12月10日(金)寺神戸 亮/レ・ボレアードによるオペラ公演
~北とぴあ国際音楽祭2021~
北とぴあ・さくらホール
【演目】
♪ ルベル/様々な舞曲
♪ リュリ/コメディ・バレ「町人貴族」諸国民のバレより
♪ リュリ/音楽悲劇「アルミ―ド」第5幕第2場より
♪ ラモー/オペラ「プラテ」第2幕第5場より
♪ コレッリ/ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタOp.5~フォーリア
♪ ♪ ♪ ♪ ラモー/アクト・ド・バレ「アナクレオン」(1757年版)
【出演】
アナクレオン:与那城 敬/愛の神:湯川亜也子/バッカスの巫女:佐藤裕希恵/前半の歌:波多野睦美
【バロックダンス】ピエール=フランソワ・ドレ、松本更紗
【管弦楽と合唱】
寺神戸 亮/レ・ボレアード
【演出】ピエール=フランソワ・ドレ
北とぴあ国際音楽祭の毎年の目玉は、寺神戸亮とレ・ボレアードによるバロックオペラの上演だ。昨年予定され、今年に延期されたリュリの大規模な「アルミ―ド」の日本初演は、またも中止となってしまった。これは、このところのオミクロン騒ぎのかなり前からの決定で、代わりにラモーの1幕もののオペラ「アナクレオン」他が上演されることとなった。そんな状況のなか「アルミ―ド」に出演予定だった大物の外来ゲストダンサー、フランソワ・ドレが来日を果たし、素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。
前半は、ドレと松本更紗によるバロックダンスに波多野睦美の歌が加わり、4人の作曲家による舞曲やオペラの名場面。まず何と云ってもドレと松本のダンスが目と心を引いた。ダンスのことはよくわからないが、指の末端まで神経が行き届き、ムーブマンに溢れた表現で次々と変わるシーンに合わせて全身で大胆かつ優美に踊り、おどけた動きで聴衆の笑いを誘うシーンもあり、言葉を発しない表現芸術として光彩を放った。ドレと松本の間は、見えない糸で繋がっているようにお互いの動きがシンクロして、レ・ボレアードの演奏と波多野の歌と共に美しいアンサンブルを奏でた。波多野の歌は、美しく温かい声と自然な息遣いで聴き手の心を優しく包み、落ち着いた品と味わいがあって絶品だった。
後半はラモーのオペラ「アナクレオン」。演奏会形式ということだが、振付や衣装、小道具など、オペラとしてリアルに楽しめる演出が施され、2人のダンサーが加わったことで視覚的にも魅了された。ストーリーは酒と女と愛を賛美する単純なもので、気楽に楽しむことができた。
アナクレオン役の与那城敬は、明快で堂々とした歌と振る舞いで抜群のインパクトをもたらし、愛の神を歌った湯川亜也子は、貫禄ある魅惑的な歌唱で存在感を発揮。バッカスの巫女役の佐藤裕希恵も澄んだくっきりした美声で生き生きとした歌を振りまいた。こちらでも大活躍した2人のダンサーと共に、歌手らも振り付けを入れてお色気を見せたのも良かった。総勢15名の合唱は艶やかで瑞々しい声とハーモニーで、このオペラの陽気な気分を高めてくれた。
そして寺神戸亮がリードするレ・ボレアードの合奏は、前半の曲目から興に乗った快活な表情に、自然で優雅な味わいも伴って終始魅了した。バロック時代の宮廷の華やいだ空気を運んでくるようでウキウキワクワクした。彼らはこの音楽祭の要の存在だ。バロック音楽と云えばやはり真っ先にバッハが浮かぶが、バッハとはまた異なるこんなにも多様で豊かな世界があることを体験させてくれた。
最後のコントルダンスでは合唱団も前に繰り出し全員手を繋いで歌いながら、フォークダンスのように陽気で楽しいシーンを演出!ソーシャルディスタンスなんてどこ吹く風。そもそも手を繋ぎ合ったからってコロナが移るわけではないことを示してくれたのも嬉しい。
毎年の北とぴあ音楽祭でのレ・ボレアードの公演は、バロックオペラの素晴らしさと楽しさを味わえる絶好で貴重な機会だ。3度目の正直となる来年の「アルミード」の日本初演がますます楽しみになった。
ベートーヴェン、交響曲前夜。~北とぴあ国際音楽祭2020より~(2020.11.14 北とぴあ・つつじホール)
ヘンデル「リナルド」~北とぴあ国際音楽祭2019より~(2019.12.1 北とぴあ・さくらホール)
