3月23日(日)~ちいさな春に~ サロンコンサートⅡ 日本の歌
スギタホール
【曲目】
Ⅰ
中田章/早春賦、團伊玖磨/花の街、はる
(日本古謡)/さくらさくら、滝廉太郎/花、荒磯、別宮貞雄/さくら横ちょう、中田喜直/さくら横ちょう
Ⅱ
金子みすゞの詩によせて~ 高島豊/花のたましい、私と小鳥と鈴と、鯨法会
山田耕筰/待ちぼうけ、松島音頭、城ヶ島の雨、梁田 貞/城ヶ島の雨
モーツァルト/オペラ「魔笛」よりパ・パ・パ
【アンコール】
1. 岡野貞一/おぼろ月夜
2. 古関裕而/白鳥の歌
【演 奏】
S:今泉えりこ/Bar:旭 潔/Pf:赤羽真由美
昨年の秋に行なわれた今泉英理子さんと旭潔さんによるサロンコンサートⅠが好評で、第2回の開催を求める多くの声に応えて行なわれたサロンコンサートⅡ。~ちいさな春に~と題されたこの日のコンサートは折りしも桜の開花の報せのあった翌日、ぽかぽか陽気の日曜日の昼下りに行なわれた。
春にちなんだ日本の歌曲を中心としたプログラムは、有名な歌の他に滝廉太郎がなんと水戸の徳川光圀公の詩に曲をつけたという隠れた名曲「荒磯」や、同じ詩に二人の作曲家が曲をつけた歌などがあり、最後は「魔笛」のデュエットが入るなどとても興味深い。それに、今泉さんは今回も拙作の金子みすゞの歌曲から3曲を取り上げてくださった。
超満員のお客さんの中には前回も聴いている方々も多いせいか、演奏者の気の利いたトークや休憩でのお茶&ケーキタイムでの雰囲気は前回に増してアットホーム。歌をみんなで楽しむという空気に会場が満ちていた。
今回今泉さんが歌ってくださった拙作のうち「花のたましい」と「私と小鳥と鈴と」は以前上尾の「もっきん洞」のコンサートでも歌ってくださったが、それに「鯨法会」を加えた3曲の選曲は、曲のつながりとしても組み合わせとしても大変マッチしている。そして歌は前回にも増して歌いこんでくださっていることが伝わってくる充実した心温まる歌唱だった。
柔らかな抒情が際立った「花のたましい」、うきうきした嬉しい気分が軽やかな調子で伝わってくる「私と小鳥と鈴と」、そして遠い海の彼方へと思いを届けるかのように心を込めて歌った「鯨法会」で最後のピアニシモでのフェルマータが静かに消えていったとき、会場の空気がその情景に淡く染まっているようだった。
このように拙作に真摯に取り組んでくださった今泉さん、そしてその歌の背景として、或いは前景として歌と一緒に呼吸しながらピアノで描いてくださった赤羽さんには本当に感謝です。
歌だけでなく、今泉さんのステージ衣装もお客さんの楽しみのひとつ。清楚で春らしい第1部での衣装から、日本の春を思わせる第2部、そして旭さんとのデュオでの「パ・パ・パ」1曲にさえセキセインコを連想するようなかわいらしい衣装に衣替えする気転とセンスの良さも忘れられない。
このコンサートのもう一人の主役である旭さんの印象も前回に増して鮮烈。大地の奥底から沸きあがってくるような太い声は、歌の芯まで温かな血が通い、それが聴いている自分の体の中にまで染みわたってくるよう。まさに生命力を湛えた春の息吹を思わせる。「さくらさくら」や「城ヶ島の雨」のようなゆっくりとした曲をたっぷりと歌い上げる一方で、「待ちぼうけ」や「松島音頭」では単にリズミカルで活き活きしているという表現では言い表せない生命力に満ちている。
ユーモラスなステージでのしぐさや、何とも言えないおもしろいトークからは「役者」の顔がちらつく。今泉さんとのデュオで歌った「パ・パ・パ」での名演技を見ると、ますますオペラの舞台での姿に接したくなる。
そんな魅力的いっぱいの二人の歌手と、全ての伴奏を担当した赤羽さんによる素敵な歌の世界をなごやかな空気の中でたっぷりと味わい、贅沢な時間をいただいた。ありがとうございました。
