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マロオケ2021「モーツァルト:レクイエム」

2021年11月29日 |  pocknのコンサート感想録2021
11月22日(月)マロオケ2021
~篠崎史紀のモーツァルト「レクイエム」~
大田区民ホール・アプリコ大ホール


【曲目】
1.モーツァルト/交響曲第31番ニ長調「パリ」 K.297
2.モーツァルト/交響曲第35番ニ長調「プラハ」 K.504
3.モーツァルト/レクイエム ニ短調 K.626
4.モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプス ニ長調 K.618
S:馬原裕子/A:富岡明子/T:渡辺康/B:山下浩司/合唱:東京オペラシンガーズ

今年の5月に予定されていたマロオケの東京公演は、緊急事態宣言で訳のわからない中止要請が出たせいで中止に追い込まれて悔しい思いをしたが、それがようやく実現した。メインはモツレク。大規模な合唱が入るこの作品で、マロオケはまたもや「やってくれた!」と云いたい素敵な演奏会を届けてくれた。

前半はモーツァルトのシンフォニーが2つ。マロさんと仲間たちによる演奏ではお馴染みの、ごきげんで颯爽とした演奏が繰り広げられた。要所を抜群の呼吸で決めまくり、ワクワク感を高めてくれるところもマロオケの魅力だ。「パリ」はコンサートの幕開けに相応しい序曲のように、色々な要素がギュッと詰まって活き活きと鳴り響き、「プラハ」はそこにじっくりとした風格も加わり、後半のモツレクへの期待を高めた。

レクイエムでは溌剌とした演奏から一転して、優しく包み込むような温かさを醸し出した。オケと合唱がひとつの家族のように音を大切にして、心から心へ温かく深い祈りや願いのメッセージを伝える。東京オペラシンガーズによる合唱は、瑞々しく艶やかな響きでホールをいっぱいに満たした。これほどの大人数の合唱団との共演を指揮者なしでこれほど緻密に一体感を実現するのは驚異的だ。言葉の表情とオケの呼吸もぴったり呼応して、一つの世界を作り上げ、合唱もオケも何か天の大きな存在に導かれているようにさえ思えた。

そこに加わった4人のソリスト達の歌も、こうした大きな存在の一部となり、更にそれぞれの色を浮かび上がらせた。とりわけ馬原さんの天から降り注ぐような柔らかな光を帯びた歌に心惹かれた。四重唱では4人の声が無理なく溶け合い、美しい音の綾を織りなした。横川さんの演奏を久しぶりに聴けたのも嬉しかった。長く深い呼吸で、たっぷりと柔らかな表情で歌いあげるバセットホルンの美しい調べは、味わいを醸しつつ、はるかな郷愁へといざなってくれた。

レクイエムは、こうした優しい癒しばかりではなく、最後の審判の煉獄などの悍ましいシーンも重要だ。今夜の演奏は、こうした場面では情け容赦なく攻め立てたが、それが激しければ激しいほど祈りや願いが切実に心に迫って来る。パンフレットの挨拶文でまろさんが「この演奏会が未来を切り拓く一条の光となれば幸いです」と書いていたとおりのモツレクとなった。レクイエムのあとにアヴェ・ヴェルム・コルプスが演奏されたことで、今回のコンセプトが完結した。

会場の大田区民ホールは大きなホールだが、2階の上の方の席でも響きは距離を感じることなく、とてもきれいに聴こえた。ただ、視覚的には遠いので、オペラグラスを持って来ればよかった。モツレクは3年前に歌って益々なじみ深い作品となったが、歌詞はだいぶ忘れていた。配られたパンフに歌詞対訳があれば、今夜のような演奏からはさらに言葉をリアルに感じることができただろう。

マロオケ2016「モーツァルト6大交響曲」(2016.5.5 サントリーホール)

モーツァルト「レクイエム」曲目解説
モツレクを歌う ~Musikfreunde "燦" 第2回演奏会~
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最新アップロード:「Andiamo in Italia! ~イターリアへ行こう!」

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け


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