DSH等の受験
「ドイツへ留学したい!」と思い立って、準備を進めてきた留学計画の最後の難関は各大学で行われるドイツ語テストや、ドイツ語コース受け入のためのテストだ。この試験は志望留学先大学まで出向いて受けなければならない。不合格→帰国、なんていう最悪のシナリオは何としても避けたい。DSHとはどんな試験か。
2004年6月にDSHの新しい実施規定が施行された。旧規定との大きな違いは、従来「合格か不合格」としか判定されなかったものが以下のDSH-3~DSH-1の3段階評定となり、更に合格最低ラインが引き下げられたこと。但し、最低合格評定値のDSH-1では原則として入学許可には不十分。
【DSHの3段階評定】
2001年よりTOEFLのドイツ語版ともいえる世界基準のドイツ語統一試験(TestDaF)が実施され、TestDaFが普及するに従ってDSHに取って代わると思われていたが、TestDaFは世界で同時に同じ条件で試験を行うことが求められ、世界規模での実施に困難な問題も多く、DSHはTestDaFと並んで、今後も留学生にとっては重要なドイツ語試験として継続される見込み。以下はDSHの概要。
DSHは各大学それぞれが独自に実施するが、すべての大学のDSHは全国統一の実施規定(DSH-Rahmenordnung)に基づいて出題される。試験は「筆記試験」と「口述試験」に分かれる。筆記試験は4時間に及び、体力と集中力の持続が求められる。筆記試験で最低ライン(57%)をクリアすると、別の日に行われる口述試験の受験ができる。筆記試験で合格ラインをクリアできなければ、その時点で不合格となる。
筆記試験では次の3つの分野の問題で構成される。学部の専門分野に関するようなテーマは取り上げられないが、大学生として当然知っているべき基礎的な学問知識はあることが前提として出題される。
1.聞き取り
2. 読解と応用力、学術的な構成力
3. 文章の構成能力を審査する問題
口述試験では大学のゼミナール等の授業において、討論・発表・意見交換等のスムーズなコミュニケーションができるかが問われる。所要時間は最長40分。最長20分の準備時間が与えられ、短いテキストや図表を読み解いて5分程度でそれについての内容や意見を述べたあと、試験官との問答が行われる。話す内容、正確さ、発音やイントネーションだけでなく、しゃべり方なども審査の対象となる。
筆記試験で57%以上正答した者だけが口述試験に進め、ここでも57%以上正答した場合に合格とされる。合格者は筆記と口述のうち正答率の低い方の評定が下表に基づいて総合評定として適用される。
外部サイトで複数の大学のDSHの出題例を紹介しているページがある。DSHが実際どんな試験なのかを知り、力試しをするのは良い準備になる。サイトに書かれているが、DSHの出題基準に則っていない場合もあることには留意のこと。
DSH準備コースを実施している大学は、その受講者向けのDSHが実施される。その際のDSHの受験資格は、当然ながらその大学のDSHコースの受講生であること。
内部者用DSHはDSHコースの受講終了時に行われる。外部用DSHは、通常当該学期開始前の3~4週間前に行われる。詳しい日程は送られてきた"Zulassungsbescheid"に記載されている。
従来、「DSHは生涯を通じて原則として2回しか受けることができない。」ということになっていたが、2004年に施行された新しいDSHの実施規定では、単に「DSHは繰り返し受験が可能である "Die DSH kann wiederholt werden"」と変更された。これをどう解釈するかは現状では各大学に委ねられていて、過去の受験回数を問わない大学が多いが、なかには「3回まで」と云った受験回数の制限を設けている大学がある。
こうした厳しい試験はできれば受けたくないものだが、実はDSHを受けなくてもドイツ留学する方法はある。以下の条件のいずれかに該当する場合はDSHが免除される。
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※以前はDSHの代わりになるとされていたKleines Deutsches Sprachdiplom、Grosses deutsches Sprachdiplom、Zentrale Oberstufenprüfung(ZOP)等のドイツ語検定試験は、2012年にゲーテのC2と統合された。
TestDaFについて
以下は更にもう少しハードルを下げて、DSH免除の条件を見てみよう。
▼▼▼
日本の大学に在籍しながらのドイツ留学だったら期間は1年程度になるので、この免除条件はありがたい。
しかし、この条件はドイツの全ての大学共通ではなく、こうした条件を提供している大学は限られている。その上、この件は各大学の資料やホームページにも載っていない場合が多い。志願者の成績や志望学科などによって個別に判断され、一律に決められないためだ。「提出されたドイツ語証明が本学に定めた条件に合っていること」とか、「日本の大学に最低2年間在学している場合」といった付帯条件が付けられている場合が多い。
また「教授の受入れ推薦書があること」という条件が付く場合もある。これはもちろん留学先大学の教授の推薦書であるが、自分が今通っている日本の大学のゼミの教授などに、ドイツの大学の教授で知り合いがいないかどうか聞いてみると思わぬ可能性が開けるかも知れない。
「学位取得を目的としない1~2セメスター程度の留学」の場合、DSHが全て免除とまではいかなくても、Mündliche Prüfungが免除されたり、Schriftliche Prüfungの合格最低ラインを下げてくれる大学もある。
どの大学がどんな条件でDSHを免除、或いは軽減しているかは自分で直接志望先大学に問い合わせなければならない。
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上にあげた、1~2セメスターの留学が「交換留学生」など大学間や学部間の交流協定に基づいて行われる場合は、どこの大学でも原則として無条件でDSHは免除される。交換留学生になるには、大抵派遣元の日本の大学で選考試験が行われるだろうが、大抵の場合DSHよりは易しい。1年次より選考試験合格目差して頑張れば、交換留学生としてドイツの大学に留学できるチャンスは大きい。
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これもドイツの全ての大学が共通で認めているわけではないが、これを認めている大学は上の「短期間の留学の場合」でDSHを免除してくれる大学より数はずっと多い。しかも、この場合は短期の留学だけでなく、学位を取得するための留学、つまりドイツで卒業を目標に留学する場合も適用される。卒業してから留学、という時間とお金の余裕があれば選択肢に入れる価値は大いにある。
問題の形式はDSHのような全国統一の規格はないが、DSHに順じた形式で出題される場合が多く、筆記試験のみが主流。量的にはDSHより短い場合が多く1時間程度が多い。過去のそこの大学で夏に行われている「夏季ドイツ語コース」のクラス分け試験がそのまま使われるという噂もある。
前述のようにドイツの大学で開設しているドイツ語コースは中級以上。初級者をカバーするコースは原則としてなく、クラスのレベルはなかなか高い。こうしたコースの試験に合格するには独検2級ぐらいのドイツ語力は必要。
DSHは、合格基準点をクリアすれば合格できるが、ドイツ語コースでは志願者が多数いた場合、定員まで絞らなければならないので、どの程度できれば合格かということは一概には言えない。競争率は3倍程度から28倍もの狭き門のドイツ語コースもある(ポツダム大学)。
外部者用DSHと同時期に行われ、当該学期開始の2~3週間前。試験の期日はZulassungsbescheidに記される。
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