7月26日(土)北爪道夫指揮 アンサンブル・オレイユ
~第14回定期演奏会~
東京オペラシティコンサートホール リサイタルホール
【曲目】
1.ルーセル/蜘蛛の饗宴
2.アーン/ベアトリーチェ・デステの舞踏会
3.ミヨー/3つのラグ・カプリス
4.プーランク/田園コンセール
【アンコール】クープラン/クラヴサン曲集第3巻第18組曲より「ティク・トク・ショク、またはオリーブしぼり機」
クラブサン:山口範子
【アンコール】
オーリック/バレエ音楽「うるさがた」
作曲家 北爪道夫氏の指揮の下、毎回意欲的なプログラムに取り組む室内オーケストラ「アンサンブル・オレイユ」の定期演奏会を3年振りに聴いた。フランスの近・現代の、結構有名だけれどなかなか生で聴くチャンスが少ない作品で統一された今回の曲目は見ただけでワクワクする。
最初のルーセルのいろいろな虫をテーマにした「蜘蛛の饗宴」は、洗練されて洒落た音楽だが、オレイユはこれを繊細なタッチで、まるで虫たちが生きているように活き活きと表現した。表情に富んだ木管、蜻蛉の羽のように薄くてデリケートな弦楽器、力むことなく軽く明るいタッチで吹いてのける金管、それらが一緒に呼吸して元はバレエのために作曲されたこの音楽が描く情景が目に浮かぶようだった。
続くアーンの作品、これは曲はおろか作曲者の名前も知らなかった。10名程の管楽器と2台のハープ、ビアノとパーカッションという小さくて変わった編成で、古風な形式を保ちながらも優雅で洒落たハーモニーが印象的な名品が揃う。オレイユの精鋭達が堂々とした輝かしい行進曲から典雅な舞曲までそれぞれの楽曲の個性を十分に引き出して、音楽に活き活きとした命を与えていた。
後半の曲目、ミヨーでのスリリングな勢いのある演奏はいかにもミヨーの音楽を聴いているという実感が伝わったし、クラブサンのソロを迎えてのプーランクの「田園コンセール」では、充実した鮮やかなオケの響きに乗って山口範子さんの流麗で洗練されたクラブサン演奏が見事だった。
いつもはバロックの通奏低音や、コンチェルトでもきっちりとした枠の中でお行儀よく響いているチェンバロが、かくも自由に解き放たれ、多彩なハーモニーでソロイスティックに駆け巡るのを聞くと、チェンバロという楽器に対するイメージが更にどんどん膨らんでくる。オケも十分に健闘していたが、ルーセルやアーンなどではあれほどの柔軟性を示したオレイユなら、このプーランク独特の瞬時にして表情や気分を変える音楽を更にリアルに描くこともできるのではないだろうか。
これだけの「難曲」をいくつもこなしたプログラムの後のアンコールで、またまた鮮やかでユーモアに富んだオーリックのやはり「難曲」で聴き手の心を更に捉えてしまうのには驚いた。ちなみにこのアンサンブルは同僚でアンサンブル仲間のHJさんも参加するアマチュアの音楽集団。ここまで完成度の高い演奏会に仕上げる指揮者の北爪氏の力も、そして妥協することなく高いものを目指して切磋琢磨するオケ一人一人のメンバーにも頭が下がるばかりだ。次は何をやるか、今からプログラムの発表が待ち遠しい。
~第14回定期演奏会~
東京オペラシティコンサートホール リサイタルホール
【曲目】
1.ルーセル/蜘蛛の饗宴
2.アーン/ベアトリーチェ・デステの舞踏会
3.ミヨー/3つのラグ・カプリス
4.プーランク/田園コンセール
【アンコール】クープラン/クラヴサン曲集第3巻第18組曲より「ティク・トク・ショク、またはオリーブしぼり機」
クラブサン:山口範子
【アンコール】
オーリック/バレエ音楽「うるさがた」
