ウィーンの人口は160万人、ベルリンは350万人。ベルリンはさすがに大都市に入るだろうが、ウィーンは日本の地方の中都市クラス。でもどちらもれっきとした西側諸国の一国の首都である。連邦省庁が集中し、様々な国際機関や国際企業のビルが軒を連ねる地域もある。当然そこに勤めるサラリーマンや、訪問する顧客などが行き来する。
サラリーマンの服装の色
日本の霞ヶ関や大手町に当たる地域は、ベルリンならポツダム広場やクーダム界隈、ウィーンならウノシティーやリング周辺だろうか。平日の朝、こちらは気楽な格好でその辺りへ出歩くと、それほど多くはいないがスーツやジャケットをバシッと決めて颯爽と歩く会社勤め風の人達とすれ違う。けれどそうした勤め風の人達の姿は日本とはかなり違うことに気が付く。彼らの服装の色彩だ。男たちのスーツやジャケットの色も実に様々だ。グリーン、ベージュ、ワインレッド… チェックやストライプの柄物も珍しくない。それに思い思いのデザインの鞄を持ち、或いはリュックを背負い、顔を上げて視線が定まった口元には笑みが浮かび、何やら自信がみなぎっているよう。
東京の通勤時間帯、示し合わせたかのように黒いスーツに身を固め、黒の鞄を抱え、誰とも目を合わせず、心の中を読まれまいと無表情で町を歩くサラリーマン達とは大違いだ。「ナンバーワンではなくオンリーワン」などの歌が日本で流行るのは、没個性集団から抜け出すことのできない悲しい性へのせめてもの慰めか、それとも持てないものへの憧れだろうか?
色彩と気候の関係
ドイツやオーストリアで色彩が目に留まるのは服装だけではない。オフィス街のビルや住宅街の家々の、特に窓枠やドアなどには原色が多く使われてアクセントを与えている。外壁がパステル調の色の家も多い。
ヨーロッパの国々では南欧を除けば、夏が過ぎて秋になると空は分厚い雲で覆われるようになり、足早な冬の到来と共に景色から色が消えてゆく。日もどんどん短くなり、色の無い暗い世界が半年も続く。人々はだんだん無口になり、気分も沈んでくる。実際うつ病を発症する率も高くなるそうだ。
ドイツやオーストリアで建物をカラフルに彩るのは、そんな暗くて色のない冬に少しでも色を添えて気分を明るくするためだと聞いたことがある。あるドイツ人が日本の景色の第一印象としてあげたのは「灰色の鉄筋コンクリートの建物の多さ」だった。
ドイツやオーストリアでは寒くて暗くて長い冬、沈みがちな気分を晴らすために人々は家をカラフルに塗るだけでなく、日常のなかでも、服装にも気持ちを明るくするような色を選ぶようになり、それは冬場のみならず人々の色使いの好みになっていったのだろう。冬晴れが続く日本の太平洋側に住む人々には思いつかない発想かも知れない。
日本のサラリーマンよ、黒を脱ぎ捨てよう!
それにしても日本のサラリーマンのドイツの冬の空のように暗い服装は何なんだろう。更にはこれからの日本を担う若者達が、自由なキャンパス生活から就活に転じると、男子も女子も鎧のような黒のスーツで身を固め、靴もバッグも、靴下もストッキングも黒づくしになってしまう。こんなにも外見の個性を押し殺してしまっては、世界に大きく羽ばたくはずの個性がこの時点で打ち砕かれてはいまいか。
「面接にカラージャケットを着てきたことで採用しないような会社などこちらからお断り」と言うぐらいの気概を持つ若者が増えてはくれないだろうか、なんて言うと「おまえは今の就活の厳しさをわかっていない」と一蹴されてしまうのだろう。これも「日本の常識」ということだ。でも目立とうと思えば簡単に目立てるのも日本の大人の社会だろう。まずは黒のスーツを脱ぎ捨ててみようではないか!