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~北とぴあ国際音楽祭2021~
北とぴあ・さくらホール
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♪ コレッリ/ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタOp.5~フォーリア
【出演】
アナクレオン:与那城 敬/愛の神:湯川亜也子/バッカスの巫女:佐藤裕希恵/前半の歌:波多野睦美
【バロックダンス】ピエール=フランソワ・ドレ、松本更紗
【管弦楽と合唱】
寺神戸 亮/レ・ボレアード
【演出】ピエール=フランソワ・ドレ
北とぴあ国際音楽祭の毎年の目玉は、寺神戸亮とレ・ボレアードによるバロックオペラの上演だ。昨年予定され、今年に延期されたリュリの大規模な「アルミ―ド」の日本初演は、またも中止となってしまった。これは、このところのオミクロン騒ぎのかなり前からの決定で、代わりにラモーの1幕もののオペラ「アナクレオン」他が上演されることとなった。そんな状況のなか「アルミ―ド」に出演予定だった大物の外来ゲストダンサー、フランソワ・ドレが来日を果たし、素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。
前半は、ドレと松本更紗によるバロックダンスに波多野睦美の歌が加わり、4人の作曲家による舞曲やオペラの名場面。まず何と云ってもドレと松本のダンスが目と心を引いた。ダンスのことはよくわからないが、指の末端まで神経が行き届き、ムーブマンに溢れた表現で次々と変わるシーンに合わせて全身で大胆かつ優美に踊り、おどけた動きで聴衆の笑いを誘うシーンもあり、言葉を発しない表現芸術として光彩を放った。ドレと松本の間は、見えない糸で繋がっているようにお互いの動きがシンクロして、レ・ボレアードの演奏と波多野の歌と共に美しいアンサンブルを奏でた。波多野の歌は、美しく温かい声と自然な息遣いで聴き手の心を優しく包み、落ち着いた品と味わいがあって絶品だった。
後半はラモーのオペラ「アナクレオン」。演奏会形式ということだが、振付や衣装、小道具など、オペラとしてリアルに楽しめる演出が施され、2人のダンサーが加わったことで視覚的にも魅了された。ストーリーは酒と女と愛を賛美する単純なもので、気楽に楽しむことができた。
アナクレオン役の与那城敬は、明快で堂々とした歌と振る舞いで抜群のインパクトをもたらし、愛の神を歌った湯川亜也子は、貫禄ある魅惑的な歌唱で存在感を発揮。バッカスの巫女役の佐藤裕希恵も澄んだくっきりした美声で生き生きとした歌を振りまいた。こちらでも大活躍した2人のダンサーと共に、歌手らも振り付けを入れてお色気を見せたのも良かった。総勢15名の合唱は艶やかで瑞々しい声とハーモニーで、このオペラの陽気な気分を高めてくれた。
そして寺神戸亮がリードするレ・ボレアードの合奏は、前半の曲目から興に乗った快活な表情に、自然で優雅な味わいも伴って終始魅了した。バロック時代の宮廷の華やいだ空気を運んでくるようでウキウキワクワクした。彼らはこの音楽祭の要の存在だ。バロック音楽と云えばやはり真っ先にバッハが浮かぶが、バッハとはまた異なるこんなにも多様で豊かな世界があることを体験させてくれた。
最後のコントルダンスでは合唱団も前に繰り出し全員手を繋いで歌いながら、フォークダンスのように陽気で楽しいシーンを演出!ソーシャルディスタンスなんてどこ吹く風。そもそも手を繋ぎ合ったからってコロナが移るわけではないことを示してくれたのも嬉しい。
毎年の北とぴあ音楽祭でのレ・ボレアードの公演は、バロックオペラの素晴らしさと楽しさを味わえる絶好で貴重な機会だ。3度目の正直となる来年の「アルミード」の日本初演がますます楽しみになった。
ベートーヴェン、交響曲前夜。~北とぴあ国際音楽祭2020より~(2020.11.14 北とぴあ・つつじホール)
ヘンデル「リナルド」~北とぴあ国際音楽祭2019より~(2019.12.1 北とぴあ・さくらホール)
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