11月7日(月)MAROワールド 番外編 “MAROとハンガリーの仲間たち”by 篠崎“まろ”史紀 
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王子ホール
【曲目】
♪ブラームス/ハンガリー舞曲集~第1番/第5番
♪フバイ/6つのハンガリー詩曲 Op.27~第1番/第6番
♪サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン Op.20
♪リスト/ハンガリー狂詩曲 第2番
♪ヴェチェイ/悲しいワルツ
♪ツィンバロン ソロ曲
♪フバイ/“揺れるバラトン”
♪モンティ/チャールダーシュ
♪レメーニ・エデ/雷鳴のチャールダーシュ
/飛べ 私のつばめ
【アンコール】
♪中村八大/見上げてごらん/上を向いて歩こう
♪ハンガリーロマの民謡/Marozart/チャールダッシュ
♪レイニク/ひばり
Vn:篠崎史紀、セルメチ・ヤーノシュ/Vla:ホルヴァート・ティボール/Cb:ガブラ・ジュラ/ツィンバロン:ウクルシュ・オスカール/Cl:豊永美恵
今夜のMAROワールドは「番外編」ということで、マロさんとハンガリーの仲間達によるジプシー音楽オンパレード。ジプシー音楽の歌とリズムの熱い渦の中に聴衆を巻き込み、ステージと客席が一体となって燃え上がるコンサートとなった。
マロさんのハンガリーの仲間達は超一級の本場ジプシーバンド。4人のバンドメンバーのジプシーの血が沸き上がるようなスゴいアンサンブルに、マロさんのヴァイオリンは一歩も臆することなく、アンサンブルをフィーチャーする姿もお見事。モンティのチャールダッシュはマロさんの十八番の一つではあるが、ジプシー音楽を、本場のメンバーと、ここまで意気投合してノリノリに演奏している場面を目の当りにすると、マロさんにはジプシーの血が流れているのでは、とさえ思ってしまう。
もう一人の日本人、クラの豊永さんの演奏も見事!ハンガリー人の師匠を持ち、ハンガリーに留学したからといって、誰もがジプシーバンドのセッションの渦中で、ここまでなり切って熱い歌を歌いまくれるものではないだろう。これは、マロさん、豊永さんのすごい力量が為せるのはもちろんだが、ハンガリーの4人のジプシーバンドが、アンサンブル全体を、そして客席をもジプシー色に染め上げてしまうテンションと包容力の影響も大きいに違いない。
そのバンドで目も耳も奪い続けたのは、ウクルシュ オスカールのティンバロン。バチ捌きでの目が回るような早業はまるで曲芸を見るように鮮やか。その演奏は、独特な音色と相まって、行ったことのない、異国の情緒と人々の情熱を伝える。セルメチ ヤーノシュのヴァイオリンも素晴らしい。人肌の温もりを思わせる温かな音色と滑らかな歌い回しから、ジプシー音楽が、血沸き肉踊る激しいものだけではないことを教えてくれる。コントラバスとビオラは、いつも伴奏役だが、アンサンブルでは重要な役目を担っている。コントラバスのカプラ ジュラが、躍動するリズムを司り、ビオラのホルヴァート ティポールの、チャールダッシュでの裏打ちのタイミングは、ただの「ンパ・ンパ」とはまるで違った呼吸で、まさにリズムに命を与えていた。
こうした「濃い」6人が、ソロから全員の合奏まで、いろいろな組み合わせで繰り広げるジプシー音楽の数々は、演奏が進むにつれてどんどんとテンションを上げ、それはアンコール最後の曲まで昇り続けた。客席からは掛け声や手拍子、セッションでのソロのパフォーマンスに拍手が入るなど、お客の気分もどんどん高揚して行って、最後の「ひばり」で最高潮に達した。手拍子だけではなく、その場で立って踊りだしたい気分!これはクラシックの演奏会というより、ライブハウスだ。楽しかった!
