#河合莞爾 #ジャンヌ, Jeanne The Bystander
出版社 : 祥伝社 (2019/2/20) 発売日 : 2019/2/20
ブックレビューのグループで以前に先達の幾名かが投稿されている河合莞爾の
SF:ロボットAIものの名作、割合にレビュー評価が高く、読む機会を伺っていたが
この度、本が手元に巡ってきた
ストーリーと登場人物はシンプル、かつ、この種のSFの王道:なんたって登場人物が
10名以下だ「ふむふむ こういう切り口か なるほど、いいじゃないか・・・・」
と安心して没入できた。
*******プロット&導入部ストーリー*********************
人口が5000万人まで減少した2060年代の日本、
その人口減小と高齢化問題の唯一の解決政策、それがロボットの普及推進だ。
すでにロボットは珍しいものではなくなっていて、富裕層には
最新の人型ロボットが家政婦としてリースされるようになっている。
もちろん国の助成金をたっぷり投入されてる。
利権もガッチリと官民で絡みあってる。。。
(今の環境事業とか電気自動車みたいだな・・・・)
ある日、警視庁の刑事・相崎按人は“ありえない”殺人現場に呼び出される。
家事用ロボット:ジャンヌがその家の主人の首をねじり切って殺害したのだ。
しかし流通しているロボットすべてには人間に危害を加えることを禁じる
「ロボット三原則」が組み込まれ、絶対に人を殺せないはず、
だからこの殺人はありない、起きてはいけない事件なのだ。
ジャンヌへの取り調べでも殺害理由は黙秘。
AIの故障、プログラムのバグを疑ったが検査では異常無し。
だが、原因がわからないことは日本国中の2000万台のロボットが暴走する危険に
つながる。
何としても殺人可能となった原因を解明し、日本が吹っ飛ぶ・リスクを
解決しなければならない。
製造元のJE社へ拘束中のジャンヌの護送を命じられた相崎刑事は、道中、
謎の武装集団に襲われる。
護送車に銃弾が撃ち込まれ合番者全員があっさり射殺され、孤立する相崎、
その時ジャンヌが自分を起動して敵を撃退せよと持ちかけてきた。
どーする?相崎・・・・!? という感じで一気に物語が疾走する。
**********************以下続く*******
本作品中で興味深いのは「ロボット三原則」についての言及だ。
この作品のアクションとは別のもう一つの柱、なぜジャンヌは主人を殺すことが
できたのか?
このミステリーの解明について、このロボット三原則への考察は欠かせない。
このロボット三原則の成立は1950年代SF作家アシモフの作品に始まる。
曰く ”ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過する
ことによって、人間に危害を及ぼしてはならない” である。
だがこれには矛盾点があって、ロボットがトロッコ問題に代表されるような
或る種倫理選択のシチュエーションに遭遇すると、フレーム問題という思考回路の
堂々巡り状態に陥ることになる(エクセルの循環計算のエラー状態みたいなもの)。
これは提唱者アシモフによる、ロボットを使う人間=性善説を前提として構築
されたためと言われる。
(アシモフは良きキリスト教徒であったとも)
だが現在、現実がSFに追いついたように人型ロボット或いは自動運転自動車の
AIなどにはすでに基本原理、又は、安全装置としての規範条項が必要になっており、
それにはこの70年前の空想小説のロボット三原則が使われている(のだそうだ)
(詳しくは、疎くてわからないが・・・)
その際に使われているものが、この三原則そのままなのか、さらにSF作家たちから
継続思考提唱されたように第0原則とか、追加第4、5原則が知らずに加わって
いるのか?
あるいは容易に想像できることだが、AIの軍事利用や、とある国家が行っている
ような人権蹂躙監視社会システム用に、書き換えや、読み替えが成されてしまって
いるのか・・・?
考えるとなかなか深い闇を抱えたホラーな考察になってきた、、、
自分の身も危うくなりそうな危険予知が働いてきたので、そろそろ思索をとじる
ことにしよう・・・・
////SD(SHUTDOWN)////・・・
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