店員であることを示す胸にピンで留めて着けているプラスチックのカードを外してバックヤードに備えられているパソコンのバーコードリーダーにかざすとピッという音と共に17時から22時のわずかながらの労働が記録された。これで4千円かと思い着替えを済ましてバックヤードから出て「お疲れさまです」とオーナーと深夜のアルバイトの人たちに言って帰路についた。
なんとか大学2年生に進学したものの授業をサボりがちな自らの状況にやるせない感情を抱いていた。家に帰り部屋で明日は授業がそもそもないから何処かへ行こうと思った。授業は2年に進級時に選択したのだから休日と呼んで良いのかわからない。とりあえずいらぬ想念はしまい込み眠りについた。
朝方、家族はみな会社や学校に行ったあとであった。着替えを済まして下へ降り家を出た。
自転車に乗り駅前に着くと神社の切り立った岩の壁の側に停めて電車に乗った。地方都市として栄えつつある街まで行き日本最大のブックオフに入店した。大学に入ってから知り合った友人に教えられてからたまに来ていた。
エスカレーターで最上階の6Fまで上った。整然と並べられている文芸書の文庫を見て回る。履いてきたスニーカーはリノリウムの床と摩擦してバスケットをしている時のようにキュキュという音を発した。
僕は自らが童貞であることに悩んでいた。モテるための自己啓発書や実用書は数冊読んだだけでそれらがあまり役に立たないことを理解していたから先人の童貞の苦しみを描いたような本はないかと探していた。そのような本があれば悩みを相対化して見ることができるのではないかと思っていた。
文学者が書いたそのような本を6Fまである日本最大のブックオフとはいえ見つけることはなかなかできなかった。高尚な文学にはやはりむかしから馴染みがなかったことがまた僕の足を実用書で溢れた新書コーナーへと向かわせていた。とりあえず見渡して、ちくま新書の『もてない男』を手にとって見た。裏の名札シールは105円であったから中身をあまり吟味することなく僕はそのままエスカレーターに乗り6Fから1Fへと降りた。レジで購入するとブックオフを出てドトールを探すことにした。街を歩いた。何分かすると見つけることができ僕はドトールで、ホットのカフェラテを飲みながら、買ったばかりの『もてない男』を読んだ。
ドトールを出た。夏も終わりかけていた陽射しのなかで悩みがさっきより軽くなっていた。
なんとか大学2年生に進学したものの授業をサボりがちな自らの状況にやるせない感情を抱いていた。家に帰り部屋で明日は授業がそもそもないから何処かへ行こうと思った。授業は2年に進級時に選択したのだから休日と呼んで良いのかわからない。とりあえずいらぬ想念はしまい込み眠りについた。
朝方、家族はみな会社や学校に行ったあとであった。着替えを済まして下へ降り家を出た。
自転車に乗り駅前に着くと神社の切り立った岩の壁の側に停めて電車に乗った。地方都市として栄えつつある街まで行き日本最大のブックオフに入店した。大学に入ってから知り合った友人に教えられてからたまに来ていた。
エスカレーターで最上階の6Fまで上った。整然と並べられている文芸書の文庫を見て回る。履いてきたスニーカーはリノリウムの床と摩擦してバスケットをしている時のようにキュキュという音を発した。
僕は自らが童貞であることに悩んでいた。モテるための自己啓発書や実用書は数冊読んだだけでそれらがあまり役に立たないことを理解していたから先人の童貞の苦しみを描いたような本はないかと探していた。そのような本があれば悩みを相対化して見ることができるのではないかと思っていた。
文学者が書いたそのような本を6Fまである日本最大のブックオフとはいえ見つけることはなかなかできなかった。高尚な文学にはやはりむかしから馴染みがなかったことがまた僕の足を実用書で溢れた新書コーナーへと向かわせていた。とりあえず見渡して、ちくま新書の『もてない男』を手にとって見た。裏の名札シールは105円であったから中身をあまり吟味することなく僕はそのままエスカレーターに乗り6Fから1Fへと降りた。レジで購入するとブックオフを出てドトールを探すことにした。街を歩いた。何分かすると見つけることができ僕はドトールで、ホットのカフェラテを飲みながら、買ったばかりの『もてない男』を読んだ。
ドトールを出た。夏も終わりかけていた陽射しのなかで悩みがさっきより軽くなっていた。