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サラリーマンの服装の色
日本の霞ヶ関や大手町に当たる地域は、ベルリンならポツダム広場やクーダム界隈、ウィーンならウノシティーやリング周辺だろうか。平日の朝、こちらは気楽な格好でその辺りへ出歩くと、それほど多くはいないがスーツやジャケットをバシッと決めて颯爽と歩く会社勤め風の人達とすれ違う。けれどそうした勤め風の人達の姿は日本とはかなり違うことに気が付く。彼らの服装の色彩だ。男たちのスーツやジャケットの色も実に様々だ。グリーン、ベージュ、ワインレッド… チェックやストライプの柄物も珍しくない。それに思い思いのデザインの鞄を持ち、或いはリュックを背負い、顔を上げて視線が定まった口元には笑みが浮かび、何やら自信がみなぎっているよう。
東京の通勤時間帯、示し合わせたかのように黒いスーツに身を固め、黒の鞄を抱え、誰とも目を合わせず、心の中を読まれまいと無表情で町を歩くサラリーマン達とは大違いだ。「ナンバーワンではなくオンリーワン」などの歌が日本で流行るのは、没個性集団から抜け出すことのできない悲しい性へのせめてもの慰めか、それとも持てないものへの憧れだろうか?
色彩と気候の関係
ドイツやオーストリアで色彩が目に留まるのは服装だけではない。オフィス街のビルや住宅街の家々の、特に窓枠やドアなどには原色が多く使われてアクセントを与えている。外壁がパステル調の色の家も多い。
お店に並ぶ日用品も原色系のものがたくさんあってカラフルだ。ベビーカーの色も、そこに乗っている赤ちゃんの服の色もカラフルだし(紫とかも普通)、子供たちのランドセルの色も華やか… 日本のランドセルも最近は選択肢が増えてはきたが、ドイツの子供達のランドセルの色や柄は根本的に違う。 | フンデルトワッサーがデザインしたウィーンのゴミ焼却場 |
ヨーロッパの国々では南欧を除けば、夏が過ぎて秋になると空は分厚い雲で覆われるようになり、足早な冬の到来と共に景色から色が消えてゆく。日もどんどん短くなり、色の無い暗い世界が半年も続く。人々はだんだん無口になり、気分も沈んでくる。実際うつ病を発症する率も高くなるそうだ。
ドイツやオーストリアで建物をカラフルに彩るのは、そんな暗くて色のない冬に少しでも色を添えて気分を明るくするためだと聞いたことがある。あるドイツ人が日本の景色の第一印象としてあげたのは「灰色の鉄筋コンクリートの建物の多さ」だった。
ドイツやオーストリアでは寒くて暗くて長い冬、沈みがちな気分を晴らすために人々は家をカラフルに塗るだけでなく、日常のなかでも、服装にも気持ちを明るくするような色を選ぶようになり、それは冬場のみならず人々の色使いの好みになっていったのだろう。冬晴れが続く日本の太平洋側に住む人々には思いつかない発想かも知れない。
日本のサラリーマンよ、黒を脱ぎ捨てよう!
それにしても日本のサラリーマンのドイツの冬の空のように暗い服装は何なんだろう。更にはこれからの日本を担う若者達が、自由なキャンパス生活から就活に転じると、男子も女子も鎧のような黒のスーツで身を固め、靴もバッグも、靴下もストッキングも黒づくしになってしまう。こんなにも外見の個性を押し殺してしまっては、世界に大きく羽ばたくはずの個性がこの時点で打ち砕かれてはいまいか。
「面接にカラージャケットを着てきたことで採用しないような会社などこちらからお断り」と言うぐらいの気概を持つ若者が増えてはくれないだろうか、なんて言うと「おまえは今の就活の厳しさをわかっていない」と一蹴されてしまうのだろう。これも「日本の常識」ということだ。でも目立とうと思えば簡単に目立てるのも日本の大人の社会だろう。まずは黒のスーツを脱ぎ捨ててみようではないか!
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