ルルドのノ-トルダム・デュ・ロゼール大聖堂
フランス南部: (2)ミディ・ピレネー地方(La region de Midi-Pyrenees)
g. ルルドLurdes(オート・ピレネー県、Dep. de Auto-Pyrenees)
ルルドは、カトリックで最大の巡礼地と言われています。
その経緯ですが、150ー60年前に聖母マリアがこの地に住む少女の前に現れ、そこにあった洞窟から泉が湧きだし、その水が難病を癒した言う奇跡が生じました。この話が全欧に広がり、カトリック教会の認定もあり、今日でも多くの巡礼者を引き付けていると言うことです。
いつの日か私もこのルルドを訪れて奇跡の泉を見てみたいと思っていました。たまたま、2008年6月にその機会を得ました。ルルドより西方の小さな村で乗車して、トゥルーズ行きのコライユ (Corail)と言うローカル列車に揺られて1時間ほどで到着しました。
ルルドの駅舎
実際に、ルルドにやって来る旅行者は年間500-600万人と言われています。言い換えると、毎日2万人近い旅行客を受け入れてことになります。ルルドの人口は1万6千人ですから、住民3人に対して2人が旅行者ですので、驚異的です。国籍も国際的で170か国に及びます。
参考までに、カトリック教会の総本山があるバチカン市国を訪れる旅行者を調べて見たところ、200ー500万人となっていますので、ルルドの方が人気が高いようです。
一方ホテルの数ですが、ルルドには220軒あると言われており、その数はパリに次いで最多と言うことですから、言うならば宗教的リゾート地と言えるでしょう。
ここを訪れたとき、私はホテルを予約していなかったのですが、駅前のカフェ兼ホテルで店に主人に問い合わせると、有難いことにシングル・ルームの空室が残っていました。
ルルドで宿泊したホテル
ホテルの部屋は南向きだったので、窓からピレネーの山々を望むことができ、ラッキーでした。
ホテルから見えたピレネーの峰々
さて、一段落してから、市街地に出てみました。この日は土曜日だったこともあり、お土産店やホテル、カフェ、レストランがひしめくグロット大通り(Bd de la Grotte)は、数多くの旅行者で賑わっていました。しばらく歩いて行くと、橋が現れました。この橋の下を流れているのは、ピレネー山脈に抱かれた氷河に源を発するポー川(Gave de Pau)です。
橋を渡って左手に目を向けると、城壁に囲まれた丘の上に古城が聳えていました。それは、ルルドの城塞(chateau fort de Lurdes)で、フランスの歴史的建造物に指定されています。
この城塞の起源はローマ時代に遡ると言いますから、古い歴史を持っています。778年にシャルルマーニュ大帝に包囲され、11-12世紀には、この地域一帯を治めていたビゴール(Bigorre)伯爵家の居城となりました。今でもその頃に造られた遺跡が残っており、現在の城塞の基礎部分となっています。
更に進むと、聖域(Sanctuaire)に入ります。広い緑地の入り口には、十字架のモニュメントがあり、その遥か向こうに寺院が見えました。
聖域入り口の十字架
緑地を真っすぐ進んで行くと、冠をかぶった聖母マリアの像が現れました。
冠をかぶった聖母マリアの像
そのまま奥の方に歩いて行くと、おとぎ話に現れるような派手な建物が見えて来ました。それは、ノ-トルダム・デュ・ロゼール大聖堂(Basilique Notre Dame du Rosaire)でした。(記事冒頭の写真参照)
厳密に言うと、1階部分は聖母マリアの無原罪のお宿り(Basilique de l’Immaculee Conception)と言い、1871年に完成したネオゴシック様式の建築です。それは、聖母マリアが現れた*と言うマサビエルの洞窟(La grottte de Massabielle)の上に建てられています。その後、2階以上の部分にローマ・ビザンチン様式のノ-トルダム・デュ・ロゼール大聖堂が造られ、1889年に完成しました。この両者が一体となって、聖域の大聖堂を構成しております。
*次回のブログで詳しく説明します。
聖母マリアの無原罪のお宿りの正面入り口
大聖堂の丸屋根Le Dome
大聖堂の右側に沿って歩いて行くと、大勢の人が群がっていました。“奇跡の水”(l’eau de Lourdes)の水飲み場でした。私も他の皆さんと同じ様に、そこのお水を飲みさらにお水を汲んで水筒を満たしました。
ルルドの泉の水飲み場
ここでしばし休憩の後、更にポー川に沿って先に向かうと、マサビエルの洞窟(La grotte de Massabielle)がありました。
マサビエルの洞窟
この洞窟は、高さ27mの岩石に穿たれた洞窟で、高さ3.8m、奥行き9.5m、幅が9.85mの大きさです。正面には説教台、右手に多数のローソクが立てられた燭台、そして右手上部に聖母マリア像が立っています。
この洞窟の近くの橋を渡って、ポー川の対岸を眺めると壮大なノ-トルダム・デュ・ロゼール大聖堂が君臨していました。
ポー川から見たルルドの大聖堂
ピレネーの麓にあって自然景観に恵まれ、長い歴史を持ち、かつ名声高い聖母マリアの奇跡が広く信じられているルルドを訪れることができて、感慨深い時間を過ごしました。
(以下、次回のブログに続く)
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