エッセイと虚構と+α

日記やエッセイや小説などをたまに更新しています。随時リニューアルしています。拙文ですが暇つぶしになれば幸いです。

なぜかiPhone5cにアップグレードしてしまった

2014-02-06 03:39:21 | 小説
気付けばiPhone4を契約してから2年7ヶ月が経っていた。ぼくはすっかりくすんでしまった液晶パネルを指で擦りなかなか出てこない文字変換に機種変するしかないと思いたった。つい1ヶ月前の事だ。機種変更といってもiPhoneをアップグレードするだけなのだが。しかし贅沢は足下をすくわれるということの不安要素になりかねない。2年の分割契約をまたしても懲りずに考えていたのはぼくが愚かな男だということの何よりの証拠だ。
ところで、大変だったのは卑猥な画像やらの整理でそれだけに1時間もかかりSoftBankショップへ向かった。かなり決心のいることだった。受付には多分僕よりかは10歳も若い好青年がいてiPhone5SかiPhone5cのどちらかがいいのかな?とのぼくの問いに5cと答えた。Web上では5Sがとにかくいいのだという書き込みが多くぼくの既成概念はすぐさまに打ち崩され混乱の谷底へと突き落とされた。
しかし疲れ果てたポケットの中のiPhone4はぼくに「ちょっとぐらいの誤ちならしょうがないよ。だって最初に契約したときも2年の分割だっただろう。孫正義だって君のように愚かだと自認している男の為に分割払いを様々なサービスで乗り切らせるというくっそ寛大な姿勢を示してくれたじゃないか。たしかに君はお金にルーズだしかも甲斐性もないに等しい。だけどぼくをタッチすることで初めて小説まがいのものが書けたろう。ならそのことに感謝と愚かな自分への諌めとしてiPhoneをアップグレードしたっていいんじゃないか。それでもっと良い小説まがいを書ければいいんだ。それ自体に価値は無くてもより良い小説まがいが書けるようになることは君にとっては人生を少なくとも前に進めることになるはずだ。後退させてしまうということにはならないはずだ。俺を信じろいやスティーブ・ジョブズを信じるんだ。同じく故人のブルース・リーだって言っていた考えるんじゃない感じるんだってさ」とメタリックボディーを震わせながら言ってくれた。
ぼくは手に馴染むiPhone3gsによく似た感触とボリカーボネットの緑のデザインに魅せられiPhone5cにすることにした。恥の上塗り、親不孝もいいとこだ。愚かな男だと開き直るのは正気の沙汰とは思えないほどの蛮行。
追い立てられるように契約してしまったiPhone5cをいまぼくは見つめながらまだ自分に文学にしがみつくだけの気力、体力、精神力があるのかと問いかけている。きっと明日、明後日と喫茶店か自宅の部屋で原稿用紙を広げたときにその正解の無い問いのヒントが掴める筈だ。そう思ってもうyoutubeの面白い動画でも見てから寝るとしよう。