11月6日(日)川合良一指揮 東京理科大学管弦楽団
~第52回定期演奏会~
新宿文化センター
【曲目】
1.エルガー/独創主題による変奏曲(エニグマ変奏曲)
2.チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調「悲愴」Op.74
【アンコール】
バッハ/アリア
2年前の記念定期演奏会で、プーランクの「グロリア」の合唱に参加させてもらった時以来、2年ぶりに聴く理科大オケの定演、プログラムには大曲が並んだ。
エルガーの「エニグマ」は、昔、都響の定期で聴いた記憶はあるものの、どんな曲か全く思い出せないほど馴染みは薄いが、これがなかなか楽しめた。この曲には、それぞれの変奏で、エルガーにゆかりの人物が描かれていて、誰をイメージした曲か?という謎かけ(エニグマ)が隠されているのが曲名の由来というが、プログラムの解説で、それぞれの変奏に隠された人物の特徴が分かりやすく紹介されていたおかげで、これを頼りに演奏を聴くと、イメージがよく伝わってきた。
演奏自体も、勢いとか密度とか、歌いまわしの加減がよくコントロールされ、それぞれの楽曲の持つ多様な特徴がくっきりと描かれていたと思う。第9変奏と終曲は聴き覚えのある曲で、特に第9変奏は、最近ドイツのクラシック専門のインターネットラジオで流れていて、「すごくいい曲だけど何だろう」と思っていた曲が、これだとわかった。遠い山の彼方へ響き渡るような雄大で伸びやかな調べに、ぐっと来た。休憩時間、トイレに並んでいたら、後ろから「やっぱり生演奏はいいね、全然ちかうよ!」「うん、トリハダが立った」という会話が聞こえて来た。
後半の大曲は超有名曲の「悲愴」。この曲には、4楽章の「死」のイメージが常につきまとうが、川合先生と理科大オケは、この曲を「死にゆく音楽」としてではなく、「生へのこだわり」の音楽として聴かせた。それは、学生達のエネルギッシュなパワーからそう感じたところもあるし、第4楽章のコントラバスの「呻き」が、最後まで「生きよう」と声を上げているように聞えたところからも、そんな「生へのこだわり」が伝わってきたとも言える。
全体として、パワフルな場面での演奏がとりわけ充実していた。中でも金管アンサンブルが、がっしりと音楽の骨太な骨格を形作っていたが、クラリネットの弱音の表現力もうまい!と思った。川合先生の、前へ進んで行くアプローチに弦もしっかりついて来たが、さらに死に物狂い的な気迫があると、この演奏のコンセプトがより明確に見えてきたようにも感じた。
アンコールでやったバッハは、チェロが活躍する珍しいバージョンだったが、チェロパートからは、「悲愴」でもそうだったが、弦のパートのなかでも、特に「歌」への強い思い入れが伝わってきた。
~第52回定期演奏会~
新宿文化センター
【曲目】
1.エルガー/独創主題による変奏曲(エニグマ変奏曲)
2.チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調「悲愴」Op.74
【アンコール】
バッハ/アリア
2年前の記念定期演奏会で、プーランクの「グロリア」の合唱に参加させてもらった時以来、2年ぶりに聴く理科大オケの定演、プログラムには大曲が並んだ。
エルガーの「エニグマ」は、昔、都響の定期で聴いた記憶はあるものの、どんな曲か全く思い出せないほど馴染みは薄いが、これがなかなか楽しめた。この曲には、それぞれの変奏で、エルガーにゆかりの人物が描かれていて、誰をイメージした曲か?という謎かけ(エニグマ)が隠されているのが曲名の由来というが、プログラムの解説で、それぞれの変奏に隠された人物の特徴が分かりやすく紹介されていたおかげで、これを頼りに演奏を聴くと、イメージがよく伝わってきた。
演奏自体も、勢いとか密度とか、歌いまわしの加減がよくコントロールされ、それぞれの楽曲の持つ多様な特徴がくっきりと描かれていたと思う。第9変奏と終曲は聴き覚えのある曲で、特に第9変奏は、最近ドイツのクラシック専門のインターネットラジオで流れていて、「すごくいい曲だけど何だろう」と思っていた曲が、これだとわかった。遠い山の彼方へ響き渡るような雄大で伸びやかな調べに、ぐっと来た。休憩時間、トイレに並んでいたら、後ろから「やっぱり生演奏はいいね、全然ちかうよ!」「うん、トリハダが立った」という会話が聞こえて来た。
後半の大曲は超有名曲の「悲愴」。この曲には、4楽章の「死」のイメージが常につきまとうが、川合先生と理科大オケは、この曲を「死にゆく音楽」としてではなく、「生へのこだわり」の音楽として聴かせた。それは、学生達のエネルギッシュなパワーからそう感じたところもあるし、第4楽章のコントラバスの「呻き」が、最後まで「生きよう」と声を上げているように聞えたところからも、そんな「生へのこだわり」が伝わってきたとも言える。
全体として、パワフルな場面での演奏がとりわけ充実していた。中でも金管アンサンブルが、がっしりと音楽の骨太な骨格を形作っていたが、クラリネットの弱音の表現力もうまい!と思った。川合先生の、前へ進んで行くアプローチに弦もしっかりついて来たが、さらに死に物狂い的な気迫があると、この演奏のコンセプトがより明確に見えてきたようにも感じた。
アンコールでやったバッハは、チェロが活躍する珍しいバージョンだったが、チェロパートからは、「悲愴」でもそうだったが、弦のパートのなかでも、特に「歌」への強い思い入れが伝わってきた。