「澁澤龍彦ドラコニア.ワールド」
澁澤龍子編 沢渡朔写真 235頁
この本は澁澤龍彦の作品集ではありません
彼の没後も生前と同じように雑然と、しかも整然と保存されている彼の書斎。
主亡き今もその帰りを忠実に待っているような人形や髑髏模型や貝殻などの澁澤の集めた収集物についての写真と随想集です。彼の収集物が主人以上に主人のことを能弁に語るというのはありそうなことです。
「この家には金目のもの、価値のあるものはありません。いわゆるコレクターではなく、大きなダイヤモンドと形が面白い貝殻であれば迷わず貝殻の方をとる人でした」
「とにかくその辺にあるただの石や、家に飛び込んできた玉虫でも、彼のところに集まってくると意味を持つというか、ここに置かれるとなんでもなんとなく彼のドラコニアワールドに入ってしまう、というような感じでした」
------前書き 澁澤龍子
そして不思議なことには 彼の没後いわゆる世間でのコレクターの定義、というか有り様が、今までの金に飽かせて骨董品や芸術品を集める、という成金趣味から変遷し、
金銭的価値が無いものでも、ある種の審美観を持つ者により統制された収集による世界観の構築、といった方向が認知され、評価され、同朋が増えているようなのですよ。
フィギュアブームとか書痴の書斎拝見とかがその一端であると言えましょう。
かく申す自分にも泥団子の大理石風卵とか、海辺で拾った孔の空いた石笛とか、黒曜石とか、ゴジラガチャの四形態とか、土偶のフチ子とか、そう言った種類の収集物がいつの間にやら増え始め、どうやら澁澤ウィルスに感染しているよう
なのです。
気が付けばあなたにもこの怖ろしく素敵な菌が忍び寄っているかもしれませんよ~~
なんといっても本好キにはこの菌に親和性があることが臨床試験済なのですからね
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