日本で鉄道を利用してサイクリングを楽しもうと思ったら、折りたたみ式か組み立て式の自転車がないと不可能だろう。ドイツやオーストリアでは殆んどどの列車にも自転車をそのまま持ち込むことができる。ウィーンやベルリンといった大都市の通勤電車や地下鉄にさえ普通に自転車を乗せているのを見たときはさすがにビックリした。 | ウィーン市内を走る地下鉄に自転車を持ち込むおじさん |
もちろん自転車を乗せられる決まった車輛やスペースがあるのだが、見ているとほぼ全ての車輛が自転車持ち込みOKっぽい。人々は気軽に最寄りの駅まで自転車で行くと、その自転車を電車に持ち込み、駅を降りると目的地までまた自転車をこいで行く。なんと効率的なシステムだろう。日常の生活にも便利だし、休日のサイクリングでも楽しさ倍増だ。
日本の乗降客数を考えたら同じことは日本では不可能だろうが、ウィーンやベルリンでは通勤時間ともなればそれなりに車内は混雑する。それでもこのシステムは機能しているわけで、ヨーロッパではきっと自転車はずっと昔から人々に欠かせない交通手段として根付き、自転車と人とがうまく共存するシステムが育まれてきたのだろう。
そんな自転車のためにドイツやオーストリアの多くの道路には自転車専用ゾーン(Radweg)が設けられている。これはたいてい歩道の車道側半分がラインや色で歩道と区別されているだけで見分けにくいこともある。これを知らずに歩道のつもりで自転車専用ゾーンを歩いてしまったり、信号待ちでそこに入ってつったっていると自転車にけたたましくベルを鳴らされてしまう。接触事故だって起こりかねない。
でも「こちらでは歩行者は歩道も安心して歩けませんね…」なんて言えば自転車ゾーンと歩道の違いをはっきり認識している現地の人はきっとどうしてそんなことをいうのか理解できないだろう。かれらにとっては自転車が歩行者用のゾーンを通行できることも多い日本のほうがよっぽど怖いかも知れない。
ドイツやオーストリアでの公共の交通機関への自転車持ち込みについては、州や町によってそれぞれルールがあり料金も異なる。自転車用のワンデーチケットやマンスリーチケットもある。ラッシュ時は持ち込みが禁止されている町もあるが、大都市ベルリンでは「スペースが十分あることを確認のうえ…」という記述のみで特に禁止の時間帯はない。利用者の責任に委ねられているあたり成熟した社会だなぁ、と感じるが、本当に混乱はないのだろうか? ベルリンでの電車への自転車持込みについて(ドイツ語サイト) |
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