レジカウンターに何枚かのDVDが置かれて、ぼくはバーコードリーダーで読み込ませビニールの袋にそれらを入れ、客に渡す。積み上がっている返却されたDVDのケースを元の位置に戻す作業を続けた。道路沿いのレンタルビデオ店は、ほとんどが暇な時間だったからフリーターを名乗るに相応しいアルバイト先な気がしていた。その日の同じシフトには大学生の女性がいてスタッフルームで黙々とDVDの読み込み面を磨く作業をしている。その女性の映画の知識は普段気に入った作品しか観ないぼくを遥かに凌駕していた。洋画コーナーでダイハードをプラスチックのケースに戻すと、レジカウンターで客をひたすらに待った。
「きょう店長来ないって」
「わかりました」
プライベートな取っ掛かりが無いいつも通りの会話のあとぼくは軽く背筋を伸ばした。
午後7時になると「ではお疲れさま」とぼくは薄暗い道を駅まで向かう。さきほどの女性は昼からのシフトだったためまだ作業を続け、ぼくの代わりにはその子と仲が良いと思われる同じく映画好きなフリーターの女性がシフトについていた。歩く道路を照らしていたのは街灯と車のヘッドライトだけで、レンタルビデオ店から所沢駅まではけっこう距離があるのだ。Tシャツにジーパンでひたすらにぼくは帰りを急ぎ、汗をたまに袖で拭いた。無職からフリーターになってからそんなに期間は経っていなかったのにバックれてしまおうかと思うことは多かった。
1人の夜道を恐れることはなかったのに。
所沢駅まで来ると、踏切で信号待ちをした。西武池袋線が何本も通って遮断機が上がり、またぼくは歩きだした。
アパートに帰り、布団に横になりスマートフォンをいじった。そしてシャワーを浴びTVを見てから眠った。
「きょう店長来ないって」
「わかりました」
プライベートな取っ掛かりが無いいつも通りの会話のあとぼくは軽く背筋を伸ばした。
午後7時になると「ではお疲れさま」とぼくは薄暗い道を駅まで向かう。さきほどの女性は昼からのシフトだったためまだ作業を続け、ぼくの代わりにはその子と仲が良いと思われる同じく映画好きなフリーターの女性がシフトについていた。歩く道路を照らしていたのは街灯と車のヘッドライトだけで、レンタルビデオ店から所沢駅まではけっこう距離があるのだ。Tシャツにジーパンでひたすらにぼくは帰りを急ぎ、汗をたまに袖で拭いた。無職からフリーターになってからそんなに期間は経っていなかったのにバックれてしまおうかと思うことは多かった。
1人の夜道を恐れることはなかったのに。
所沢駅まで来ると、踏切で信号待ちをした。西武池袋線が何本も通って遮断機が上がり、またぼくは歩きだした。
アパートに帰り、布団に横になりスマートフォンをいじった。そしてシャワーを浴びTVを見てから眠った。