古くはハイドン、そしてブラームスやリストなど、並み居る作曲家たちがジプシー音楽になぜここまで惹きつけられたかを身をもって体験し、更に、例えばブラームスのハンガリー舞曲を本来のジプシー音楽の姿で聴けたことで、「アンコールでなら大袈裟にやってもありかな」なんて今まで思っていたのが、大袈裟にやってこそ曲の魅力が存分に発揮されることを認識する機会にもなった。
※この演奏会では、プログラム中の表記も、演奏会でのマロさんのトークでも、「ジプシー」という呼称を使っていたため、この感想文では、全てこの呼称を用いました。
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王子ホール
【曲目】
♪ブラームス/ハンガリー舞曲集~第1番/第5番
♪フバイ/6つのハンガリー詩曲 Op.27~第1番/第6番
♪サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン Op.20
♪リスト/ハンガリー狂詩曲 第2番
♪ヴェチェイ/悲しいワルツ
♪ツィンバロン ソロ曲
♪フバイ/“揺れるバラトン”
♪モンティ/チャールダーシュ
♪レメーニ・エデ/雷鳴のチャールダーシュ
/飛べ 私のつばめ
【アンコール】
♪中村八大/見上げてごらん/上を向いて歩こう
♪ハンガリーロマの民謡/Marozart/チャールダッシュ
♪レイニク/ひばり
Vn:篠崎史紀、セルメチ・ヤーノシュ/Vla:ホルヴァート・ティボール/Cb:ガブラ・ジュラ/ツィンバロン:ウクルシュ・オスカール/Cl:豊永美恵
今夜のMAROワールドは「番外編」ということで、マロさんとハンガリーの仲間達によるジプシー音楽オンパレード。ジプシー音楽の歌とリズムの熱い渦の中に聴衆を巻き込み、ステージと客席が一体となって燃え上がるコンサートとなった。
マロさんのハンガリーの仲間達は超一級の本場ジプシーバンド。4人のバンドメンバーのジプシーの血が沸き上がるようなスゴいアンサンブルに、マロさんのヴァイオリンは一歩も臆することなく、アンサンブルをフィーチャーする姿もお見事。モンティのチャールダッシュはマロさんの十八番の一つではあるが、ジプシー音楽を、本場のメンバーと、ここまで意気投合してノリノリに演奏している場面を目の当りにすると、マロさんにはジプシーの血が流れているのでは、とさえ思ってしまう。
もう一人の日本人、クラの豊永さんの演奏も見事!ハンガリー人の師匠を持ち、ハンガリーに留学したからといって、誰もがジプシーバンドのセッションの渦中で、ここまでなり切って熱い歌を歌いまくれるものではないだろう。これは、マロさん、豊永さんのすごい力量が為せるのはもちろんだが、ハンガリーの4人のジプシーバンドが、アンサンブル全体を、そして客席をもジプシー色に染め上げてしまうテンションと包容力の影響も大きいに違いない。
そのバンドで目も耳も奪い続けたのは、ウクルシュ オスカールのティンバロン。バチ捌きでの目が回るような早業はまるで曲芸を見るように鮮やか。その演奏は、独特な音色と相まって、行ったことのない、異国の情緒と人々の情熱を伝える。セルメチ ヤーノシュのヴァイオリンも素晴らしい。人肌の温もりを思わせる温かな音色と滑らかな歌い回しから、ジプシー音楽が、血沸き肉踊る激しいものだけではないことを教えてくれる。コントラバスとビオラは、いつも伴奏役だが、アンサンブルでは重要な役目を担っている。コントラバスのカプラ ジュラが、躍動するリズムを司り、ビオラのホルヴァート ティポールの、チャールダッシュでの裏打ちのタイミングは、ただの「ンパ・ンパ」とはまるで違った呼吸で、まさにリズムに命を与えていた。
こうした「濃い」6人が、ソロから全員の合奏まで、いろいろな組み合わせで繰り広げるジプシー音楽の数々は、演奏が進むにつれてどんどんとテンションを上げ、それはアンコール最後の曲まで昇り続けた。客席からは掛け声や手拍子、セッションでのソロのパフォーマンスに拍手が入るなど、お客の気分もどんどん高揚して行って、最後の「ひばり」で最高潮に達した。手拍子だけではなく、その場で立って踊りだしたい気分!これはクラシックの演奏会というより、ライブハウスだ。楽しかった!
古くはハイドン、そしてブラームスやリストなど、並み居る作曲家たちがジプシー音楽になぜここまで惹きつけられたかを身をもって体験し、更に、例えばブラームスのハンガリー舞曲を本来のジプシー音楽の姿で聴けたことで、「アンコールでなら大袈裟にやってもありかな」なんて今まで思っていたのが、大袈裟にやってこそ曲の魅力が存分に発揮されることを認識する機会にもなった。
※この演奏会では、プログラム中の表記も、演奏会でのマロさんのトークでも、「ジプシー」という呼称を使っていたため、この感想文では、全てこの呼称を用いました。