チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#19アントラクト・サンフォニク・エ・セヌ」

2010年08月11日 21時33分06秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
[Entracte symphonique et scene(交響的間奏曲と情景)]

今日は午前中から夕方までで、一気に
6528枚の煎餅を焼くことができた。
円高らしい。
中居正広と櫻井翔の声が聞きわけれない
拙脳なる私にはその原因が分かるはずもないが、
煎餅を米国で売ってみようかと思う。
米国には嫌いな面と好きな面が入り交じってる。
疏明であるが。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」第19曲、
Entracte symphoniqueには、
Le sommeil(ル・ソメイユ=眠り、ロシア語のほうはСон=ソーン)
という括弧書きが附されてる。これを、日本における
チャイコフスキー研究の第一人者であらせられる森田稔大先生は、
その著書「永遠の『白鳥の湖』」(新書館刊)の巻末の曲番表で、
「夢」と訳されてるのである。驚きである。たしかに、
ロシア語のソーンには「眠り」以外に「夢」という意味がある。が、
パチェチーチェスキーに「悲しい」意味がないのと同様かどうかは、
故マイケル・ジャクスンとさかなくんの顔を見分けれない
拙脳なる私には解らないが、
フランス語のソメイユに「夢」という意味はないのである。
チャイコフスキー研究の大先生に楯突くわけではないが、
この場面は内容からも語学の面からも、
「眠ってる世界」「眠れる森」とでも意訳したほうがいい。

[Andante misterioso(アンダーンテ・ミステリオーゾ)、4/4拍子、無調号]
弱音器を装着したvnセコンドのふたつにディーヴィズィされたいっぽうが、
二点ハをトレモロで擦る。それに乗って、
1幕終曲でリラの精が魔法の杖を振りかざして、
「死ぬのではなく、百年の眠りにつくように、
カラボスさんがかけた魔法の威力を減じましたのよ」
と皆に承知させた場面で木管と金管がffffで(ハ長調)吹いた動機を
木管群がppで吹奏する。***♪
ソー・ーー・・<♯ソー・ーー│<ラー・ーー・・ーー・ー、>ミ│
<ファー・ーー・・<♯ファー・ーー│<ソー・ーー・・ーー・ー、>レ│
<♭ミー・ーー・・<ファー・ーー│<♯ファー・ーー・・<ソー・ーー│
<♭ラー・ーー・・<Nラー・ーー│ーー・ーー・・ーー・ー●♪

この動機はカラボスの動機の変型である。つまり、
リラのワクチンによってカラボスの毒性が薄められた型なのである。
ハープがグリッサンドを爪弾くと、
カラボスの動機がより原型に近い型で、それぞれにふたつに
ディーヴィズィされたvnプリーモとチェロによって奏される。すると、
木管がリラの精の主題の終い部分を吹く。この呼応が繰り返されると、
ハープがアルペッジョを爪弾く。そして、
弱音器を装填したトランペット1管がリラの精の主題の前半断片を
ppで吹奏する。この一連の流れが繰り返されると、
コルノ・イングレーゼが実質ハ短調で、****♪
ラーーー│ーーーー、ラーーー・ーーーー、ラーーー│ーーーー、・>ソーー>ファ、・・>ミーーー、・>レーー>ド、│
ドーーー、・>シーー>ラ、・・ラーーー・ーー>ソー、│ソー>ミー、・<ソーー>ファ、・・ファー●●♪
という音型を吹く。やや尻尾を変えて繰り返され、次いで、
オーボエ1管がこれをまたやや形を変えて2度繰り返す。
「雲が晴れていく」
木管群による8分音符の下降分散、弦群による3連符の上昇分散、
がそれを描写する。そして、
冒頭ではフルートが旋律を受け持ってた木管群が、
今度はクラリネットが"メイン・ヴォウカル"となって、
カラボスの動機から作られたリラの精のバゲト動機を吹奏する。そして、
ホルン3(4)管が川口探検隊のごときデズィレ王子とリラの精による
眠れる森探検隊が目的地に到達したことを告げる。

「デズィレ王子とリラの精が入ってくる」
→[Allegro vivace(4分音符=従前の8分音符)]
テンポ感覚と速度標語にブレがないチャイコフスキーであるからして、
4/4拍子のAllegro vivaceが概ね4分音符=144乃至152ゆえ、
これで従前のアンダーンテ・ミステリオーゾの速度が、
4分音符=72乃至76、という通常のアンダーンテと変わりないことが判る。
「ミステリオーゾ」だからといって「遅くして」は「いけない」のである。
***♪ミ、●・ミー・・ー、ミ・<ソ>ド、│<レッ<ミッ・<ファッ●・・●●・●●│
  <ラ、●・ラー・・ー、ラ・<ド>ファ、│<ソッ<ラッ・<♭シッ●・・●●・●●♪
「デズィレは眠れる美女目指して一目散に突進する」
チャイコフスキーのセンスのいい熟達した書法のフル・オケが全開となる。そして、
実質ニ長調にいったん運んでから、それを
ニ短調に一転させ、その主音であるニ(d)を一瞬にして
変ホ長調のシに置き換えて(弦楽4部がこのdを刻み続ける)、
「デズィレはオロルの額にくちづけをする」
このバレエ2度めのドラがfffで打ち鳴らされ、めでたくも、
カラボスがかけ、リラがその効力を減じた魔法が解ける、のである。
なんという感動的な音楽なことだろう。
チャイコフスキーでなければ到底打ち鳴らすことができない、
ヒトの感情を揺り動かす号砲である。
弦楽4部のd音の刻みが次曲変ホ長調を導く音となって、
曲はそのまま次曲#20(2幕の)フィナルへとなだれこむ。
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