10月3日(月)
クリストフ・プレガルディエン(T)/ミヒャエル・ゲース(Pf)![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kirakira.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ee_1.gif)
zwischen Leben und Tad ー死と生のはざまで
トッパンホール
【曲目】
♪ バッハ/甘き死よ、来たれ BWV478
♪ マーラー/「子供の不思議な角笛」~原光
♪ シューベルト/白鳥の歌 D744
♪ シューマン/「12の詩」~愛と喜びよ、消え去れ Op.35-2
♪ シューベルト/消滅 D807
♪ モーツァルト/ラウラに寄せる夕べの想い K523
♪ ブラームス/「6つのリート」~野の寂しさ Op.86-2
♪ ブラームス/「リートとゲザング」~夜更けて、私は起き上がり Op.32-1
♪ レーヴェ/「3つのバラード」~エドヴァルト Op.1-1
♪ ♪ ♪ ♪ ヴォルフ/「メーリケ詩集」~それを思え、おお魂よ
♪ シューベルト/若者と死 D545
♪ シューベルト/死と乙女 D531
♪ ヴォルフ/「ゲーテ歌曲集」~アナクレオンの墓
♪ ヴォルフ/「アイヒェンドルフ歌曲集」~セレナード
♪ メンデルスゾーン/「6つの歌」~新しい恋 Op.19-4
♪ レーヴェ/「3つのバラード」~魔王 Op.1-3
♪ ヴォルフ/「スペイン歌曲集」(世俗篇)~いつの日か、わが想いは
♪ シューベルト/「白鳥の歌」~兵士の予感 D957-2
♪ マーラー/「子供の不思議な角笛」~死んだ鼓手
【アンコール】
♪ マーラー/『リュッケルトの詩による5つの歌曲』~「私はこの世に捨てられて」
♪ ブラームス/『49のドイツ民謡集』~「お姉さん、私たちはいつお家に帰るの」
♪ シューベルト/小人 D771
2022年にクリストフ・プレガルディエンの歌を聴いてとても感銘を受けたこと、「生と死のはざまで」と題して選ばれた今回の曲目に惹かれたことから、是非聴きたくて出かけたリサイタル。
プレガルディエンとゲースは、前回と同様に大切なエッセンスを抽出したような純度の高い研ぎ澄まされた演奏で聴き手を魅了した。プレガルディエンの歌で最も深い感銘を呼び起こすのは究極まで極めた言葉の扱い。言葉が発せられる勢いや濃淡、発音の深度、熱量など、言葉のあらゆる表現手段に於いて緻密で的確に、言葉を最も生きる方法で歌に乗せ、歌曲という表現芸術に昇華させている。ハイバリトンのような澄んだ深みのある美しい声も、詩の世界をクリアに奥深く伝える大切な役割を果たし、その歌は、気高く、厳しく、孤高の高みにまで達し、悲しみや恐れ、尊厳、ときに憧れなど、作品によって様々な意味を内包する「死」という存在を、聴き手一人一人の心に真っ直ぐに訴えかけて来た。
バッハの慈愛、シューベルトの畏怖、モーツァルトのドン・ジョヴァンニ的な緊迫感、ヴォルフの妖しさ、レーヴェの不穏な戦慄、マーラーのリアリティなど、どの作品でもそれぞれの歌の核心を見事に捉えている。なかでも2曲のレーヴェの歌曲は、ゲースのピアノとともに、死の恐怖を力ずくで表現するのではなく、瞬間的な揺れや小さなアクセントが、心の奥底の感情を鮮やかに引き出す表現主義的なアプローチ(レーヴェは表現主義には入らないだろうが)として強いインパクトで迫って来た。
こうした歌曲の世界は、ゲースのピアノ抜きに考えることはできない。ゲースは、これぞ心の琴線に触れるという例えが相応しい繊細で敏感で胸の鼓動を伴ったピアノで、プレガルディエンの歌と共鳴し合った。アグレッシブにしゃしゃり出ることなく要所を的確に押さえ、感情の迸りや浮き沈み、おののきなどを描き出し、歌との綱渡り的なバランスを保って、迫真のデュオを作り上げた。
アンコールに至るまで死の影が付きまとう深刻な音楽が多く、単純に「楽しめた」と云えるリサイタルではないが、この二人だからこそ実現できた究極の歌曲の世界に浸り、畏敬の念さえ覚えた。聴衆は熱い拍手とブラボーを送り続け、僕もスタンディングオベーションに加わって2人の名匠を称えた。
