幻想小説周辺の 覚書

写真付きで日記や趣味を書く

テスカトリポカ レビュー苦心中

2022-11-17 20:27:00 | 書評 読書忘備録
佐藤究 テスカトリポカ
ようやく時間がかかったが読了 感想は多々あるはずだが
自分の消化力と表現力に限界を感じてうまくまとまらない
代わりに選評の概要を転記しよう。
さすがは大作家たちだ 選評も自分の言いたいことをしっかりと代弁してくれている。
まずは直木賞から・・・・
2021年度上半期第165回直木賞 選評の概要 

否定派
伊集院静「最後まで小説として認められなかった」「小児の扱いがこれほど安易になされて、文学の品格は問われないのか、と今も思っている」
北方謙三「斬新な部分は、暴力の描き方だったと思う。小説の結構そのものは、よくあるアクション小説の域を出ていない。非人間的にさえ見える暴力が、なぜか読む側の痛みを誘発してこないと感じた。」
「(引用者注:「星落ちて、なお」と)結果は同じ点数での同時受賞であった。」
浅田次郎「(引用者注:選考会で)最も議論がかわされた作品」「これほど壮大で精密な虚構は、小説という表現方法だからこそ可能と思える。だが、その壮大さ精密さを実現するために、視点者の情動が犠牲になった。登場人物のおのおのが、当たり前の人間感情を欠くのである。」
「死は文学の欠くべからざるテーマにはちがいないが、死をかくも丹念に描くことはむしろ、人間不在の反文学としか思えなかった。」

中庸派
高村薫「事前の予想以上に絶賛の嵐で、評者は大いに困惑した。今回の候補作のなかでもっとも筆力があるのは明らかな一方、これはほんとうに物語の力と言えるのか、血まみれの臓器や肉片が飛び交う残虐なイメージの力ではないかのか、ふと分からなくなったからである。」

肯定派
桐野夏生「この小説を遥かに上回る残虐な出来事は、世界のあちこちで起きている。現実を直視すれば、この作品はその意味で「清い」のである。」
「言葉にもディテールにも揺るぎはなく、文体は簡潔で力強い。満足のゆく質と量である。」
「ただ、日本編は、メキシコの乾いた土くれに血が吸い込まれるような凄絶さが消えて、少々湿気を帯びたきらいがある。」

絶賛派
林真理子「この方の並はずれた筆力にまず圧倒された。」「そしてこの作者の偏執的な知識と書き方にも驚いた。」
「この作家は手間を惜しまない、どころではない。(引用者中略)調べていくことに快楽を感じているはずだ。そしてこの快楽は読み手にも伝わっていくのである。」
角田光代「私にとってまったくはじめて読む小説だった。」
「何より膨大な資料を作者がかみ砕いて血肉として小説に与えている。」
「いっさいの感情描写のなされないコシモという青年の、この魅力はなんだろう。この凄惨な小説にちりばめられたうつくしさも、私には見たことのない、触れたことのない種類のものだった。」
三浦しをん「(引用者注:「スモールワールズ」と共に)推した。」「圧倒的な傑作だ。」
「私は小説に絶対に「希望」が必要だとは微塵も思わない。しかし世界に満ちる暴力性の問題を徹底追求する本作は、暴力と理不尽を越える希望をも、ちゃんと提示してくれているのだ。硬質な美を湛える文章が紡ぎだす静謐な多摩川の情景を、コシモが選び取った道を、よく見てほしい。これがまっとうな倫理と希望でないなら、なんなのだ。」宮部みゆき「この作品は、直木賞の長い歴史のなかに燦然と輝く黒い太陽なのです」
「昨今稀な――現代を舞台にしては書きにくくなる一方の、きわめてまっとうな勧善懲悪の物語です。」
「主人公の青年コシモは、現代国際社会の地獄巡りを経て成長し、己の生きるべき道を見出す。ヒューマニズムを信じている小説なのです。敵役が邪悪だからといって、作品そのものが邪悪なわけではありません。」
「暴力を、「心の闇」などという言葉で水割りにしない。私は読後、「参りました」と感嘆することしかできませんでした。傑作です。」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