「ブラックスワン」
監督ダーレンアレノフスキー 主演ナタリー・ポートマン
真夏にホラースプラッタ映画は見たくないが怪談映画は観たい!っていうこの茹だる暑さにピッタリの名作でしたね。
賞もたくさん取ったし、評論家さん達からも好評価なので何故か高尚なバレエ芸術映画だと思いこんで敬遠していたのですが、あにはからんや、全然そんなことはなくドロドロでキッチェでエロティックでぞわぞわなエンタメサイコホラーでした。
濃密な、上映時間1時間48分とは信じられないこの映画。
登場人物も物語内時間も滞在するロケーションも振り返ってみれば実に狭い、限定された世界であることがわかります。
優れた映画、というか凄い映画にはこの凝縮感とでもいうものが共通してますね。
セッションしかりシャイニングしかり、クロサワ用心棒しかり、そしてこのブラックスワンしかりなのです。
クライマックスに向かってガンガン上がるサイコプレッシャー、幻覚が日常を侵食していって枠組みがガタガタと崩れてゆくこのヤバい感じ。そして自分の身体さえもそれに連動してメタモルフォーゼしてゆく絶望感と全能感。この矛盾する二項が共存しちゃう感覚こそ怖さのツボかもしれません。
繰り返すがオシャレなバレエ映画と思っちゃったら損をする。
寝苦しい夜にピッタリなスーパーな怪談噺なのである。
あ、ちなみにお子様には相応しくない描写があるのでオトナ限定のお愉しみである。御注意召され。
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