ・ラーーー・・ーーーー・ーーーー♪)。
話が前後してしまうが、この「倚音効果」はしかし、すでに、
歌の冒頭でも使われてるのである。
"Yesterday"という箇所の和音は、
F(ヘ長調の主和音=f(ド)-a(ミ)-c(ソ))である。が、
冒頭の"Yes"にあたる部分の音はg(レ)で、
和音にはない音なのである。これも、
♪レーー>ド・ドーーー・・ーーーー・ーーーー♪と、
すぐに和音内の音に移行する倚音なのである。そして、
この第1小節を長調(メイジャー・コウド)でジャブを打ち、
1小節おいて第3小節で初めて同型ながら主調である
短調(マイナー・コウド)の鋭いパンチを繰り出すのである。
その倚音は♪シーー>ラ・ラーーー・・ーーーー・ーーーー♪と、
バッハの時代に用いられた終止の常套句である。が、
そんなことを知りもしない一般素人は、
「マイナス・イオン」などという似非科学よりも的確にテンプルを捉えられ、
イチコロにノックアウトされてしまうのである。
ビートルズが大衆に絶大なる人気を博した所以である。
YouTubeのような音源でマッカートニーの「イエスタデイ」を聞くと、
"ほぼ"d minorで歌ってるようである。
"たまに"それより半音高いe-flat minorのときもある。
歌は現実問題として「移調(キーを換えること)」してもしかたない。が、
たとえ歌風情にしても原調(オリジナルなキー)に
それ相当の意味を持たせてる場合もあるので注意が必要である。
マッカートニーにはそんな知識も教養もなかっただろうから、おそらく、
プロデューサーのジョージ・マーティンが"d minor"にアレンジしたのだろう。
"d minor"すなわち「ニ短調」には、クラ音においては、
「死」を表す調として使われることがしばしばあった。かといって、
平行調である「ヘ長調」(簡単に言えば長短の違いだけでニ短調と同じ)は、
「のどかさ」「平穏さ」「明るさ」「牧歌」を表す、
というのだから、いいかげんなものである。
さて、
マッカートニーの「イエスタデイ」である。1番(めのパラグラフ)だけ、
歌詞を例示する。但し、
John LennonをずっとJohn Lemmonだと思いこんでたような
拙脳なる私の聞き取り能力で採詞したものなので、
オリジナルと異なる瑕疵があるるかもしれないので、
悪しからず了承いただきたい。
"Yesterday all my troubles seemed so far away
Now it looks as though they're here to stay
Oh I believe in yesterday"
この1行め、【all my troubles seemed so far】の箇所は、
[4分音符=108程度、おそらく4/4拍子、1♭(ニ短調)]で、
****♪●●●●・【ミー<♯ファー・・<♯ソー<ラー・<シー<ドー│>シーー】♪
である。いっぽう、
チャイコフスキーの「交響曲第6番」(「悲愴交響曲」)第1楽章の第1主題は、
それぞれにディヴィズィされたヴィオーラとチェロoの弦楽4部によって提示され、
フルート2管+クラリネット2管の木管四重奏によって確保される。
****♪●【ミッ<♯ファッ<♯ソッ・<ラーァッ<シーィッ│<ドーーー・>シー】♪
ちなみに、
クラリネット1管によって吹かれる「交響曲第4番」第1楽章の第2主題は、
*****♪●●●【ミ<♯ファーー、<♯ソ<ラーー、<シ│<ドーー、>シ】>ラーーー、
>♯ソ<ラーーー・ーーー、>ファ<ラーーーーーーー・ーーー、>ミ<ラーーーーーーー│
>♭ラ>ソ>♭ソ>ファ>ミーーーーーーー・ーーーー♪
である。この主題は第2楽章でも影を落とす。チェロが主題を確保するとき、
クラリネット2管がオクターヴ・ユニゾンで吹くオッブリガート、
***♪【ミー・<♯ファー│<♯ソー・<ラ<シ│<ドー・>シー│ー】●・●●♪
がそれである。さらに、「交響曲第5番」第1楽章の第2主題は、
***♪【ミーー・ーー、<♯ファ│<♯ソーー、<ラー<シ│<ドーー・>シーー】│>ミーー・ーーー♪
である。チャイコフスキーの後期3交響曲に共通して現れる
♪【ミ<♯ファ<♯ソ<ラ<シ<ド>シ】♪
