チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「赤とんぼ考(その2)/山田耕筰(前篇)マネボウ、フォー・ビューティフル・シューマン・ライフ」

2011年09月14日 00時11分14秒 | 倒錯の世界(嗜好の微調節と微ヒョウセツ
ルーティーンワーク、引き出し作業のように、
才能がいらない仕事が相応しい私なので、
5300枚の煎餅も思いのほか速く焼くことができた。

[Lebhaft(リープハフト=Allegro)(四分音符=94)、4/4拍子、1♭(ヘ長調)]
♪ラー・・>ドー・ー<レ│<ミ<ソ・<ド>ラ・・>ソー、・<ラー│
 >ドー・ー<レ・・<ミ<ソ・<ラ>ファ│>レー、<ラー・・>レー・ーー│ーー♪
これは、ローベルト・シューマン(1810-1856)が1853年の夏に作曲した
"Konzert, Allegro mit Introduktion fuer Klavier und Orchester op.134"
(ピアノと管弦楽のための協奏曲、序奏附きアレグロ、ニ短調、作品番号134)
の中の主題のひとつである。
シューマンは1854年初頭には精神に異常をきたして、
以降は死ぬまで作曲活動は絶え果てたので、これは
晩年の作品といえる。この「4拍子」主題を、
そのフレイズィングどおり工作してみると、3拍子になる。
♪ラー・>ドー・ー<レ│<ミ<ソ・<ド>ラ・・>ソー、│<ラー
 >ドー・ー<レ│<ミ♪
このように、もとの"ぎこちない"拍感が絶え果てて、
すんなり収まる。もともと、
この節を4拍子にはめ込むこと自体に無理があるのである。
梅毒脳のためにシューマンの拍感は幻となってたのかもしれない。

それはともかく、
この節の冒頭の[ラー]を9度下げて[ソ(<ド)]と置き換え、
音価をいくつか工作すると、
♪ソ<ド・ドー・ー<レ│<ミ<ソ・<ド>ラ・・>ソー、│
 <ラ>ド・ドー<レー│<ミー・ーー・ーー♪
「アレ黒」というよりは「アレ、赤トンボ?」という感じである。そういえば、
小学校の音楽の教科書に載ってた「赤とんぼ」は、
ヘ長調だった記憶がある。というわけで、
三木露風の童謡詩「赤蜻蛉」を考える前に、
山田耕筰(1886-1965)がこの童謡詩に附けた節について触れる。

この類似性はボッケリーニの時代までは遡らないものの、
かなり以前から指摘されてたようである。が、
一般に知られるようになったのは、わりと近年である。といっても、
いわゆるクラシック音楽に関心を持つ人など、
かつての武士の総人口に対する人口比と似たり寄ったりで、
総人口の数パーセント程度しかいないので、
知られるようになった、というのは、
クラシック音楽に興味がない人は含まない。ともあれ、
女優吉行和子女史の兄にして、「ねむの木学園」を設立した女優
宮城まり子女史といい仲だったイケメン作家の
故吉行淳之介(1924-1994)は、かねてから
その類似点を人に語り、あるいは、
夕刊「フジ」に書いたりしてた。そして、昭和56年、
「文藝春秋」に「赤とんぼ騒動」としてその一連をまとめて
やっとクラシック音楽ファンにも多少知られるようになった。というのも、
モトネタであるシューマンの「序奏附きアレグロ、ニ短調、作品番号134」自体が
ほとんど知られてない曲だからなのである。

ともあれ、
この山田耕筰の「赤とんぼ」が
シューマンの「序奏附きアレグロ、ニ短調、作品番号134」
のパクリであることは歴然としてる。
オツムが弱いから天才の作品がことごとく自作として出力されてしまうような
中田喜直のみたいな輩とはわけが違う。その確信犯ぶりは、
悪質度が高いパクリ作家故立松和平や田口ランディのパクリよりも明白である。
盗作リストをあげればきりがないくらいであるが、その一例を示す。
【リスト/交響詩「前奏曲」の[Allegretto pastorale]部】
[Allegretto pastorale、6/8拍子、3♯(実質ホ長調)]
♪●●●・●ソッ<ドッ│<レ<ミ<ラッ・>ソッ>ミッ>レッ│>ドー<レ・<ミー●♪
【リヒャルト・シュトラウス交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」】
♪>ソ<ド<レ|<♯レー<ミ・ー<ファ<♯ファ|<ラ>ソ>ミ・>ド>ソ>ミ♪
この、ともにホルンのソロで吹かれる牧歌的な田園的な調べが

【山田耕筰/この道】
♪●ソ<・ド<レ│ミー・ミー│●<ラ・>ソ>ミ│>レ<ミ・>レー│>ドー・ーー♪
この道はいつか来た道、という郷愁的な詞にあてられたのである。
ニセアカシアの白い花が咲いてるということらしい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「藤山愛一郎(fuJIyama aIIch... | トップ | 「赤とんぼ考(その3)/山田耕... »

コメントを投稿

倒錯の世界(嗜好の微調節と微ヒョウセツ」カテゴリの最新記事