クリストフ・プレガルディエン&ミヒャエル・ゲース ~2022.10.3 トッパンホール
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クリストフ・プレガルディエン(T)/ミヒャエル・ゲース(Pf)
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♪ バッハ/甘き死よ、来たれ BWV478
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♪ シューマン/「12の詩」~愛と喜びよ、消え去れ Op.35-2
♪ シューベルト/消滅 D807
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♪ レーヴェ/「3つのバラード」~エドヴァルト Op.1-1
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♪ ヴォルフ/「スペイン歌曲集」(世俗篇)~いつの日か、わが想いは
♪ シューベルト/「白鳥の歌」~兵士の予感 D957-2
♪ マーラー/「子供の不思議な角笛」~死んだ鼓手
【アンコール】
♪ マーラー/『リュッケルトの詩による5つの歌曲』~「私はこの世に捨てられて」
♪ ブラームス/『49のドイツ民謡集』~「お姉さん、私たちはいつお家に帰るの」
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2022年にクリストフ・プレガルディエンの歌を聴いてとても感銘を受けたこと、「生と死のはざまで」と題して選ばれた今回の曲目に惹かれたことから、是非聴きたくて出かけたリサイタル。
プレガルディエンとゲースは、前回と同様に大切なエッセンスを抽出したような純度の高い研ぎ澄まされた演奏で聴き手を魅了した。プレガルディエンの歌で最も深い感銘を呼び起こすのは究極まで極めた言葉の扱い。言葉が発せられる勢いや濃淡、発音の深度、熱量など、言葉のあらゆる表現手段に於いて緻密で的確に、言葉を最も生きる方法で歌に乗せ、歌曲という表現芸術に昇華させている。ハイバリトンのような澄んだ深みのある美しい声も、詩の世界をクリアに奥深く伝える大切な役割を果たし、その歌は、気高く、厳しく、孤高の高みにまで達し、悲しみや恐れ、尊厳、ときに憧れなど、作品によって様々な意味を内包する「死」という存在を、聴き手一人一人の心に真っ直ぐに訴えかけて来た。
バッハの慈愛、シューベルトの畏怖、モーツァルトのドン・ジョヴァンニ的な緊迫感、ヴォルフの妖しさ、レーヴェの不穏な戦慄、マーラーのリアリティなど、どの作品でもそれぞれの歌の核心を見事に捉えている。なかでも2曲のレーヴェの歌曲は、ゲースのピアノとともに、死の恐怖を力ずくで表現するのではなく、瞬間的な揺れや小さなアクセントが、心の奥底の感情を鮮やかに引き出す表現主義的なアプローチ(レーヴェは表現主義には入らないだろうが)として強いインパクトで迫って来た。
こうした歌曲の世界は、ゲースのピアノ抜きに考えることはできない。ゲースは、これぞ心の琴線に触れるという例えが相応しい繊細で敏感で胸の鼓動を伴ったピアノで、プレガルディエンの歌と共鳴し合った。アグレッシブにしゃしゃり出ることなく要所を的確に押さえ、感情の迸りや浮き沈み、おののきなどを描き出し、歌との綱渡り的なバランスを保って、迫真のデュオを作り上げた。
アンコールに至るまで死の影が付きまとう深刻な音楽が多く、単純に「楽しめた」と云えるリサイタルではないが、この二人だからこそ実現できた究極の歌曲の世界に浸り、畏敬の念さえ覚えた。聴衆は熱い拍手とブラボーを送り続け、僕もスタンディングオベーションに加わって2人の名匠を称えた。
クリストフ・プレガルディエン&ミヒャエル・ゲース ~2022.10.3 トッパンホール
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