作曲家 北爪道夫氏の指揮の下、毎回意欲的なプログラムに取り組む室内オーケストラ「アンサンブル・オレイユ」の定期演奏会を3年振りに聴いた。フランスの近・現代の、結構有名だけれどなかなか生で聴くチャンスが少ない作品で統一された今回の曲目は見ただけでワクワクする。
最初のルーセルのいろいろな虫をテーマにした「蜘蛛の饗宴」は、洗練されて洒落た音楽だが、オレイユはこれを繊細なタッチで、まるで虫たちが生きているように活き活きと表現した。表情に富んだ木管、蜻蛉の羽のように薄くてデリケートな弦楽器、力むことなく軽く明るいタッチで吹いてのける金管、それらが一緒に呼吸して元はバレエのために作曲されたこの音楽が描く情景が目に浮かぶようだった。
続くアーンの作品、これは曲はおろか作曲者の名前も知らなかった。10名程の管楽器と2台のハープ、ビアノとパーカッションという小さくて変わった編成で、古風な形式を保ちながらも優雅で洒落たハーモニーが印象的な名品が揃う。オレイユの精鋭達が堂々とした輝かしい行進曲から典雅な舞曲までそれぞれの楽曲の個性を十分に引き出して、音楽に活き活きとした命を与えていた。
後半の曲目、ミヨーでのスリリングな勢いのある演奏はいかにもミヨーの音楽を聴いているという実感が伝わったし、クラブサンのソロを迎えてのプーランクの「田園コンセール」では、充実した鮮やかなオケの響きに乗って山口範子さんの流麗で洗練されたクラブサン演奏が見事だった。
いつもはバロックの通奏低音や、コンチェルトでもきっちりとした枠の中でお行儀よく響いているチェンバロが、かくも自由に解き放たれ、多彩なハーモニーでソロイスティックに駆け巡るのを聞くと、チェンバロという楽器に対するイメージが更にどんどん膨らんでくる。オケも十分に健闘していたが、ルーセルやアーンなどではあれほどの柔軟性を示したオレイユなら、このプーランク独特の瞬時にして表情や気分を変える音楽を更にリアルに描くこともできるのではないだろうか。
これだけの「難曲」をいくつもこなしたプログラムの後のアンコールで、またまた鮮やかでユーモアに富んだオーリックのやはり「難曲」で聴き手の心を更に捉えてしまうのには驚いた。ちなみにこのアンサンブルは同僚でアンサンブル仲間のHJさんも参加するアマチュアの音楽集団。ここまで完成度の高い演奏会に仕上げる指揮者の北爪氏の力も、そして妥協することなく高いものを目指して切磋琢磨するオケ一人一人のメンバーにも頭が下がるばかりだ。次は何をやるか、今からプログラムの発表が待ち遠しい。
当日は暑い中ご来場いただき本当にありがとうございました。
いいことばかり書いてくださって、とってもこそばゆいです。
ですが、さすがいい耳をお持ちです。的確なコメントにいつもながら感心してしまいます。
ルーセルは短いですが意外と時間をかけて、虫たちの様子を表現することに力を入れました。
コンチェルトはやはりソリストとの合わせの回数が限られてしまうので、恐る恐るの演奏となってしまったかもしれません。
アンコールの曲について後日詳しい情報が入りましたのでお知らせいたします。
フランソワ・クープラン:クラヴサン曲集第3巻第18組曲より
「ティク・トク・ショク、またはオリーブしぼり機」
Le tic-toc-choc, ou Les maillotins
クープランの「珍名作品ベスト5」に入る佳曲だそうです。
昨日まで清里の貸し別荘で5泊ほど過ごしたのですが、夜、コテージのテラスの灯りに集まってきた虫たちを眺めていたら「蜘蛛の饗宴」の演奏のことを思い出しました。
オレイユの演奏はあまりに見事なせいで、アマチュアの演奏を聴いているということを忘れてしまい期待度が高くなってしまいます。今後の益々のご活躍をお祈り致します。