は、その死後72年経って、音楽のオの字も解らない民にも、
【all my troubles seemed so far】
として無意識のうちに伝わった。
ともあれ、
「起承転結」のようになってる4つのパラグラフのうちの「転」、
第3パラグラフはこうである。
Why she had to go
I don't know she wouldn't say
I said something wrong
Now I long for yesterday
この【【Why she had to go I】】と
【【I said something wrong Now】】の箇所は、
****♪【【ミーーー・ーーーー・・ミーーー・ーーーー│<ラーーー・<シーーー・・<ドーーー・>シー】】>ラー│
<シーーー・ーー>ラー・・>ソーーー・<ラーーー│>ミーーー・ーーーー・・ーーーー・ーーーー♪
と、曲もここで「転」の趣となる。いっぽう、
チャイコフスキーの「交響曲第6番」(「悲愴交響曲」)第1楽章の第1主題提示は、
サルタンド律動部を挟んで推移し、
[アッレーグロ・ノン・トロッポ(4分音符=116)]が第67小節で
→[ウン・ポーコ・アニマンド]とテンポ・アップされる。
ここで初めてトランペット2管+トロンボーン3管+チューバが使われる。
****●【【ミミミ・<ラー<シー│<ドーーー・>シーーー】】・・<ドー♪
これは、実質変ホ短調(e-flat minor)、次いで、嬰ヘ短調で吹奏される。
チャイコフスキーもポール・マカートニーも同じく、
14歳のときに母親が病死した。ちなみに、
ジョン・レノンとレノンを射殺したマーク・チャプマンの配偶者はともに、
日本人妻である。
ところで、
マカートニーの「イエスタデイ」を私は"d minor(ニ短調)"と言った。が、
厳密にはニ短調とはいえない。実際、
この歌謡曲を"F major(ヘ長調)"としてる人もいる。
だからこそ、それがこの歌の"おもしろい"ところなのである。
冒頭、"Yesterday"という箇所(1小節め)は、コードはF、つまり、
ヘ長調の主和音である。そして、次小節では1拍あけて、
第2拍から【all my troubles seemed so far】away
と歌われるのである。その第2小節は、
Em7(シ-レ-♯ファ-ラ)→A7(ミ-♯ソ-シ-レ)と進行し、
第3小節で初めてこの歌の主調であるニ短調の主和音が
満を持して打ち出されるのである。この
「溜め」も、大衆には無意識のうちに植えつけられる、
「ラーメン、附けメン、ポールてきめん」という効果バッチリの
化学調味料である。さらに、
この第3小節の主和音に対して、
[far away]の"far"の箇所の音はe(シ)なのである。つまり、
Dm(ニ短調の主和音=d(ラ)-f(ド)-a(ミ))には含まれない
非和声音である。そしてこれは、非和声音の中でももっとも効果的な
「倚音(いおん)」である。この倚音はすぐに主音に移行して、
和音内に収まる(♪シーー>ラ・ラーーー・・ーーーー・ーーーー♪)。
話が前後してしまうが、この「倚音効果」はしかし、すでに、
歌の冒頭でも使われてるのである。
"Yesterday"という箇所の和音は、
F(ヘ長調の主和音=f(ド)-a(ミ)-c(ソ))である。が、
冒頭の"Yes"にあたる部分の音はg(レ)で、
和音にはない音なのである。これも、
♪レーー>ド・ドーーー・・ーーーー・ーーーー♪と、
すぐに和音内の音に移行する倚音なのである。そして、
この第1小節を長調(メイジャー・コウド)でジャブを打ち、
1小節おいて第3小節で初めて同型ながら主調である
短調(マイナー・コウド)の鋭いパンチを繰り出すのである。
その倚音は♪シーー>ラ・ラーーー・・ーーーー・ーーーー♪と、
バッハの時代に用いられた終止の常套句である。が、
そんなことを知りもしない一般素人は、
「マイナス・イオン」などという似非科学よりも的確にテンプルを捉えられ、
イチコロにノックアウトされてしまうのである。
ビートルズが大衆に絶大なる人気を博した所以である。
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