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読書レビュー ヒマラヤ逍遥

2022-08-04 16:50:00 | 書評 読書忘備録
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ヒマラヤ漂流 『神々の山嶺』へ (角川文庫) 夢枕 獏著 
141頁  を読んできた(((UωU` *)★★★ 138冊目

 作者が一番楽しんでる様子が伝わってくる, 2016/8/1

夢枕獏さんが映画「神々の山嶺」製作を機にエベレストへ出かけるという企画を本にしたものです。
写真(獏さん撮影か?)が紀行文、小説神々の山嶺からの印象的なフレーズ、獏さんの純情詩(ポエム)と組み合わさって三部構成で収録されています。

ファン読者からは、そんな遠くまで行ってしまわないで、どんどん小説の続きを書いてくださいって処なのですが、創作者たるものは書くエナジーをこのように補給しつつ、新たな進化論的刺激を受領しないと、良い作品を続けることは到底できないのでしょうね。暖かいパトロン目線で獏さんの冒険旅行を見守るしかありません。

そんなわけで、獏さんと仲間たちの所業を本を通じて共感するのはなんとも愉快で、このひとが必ず書くお約束のあとがきの「神々の山嶺」として楽しむというのが最もふさわしいのではないかと思います。
増ページ、カラー写真つきの豪華な別冊版あとがき。なんだかいいでしょう?
映画の番宣本と言ってもそれはいいんですが、こんな受け取り方の方が作者は
喜ぶと思いますしね。

この本の中に出てくるもので必ず何かの機会に手に取ってみて見たいものがあります。
それはこの世に一冊しかない獏さんとアーチスト寺田克也さんとの交換日記の形式で作製された須弥山の物語を描いた本です。

獏さんの自宅にあった束見本(出版前に本の大きさや厚さを確認するための中が白紙の見本の本)を旅行に持参し、山のテントのなかで獏さんが文を書いては寺田さんに渡して挿絵を付けて、また返ってくるといった具合で一頁ずつやり取りしてたそうです。

お互いのクリエーター魂が上手い具合に醸造され刺激されあって、どんどんハードルが上がって面白くなっていってる、というもの。
完結したかどうかも含めて、随分楽しそうでその顛末が気になることをやってくれています。
いいなあ作家って。 一番読み手として面白がって自分の小説を読めるなんて・・としみじみ羨ましくおもいました。 — 場所: エベレスト







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