9月24日(日)モンテヴェルディ 《聖母マリアの夕べの祈り》
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【演 奏】
S:ソフィ・ユンカー、松井亜希/A:青木洋也/T:櫻田 亮、谷口洋介、中嶋克彦/B:シュテファン・フォック、加耒 徹
鈴木雅明 指揮 バッハ・コレギウム・ジャパン/コンチェルト・パラティーノ
バッハ・コレギウム・ジャパンが、生誕450年を迎えたモンテヴェルディのアニバーサリーを飾るに相応しい公演を行った。モンテヴェルディは、その知名度ほど音楽に触れる機会は決して多くない。そんななか今日の公演は、モンテヴェルディが聴く者の心をいかに震わせ、奮い起たせ、勇気づけ、陶酔させ、そして癒しを与える音楽を書いた作曲家であったかをリアルに体験させてくれるものだった。
選りすぐりの精鋭たちによる演奏は常に生気に満ち、気高く、輝かしい響きとともに聴き手の心を掴んだ。これは、鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンの総力によってもたらされたものだ。典礼のためにラテン語で書かれた、信者でない者にとっては一見退屈な歌詞が、こんなにも生き生きと、人間的な感情を伴って心にストレートに訴えかけてくる演奏、こういう演奏があるからこそ、400年以上も前に書かれた作品が博物館に陳列されるのではなく、時空を越えて私達の心を潤す貴重な遺産であり続けるのだろう。
演奏を聴いていたら、溢れる生命力、愛する者へ向ける官能的と言えるほどの愛情や憧れ、信じるものに対する深く揺るぎない信念、この世界を司る目に見えない存在への敬意と畏怖の念、そして、そこからもたらされる期待と、踊りだしたくなるほどの喜び、そういった感情で胸がいっぱいになった。そして、モンテヴェルディの書いた音には全てに意味があり、どれもが大切なメッセージを持っていることが、随所で伝わってくる。
一例を挙げれば、第11曲「聖なるマリアよ、われらのために祈りたまえ」で、ソプラノパートで繰り返される無心の祈りのシンプルな旋律と、その間に挿入される器楽合奏のめまぐるしい動きの対比からは、一心に祈る人の熱い心の内が感じられるようだった。また、度々登場する歌のメリスマや、器楽のトリルといった装飾的な音の動きが、単なる華美を装うための飾りではなく、人の心の打ち震える喜びや、畏怖の念などを表しているということが、今日の演奏からははっきりと伝わってきた。
これは、演奏者が音楽を徹底的に深く読み込み、共感を以てそこに込められた意味を明らかにし、それを指揮の鈴木雅明が揺るぎないメッセージとしてまとめ、伝えてくるからに他ならないだろう。このような演奏こそ、聴く人に強く訴えかけ、共感をもたらすのだ。終演後の聴衆の反応が、それを物語っていた。モンテヴェルディの音楽をこのような演奏で聴ける幸せを噛みしめた。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第121回定期演奏会(2017.3.20 東京オペラシティタケミツメモリアル)
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【演 奏】
S:ソフィ・ユンカー、松井亜希/A:青木洋也/T:櫻田 亮、谷口洋介、中嶋克彦/B:シュテファン・フォック、加耒 徹
鈴木雅明 指揮 バッハ・コレギウム・ジャパン/コンチェルト・パラティーノ
バッハ・コレギウム・ジャパンが、生誕450年を迎えたモンテヴェルディのアニバーサリーを飾るに相応しい公演を行った。モンテヴェルディは、その知名度ほど音楽に触れる機会は決して多くない。そんななか今日の公演は、モンテヴェルディが聴く者の心をいかに震わせ、奮い起たせ、勇気づけ、陶酔させ、そして癒しを与える音楽を書いた作曲家であったかをリアルに体験させてくれるものだった。
選りすぐりの精鋭たちによる演奏は常に生気に満ち、気高く、輝かしい響きとともに聴き手の心を掴んだ。これは、鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンの総力によってもたらされたものだ。典礼のためにラテン語で書かれた、信者でない者にとっては一見退屈な歌詞が、こんなにも生き生きと、人間的な感情を伴って心にストレートに訴えかけてくる演奏、こういう演奏があるからこそ、400年以上も前に書かれた作品が博物館に陳列されるのではなく、時空を越えて私達の心を潤す貴重な遺産であり続けるのだろう。
演奏を聴いていたら、溢れる生命力、愛する者へ向ける官能的と言えるほどの愛情や憧れ、信じるものに対する深く揺るぎない信念、この世界を司る目に見えない存在への敬意と畏怖の念、そして、そこからもたらされる期待と、踊りだしたくなるほどの喜び、そういった感情で胸がいっぱいになった。そして、モンテヴェルディの書いた音には全てに意味があり、どれもが大切なメッセージを持っていることが、随所で伝わってくる。
一例を挙げれば、第11曲「聖なるマリアよ、われらのために祈りたまえ」で、ソプラノパートで繰り返される無心の祈りのシンプルな旋律と、その間に挿入される器楽合奏のめまぐるしい動きの対比からは、一心に祈る人の熱い心の内が感じられるようだった。また、度々登場する歌のメリスマや、器楽のトリルといった装飾的な音の動きが、単なる華美を装うための飾りではなく、人の心の打ち震える喜びや、畏怖の念などを表しているということが、今日の演奏からははっきりと伝わってきた。
これは、演奏者が音楽を徹底的に深く読み込み、共感を以てそこに込められた意味を明らかにし、それを指揮の鈴木雅明が揺るぎないメッセージとしてまとめ、伝えてくるからに他ならないだろう。このような演奏こそ、聴く人に強く訴えかけ、共感をもたらすのだ。終演後の聴衆の反応が、それを物語っていた。モンテヴェルディの音楽をこのような演奏で聴ける幸せを噛みしめた。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第121回定期演奏会(2017.3.20 東京オペラシティタケミツメモリアル)
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け