10月4日(土)蓮の会ホールオペラ
~ヴェリズモオペラ第二弾~
川口リリア音楽ホール
【演目1】
マスカーニ/「カヴァレリア・ルスティカーナ」
【配役】
サントゥッツァ:小谷円香、トゥリッドゥ:小林浩、アルフィオ:旭潔、ローラ:岩崎京子、ルチア:横関文子 他
【演目2】
レオンカヴァッロ/「パリアッチ(道化師)」
【配役】
カニオ:小林浩、ネッダ:岩崎京子、トニオ:旭潔、ベッペ:大石将史、シルヴィオ:笹倉直也
【ピアノ】大賀美子
精力的なオペラ公演を続けている「蓮の会ホールオペラ」の今回の演目は、昨年に続きヴェリズモオペラの定番二本立て。どちらも充実したステージだった。どちらの演目も、上演時間が短い分無駄がなく、中身がギュッと濃く出来上がっている。その多くを緊迫したシーンや激情を訴えるシーンが占めている。それだけに出演者の力量が問われ、緊張も強いられるわけだが、ステージ経験豊富な蓮の会のベテラン歌手達は、ここぞという場面で本領を発揮し、観客を引き込んだ。
公演のディレクターでもあるバリトンの旭さんの存在感は相変わらず抜群。とりわけ凄みを効かせるシーンの熱を帯びた緊迫感は、会場の空気を一変させ、笑いを誘うコミカルな場面でも「このままでは済まない」という不穏な空気を作り出す。蓮の会の看板テノール、小林さんは歌も安定しているし、キビキビした立ち居振舞いが素晴らしく、緊迫シーンを引き締める。やはり両方のステージに登場したソプラノの岩崎さんは、濃厚で情熱的な歌唱が圧倒的。ボリュームのある美声で 芳香をふりまいた。パリアッチでペッペを歌った大石さんは、艶やかでしなやかな歌を聴かせ存在感を示した。更に出番の多い役で是非聴いてみたい。その他、登場した蓮の会の歌手陣はみんなそれぞれの重責を果たしていた。
演出では、客席フロアからの登場シーンが臨場感を高めていたこと、昨年は「パリアッチ」でホールの大鏡を活用して劇中劇の様子をうまく出していたが、今回は鏡がない分、歌手たちの身ぶりや歌いっぷりのちょっとした違いでさりげなくそれを示していたところなどが光っていた。
そして素晴らしかったのが大賀さんのピアノ。これが聴けるのも蓮の会のオペラ公演の大きな楽しみ。ダイナミックな表現も、叙情豊かな表情も、コミカルな描写も、どんな場面でも大賀さんはオベラの情景や登場人物の感情を歌い手に寄り添いつつ的確に伝える。オーケストラの弦の持続音が盛り上がってこそ聴き手の心を捉える「カヴァレリア」の間奏曲を、ピアノだけでここまでしっとりとかつ情熱的に聴かせてしまうのも素晴らしいし、「パリアッチ」の舞曲で聴かせた優雅で上品なセンス、そして幕切れのリストやラフマニノフもまっつぁおの天が崩れ落ちてくるような大迫力に、目の前がクラクラするほど心を鷲掴みにされた。指揮者なしのこの公演では大賀さんは指揮者の役割も担っているわけで、技と表現力と統率力を兼ね備えた超人的ピアニストに心からの拍手を送りたい。
蓮の会ホールオペラ公演「カヴァレリア・ルスティカーナ」&「パリアッチ」2013.9.29 蕨市立文化ホールくるる
~ヴェリズモオペラ第二弾~
川口リリア音楽ホール
【演目1】
マスカーニ/「カヴァレリア・ルスティカーナ」
【配役】
サントゥッツァ:小谷円香、トゥリッドゥ:小林浩、アルフィオ:旭潔、ローラ:岩崎京子、ルチア:横関文子 他
【演目2】
レオンカヴァッロ/「パリアッチ(道化師)」
【配役】
カニオ:小林浩、ネッダ:岩崎京子、トニオ:旭潔、ベッペ:大石将史、シルヴィオ:笹倉直也
【ピアノ】大賀美子
精力的なオペラ公演を続けている「蓮の会ホールオペラ」の今回の演目は、昨年に続きヴェリズモオペラの定番二本立て。どちらも充実したステージだった。どちらの演目も、上演時間が短い分無駄がなく、中身がギュッと濃く出来上がっている。その多くを緊迫したシーンや激情を訴えるシーンが占めている。それだけに出演者の力量が問われ、緊張も強いられるわけだが、ステージ経験豊富な蓮の会のベテラン歌手達は、ここぞという場面で本領を発揮し、観客を引き込んだ。
公演のディレクターでもあるバリトンの旭さんの存在感は相変わらず抜群。とりわけ凄みを効かせるシーンの熱を帯びた緊迫感は、会場の空気を一変させ、笑いを誘うコミカルな場面でも「このままでは済まない」という不穏な空気を作り出す。蓮の会の看板テノール、小林さんは歌も安定しているし、キビキビした立ち居振舞いが素晴らしく、緊迫シーンを引き締める。やはり両方のステージに登場したソプラノの岩崎さんは、濃厚で情熱的な歌唱が圧倒的。ボリュームのある美声で 芳香をふりまいた。パリアッチでペッペを歌った大石さんは、艶やかでしなやかな歌を聴かせ存在感を示した。更に出番の多い役で是非聴いてみたい。その他、登場した蓮の会の歌手陣はみんなそれぞれの重責を果たしていた。
演出では、客席フロアからの登場シーンが臨場感を高めていたこと、昨年は「パリアッチ」でホールの大鏡を活用して劇中劇の様子をうまく出していたが、今回は鏡がない分、歌手たちの身ぶりや歌いっぷりのちょっとした違いでさりげなくそれを示していたところなどが光っていた。
そして素晴らしかったのが大賀さんのピアノ。これが聴けるのも蓮の会のオペラ公演の大きな楽しみ。ダイナミックな表現も、叙情豊かな表情も、コミカルな描写も、どんな場面でも大賀さんはオベラの情景や登場人物の感情を歌い手に寄り添いつつ的確に伝える。オーケストラの弦の持続音が盛り上がってこそ聴き手の心を捉える「カヴァレリア」の間奏曲を、ピアノだけでここまでしっとりとかつ情熱的に聴かせてしまうのも素晴らしいし、「パリアッチ」の舞曲で聴かせた優雅で上品なセンス、そして幕切れのリストやラフマニノフもまっつぁおの天が崩れ落ちてくるような大迫力に、目の前がクラクラするほど心を鷲掴みにされた。指揮者なしのこの公演では大賀さんは指揮者の役割も担っているわけで、技と表現力と統率力を兼ね備えた超人的ピアニストに心からの拍手を送りたい。
蓮の会ホールオペラ公演「カヴァレリア・ルスティカーナ」&「パリアッチ」2013.9.29 蕨市立文化ホールくるる