スギタホール
【曲目】
Ⅰ
中田章/早春賦、團伊玖磨/花の街、はる
(日本古謡)/さくらさくら、滝廉太郎/花、荒磯、別宮貞雄/さくら横ちょう、中田喜直/さくら横ちょう
Ⅱ
金子みすゞの詩によせて~ 高島豊/花のたましい、私と小鳥と鈴と、鯨法会
山田耕筰/待ちぼうけ、松島音頭、城ヶ島の雨、梁田 貞/城ヶ島の雨
モーツァルト/オペラ「魔笛」よりパ・パ・パ
【アンコール】
1. 岡野貞一/おぼろ月夜
2. 古関裕而/白鳥の歌
【演 奏】
S:今泉えりこ/Bar:旭 潔/Pf:赤羽真由美
昨年の秋に行なわれた今泉英理子さんと旭潔さんによるサロンコンサートⅠが好評で、第2回の開催を求める多くの声に応えて行なわれたサロンコンサートⅡ。~ちいさな春に~と題されたこの日のコンサートは折りしも桜の開花の報せのあった翌日、ぽかぽか陽気の日曜日の昼下りに行なわれた。
春にちなんだ日本の歌曲を中心としたプログラムは、有名な歌の他に滝廉太郎がなんと水戸の徳川光圀公の詩に曲をつけたという隠れた名曲「荒磯」や、同じ詩に二人の作曲家が曲をつけた歌などがあり、最後は「魔笛」のデュエットが入るなどとても興味深い。それに、今泉さんは今回も拙作の金子みすゞの歌曲から3曲を取り上げてくださった。
超満員のお客さんの中には前回も聴いている方々も多いせいか、演奏者の気の利いたトークや休憩でのお茶&ケーキタイムでの雰囲気は前回に増してアットホーム。歌をみんなで楽しむという空気に会場が満ちていた。
今回今泉さんが歌ってくださった拙作のうち「花のたましい」と「私と小鳥と鈴と」は以前上尾の「もっきん洞」のコンサートでも歌ってくださったが、それに「鯨法会」を加えた3曲の選曲は、曲のつながりとしても組み合わせとしても大変マッチしている。そして歌は前回にも増して歌いこんでくださっていることが伝わってくる充実した心温まる歌唱だった。
柔らかな抒情が際立った「花のたましい」、うきうきした嬉しい気分が軽やかな調子で伝わってくる「私と小鳥と鈴と」、そして遠い海の彼方へと思いを届けるかのように心を込めて歌った「鯨法会」で最後のピアニシモでのフェルマータが静かに消えていったとき、会場の空気がその情景に淡く染まっているようだった。
このように拙作に真摯に取り組んでくださった今泉さん、そしてその歌の背景として、或いは前景として歌と一緒に呼吸しながらピアノで描いてくださった赤羽さんには本当に感謝です。
歌だけでなく、今泉さんのステージ衣装もお客さんの楽しみのひとつ。清楚で春らしい第1部での衣装から、日本の春を思わせる第2部、そして旭さんとのデュオでの「パ・パ・パ」1曲にさえセキセインコを連想するようなかわいらしい衣装に衣替えする気転とセンスの良さも忘れられない。
このコンサートのもう一人の主役である旭さんの印象も前回に増して鮮烈。大地の奥底から沸きあがってくるような太い声は、歌の芯まで温かな血が通い、それが聴いている自分の体の中にまで染みわたってくるよう。まさに生命力を湛えた春の息吹を思わせる。「さくらさくら」や「城ヶ島の雨」のようなゆっくりとした曲をたっぷりと歌い上げる一方で、「待ちぼうけ」や「松島音頭」では単にリズミカルで活き活きしているという表現では言い表せない生命力に満ちている。
ユーモラスなステージでのしぐさや、何とも言えないおもしろいトークからは「役者」の顔がちらつく。今泉さんとのデュオで歌った「パ・パ・パ」での名演技を見ると、ますますオペラの舞台での姿に接したくなる。
そんな魅力的いっぱいの二人の歌手と、全ての伴奏を担当した赤羽さんによる素敵な歌の世界をなごやかな空気の中でたっぷりと味わい、贅沢な時間をいただいた。ありがとうございました。