6月13日(金)向山佳絵子(Vc)/林 絵里(Pf)
~武蔵野音楽大学2008年度公開講座シリーズ~
武蔵野音楽大学江古田キャンパス ベートーヴェンホール
【曲目】
1. バッハ/無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009
2. ブルッフ/「コル・二ドライ」 Op.47
3.ブロッホ/「ユダヤ人の生活より」祈り
4.バルトーク/ルーマニア民族舞曲
5.ベートーヴェン/ヘンデルの「ユダス・マカベウス」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45
6.ブラームス/チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 Op.38
【アンコール】
1. ボッケリーニ/メヌエット
2. バッハ/チェンバロ協奏曲第5番からアリオーソ
昨年のゲキチのリサイタルに続き、今年もご近所武蔵野音大の1000円の公開講座シリーズを聴いた。出演は向山佳絵子と林絵里のデュオ。
向山さんは「光ものの魚のウロコのような」(奥さん曰く)華やかな衣装で登場。相変わらずの骨太で包容力のあるチェロを聴かせてくれた。バッハの無伴奏は繰り返しを省き駆け抜けるように弾いたのは、リサイタルの中での前奏曲のような意味合いがあったのだろうか。もっとじっくり弾いてもらいたかった。前半の続く3曲は向山さんらしい濃さが発揮される曲目。けれどもうひとつ盛り上がりに欠ける。客席の雰囲気が普段の演奏会よりもラフというか、招待券の関係者とか授業帰りの学生が多くを占めていて、演奏会を聴くことへの気合いが足りないのが原因か…
しかし後半ではそんな少々お寒かった会場の雰囲気が盛り上がってきた。ベートーヴェンのヴァリエーションでは林絵里の清楚で、凛とした気位のあるピアノが冴え、向山佳絵子の豊かな響きのチェロが音楽に深い輪郭を刻んでいた。
そしてプログラム最後のブラームスは出色の出来。出だしのチェロの奥深い幅のある響きで既にこの音楽の明確な世界を提示した。しなやかでダイナミックなチェロの弓さばきはほどよい節度を保ちつつ、活き活きとかつ朗々と歌い、また切々と思いを吐露する。ピアノはさっきのベートーヴェンで聴かせてくれた品格をここでも持ち、演奏を引き締める。両者の音楽的なキャラクターは同質のものではないが、そんな二人が繰り広げる能動的な対話がとても新鮮に感じられた。
アンコールを向山さんが紹介する際「今日のプログラムの作曲家はみんなBで始まるんです。お気づきになりましたか?」という問いかけ。「なるほど…」そしてBで始まるアンコールが2曲、ステージと客席の距離が更に縮まったのを感じた。
奥さんが、客席に先週のグリーンヒル八ヶ岳でのコンサートでフルートを吹いていた中島祐さんを発見して帰りがけに挨拶した。翌日の朝食のバイキングとかでも何度も見かけていたのでこっちとしては顔なじみの感覚。音大で教えているとのことだったが、武蔵野音大の先生だったんだー。「すごくいいコンサートをやるでしょ。また来て下さいね。」とおっしゃっていたが、一般のお客が少なっぽいのは本当にもったいない。こんな内容の演奏会を1000円で聴ける機会は他にないのでは?
~武蔵野音楽大学2008年度公開講座シリーズ~
武蔵野音楽大学江古田キャンパス ベートーヴェンホール
【曲目】
1. バッハ/無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009
2. ブルッフ/「コル・二ドライ」 Op.47
3.ブロッホ/「ユダヤ人の生活より」祈り
4.バルトーク/ルーマニア民族舞曲
5.ベートーヴェン/ヘンデルの「ユダス・マカベウス」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45
6.ブラームス/チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 Op.38
【アンコール】
1. ボッケリーニ/メヌエット
2. バッハ/チェンバロ協奏曲第5番からアリオーソ
昨年のゲキチのリサイタルに続き、今年もご近所武蔵野音大の1000円の公開講座シリーズを聴いた。出演は向山佳絵子と林絵里のデュオ。
向山さんは「光ものの魚のウロコのような」(奥さん曰く)華やかな衣装で登場。相変わらずの骨太で包容力のあるチェロを聴かせてくれた。バッハの無伴奏は繰り返しを省き駆け抜けるように弾いたのは、リサイタルの中での前奏曲のような意味合いがあったのだろうか。もっとじっくり弾いてもらいたかった。前半の続く3曲は向山さんらしい濃さが発揮される曲目。けれどもうひとつ盛り上がりに欠ける。客席の雰囲気が普段の演奏会よりもラフというか、招待券の関係者とか授業帰りの学生が多くを占めていて、演奏会を聴くことへの気合いが足りないのが原因か…
しかし後半ではそんな少々お寒かった会場の雰囲気が盛り上がってきた。ベートーヴェンのヴァリエーションでは林絵里の清楚で、凛とした気位のあるピアノが冴え、向山佳絵子の豊かな響きのチェロが音楽に深い輪郭を刻んでいた。
そしてプログラム最後のブラームスは出色の出来。出だしのチェロの奥深い幅のある響きで既にこの音楽の明確な世界を提示した。しなやかでダイナミックなチェロの弓さばきはほどよい節度を保ちつつ、活き活きとかつ朗々と歌い、また切々と思いを吐露する。ピアノはさっきのベートーヴェンで聴かせてくれた品格をここでも持ち、演奏を引き締める。両者の音楽的なキャラクターは同質のものではないが、そんな二人が繰り広げる能動的な対話がとても新鮮に感じられた。
アンコールを向山さんが紹介する際「今日のプログラムの作曲家はみんなBで始まるんです。お気づきになりましたか?」という問いかけ。「なるほど…」そしてBで始まるアンコールが2曲、ステージと客席の距離が更に縮まったのを感じた。
奥さんが、客席に先週のグリーンヒル八ヶ岳でのコンサートでフルートを吹いていた中島祐さんを発見して帰りがけに挨拶した。翌日の朝食のバイキングとかでも何度も見かけていたのでこっちとしては顔なじみの感覚。音大で教えているとのことだったが、武蔵野音大の先生だったんだー。「すごくいいコンサートをやるでしょ。また来て下さいね。」とおっしゃっていたが、一般のお客が少なっぽいのは本当にもったいない。こんな内容の演奏会を1000円で聴ける機会は他にないのでは?