山の人魚と虚ろの王 山尾悠子
2021.2.19初版一刷印刷2.24発行 国書刊行会
製本:ブックアート 装丁 ミルキィ・イソベ
装画:オディロン・ルドン作「幻視(夢の中で より)」
「舞踏の最終目標は空中浮揚なのよ」
これは われわれの驚くべき新婚旅行の話。
ある種の舞踏と浮揚についての話。
最終的には私が私の妻に出会う話。
この本について適合する、適合できない、二つのタイプに本読み人は二分される。中間は無い。
前者が幸福なのは確かであるが、かといって前者が不憫ではないか、と考察すれば 必ずしも非ではない。両立している。
頁が、行が変わるごとに、状況も変わる、人物の運命も、生死さえも簡単に変わる。生者は屍者に、昼間は夜に、妻は機械人形か・ 妖に。。
それでも、すこしづつ頁がめくられるに従い、私と新妻の旅は進む。
「山の人魚・劇団」の女座長の葬儀式典へ物語の演者たちは集う。
虚ろの王はその舞台での風変わりなラストボスだ。役者は彼を演じない。
舞台の空中に彼の舞台衣装だけが中身が虚ろなまま吊り下げられ揺れている。
既視感があるあるあるあうる・・・とずっと読み進めながら思っていたのだがこの書物に書かれている情景や物語の断片たちは、いつぞやに確かに自分が見た夢の出来事たちではないか、
なぜ山尾悠子さんは僕の夢をしっているのだろうか・・・・
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