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N響 2017年9月B定期(パーヴォ・ヤルヴィ指揮)

2017年09月30日 | pocknのコンサート感想録2017
9月28日(木)パーヴォ・ヤルヴィ指揮 NHK交響楽団
《2017年9月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1. バルトーク/弦楽のためのディヴェルティメント
2.バルトーク/舞踏組曲
3.バルトーク/弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽

サントリーホールが大規模な改修工事のために休館だった期間はN響のB定期もお休みだったため、今年の1月以来の久々のN響定期となったシーズン幕開けの9月定期は、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが指揮台に立った。曲目はオールバルトーク。パーヴォの高いテンションが発揮されそう。

最初のディヴェルティメントはN響の弦楽合奏のクオリティーの高さを見せつけた。民族色も混じった作品だが、パーヴォ/N響は洗練の極み。ハーモニーが透明で美しいだけではなく、深みのある色彩や香りがある。それだけではない。一旦発せられた音が、更に変幻自在に色合いや肌触りを変えて行く。各パートの柔らかな語り口、アインザッツの表情にまで微細なコントロールが行き届き、フレーズ全体が淡いグラデーションを装う。どれもが滑らかでありながら、熱く雄弁に語りかけてきた。

次の舞踊組曲は、プログラム中唯一管楽器が加わり、「管弦楽団」として演奏された作品。これは最初のディヴェルティメントの路線を更に突き進んだ演奏となった。切れ味は鋭くて深く、その切り口は瑞々しく鮮やか。管楽器のソロはどんなに難しそうなパッセージでも寸分違わずアクティブに入ってきて鮮やかなパフォーマンスを聴かせる。パーヴォの緻密かつアグレッシブな指揮が、アンサンブルを精巧な造形物に組み立て、更にそこに熱い息吹が吹き込まれ、終盤では聴いていてトリハダが立った。非の打ち所のない演奏とはこういう演奏だと思った。以前、サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団で聴いた「中国の不思議な役人」の演奏が蘇った。

こうなると後半の曲目への期待が一層高まる。中央に配置された打楽器の両翼に弦楽器群を配し、楽器のバラエティーは少ないのに壮観な眺め。けれど、演奏から受けたインパクトは残念ながら強くはなかった。前半の2曲に比べて、音の密度やベクトルの強さ、更には集中力も物足りない。弦楽合奏が2群に分かれるので、1つのパートの人数が半減するわけで、それが少数精鋭の研ぎ澄まされた演奏に昇華すればいいのだが、分散されて薄まってしまった印象だったのは残念。

但し、聴衆の反応は前半では出なかったブラボーまで出て、なかなかの盛り上がり。パーヴォの演奏のときは、会場の空気と自分の気持ちの温度差を感じることが少なくない。前半はトリハダが立つほど感動したのも合わせて、今夜も温度差を感じる演奏会となった。次は最後まで感動したいなー
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