5月11日(金)レジス・パスキエ(Vn)/ジャン=クロード・ペヌティエ (Pf)
トッパンホール
【曲目】
1.シュヴィヤール/ヴァイオリン・ソナタ Op.8
2.ドビュッシー/ヴァイオリン・ソナタ
3.ラヴェル/ヴァイオリン・ソナタ

4.プーランク/ヴァイオリン・ソナタ
【アンコール】
1.フォーレ/ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13~第2楽章
2.フォーレ/子守歌Op.16
ペヌティエの手の怪我のために延期され、半年以上待って実現したヴァイオリンのパスキエとのデュオ・リサイタル。ペヌティエは2015年に、やはりトッパンホールでソロリサイタルを聴いているが、今回はアンサンブルという形での魅力を存分に味わった。
まずは共演者のパスキエ。フランス人のヴァイオリニストがフランスものを演奏すると言っても、パスキエのヴァイオリンは、フランスのエスプリというよりも、野太くフレーズを大きく捉え、大胆に挑みかかり、ときにささくれ立つほど果敢に攻めてくる。そして、常に音楽の「核」をストレートに伝えてくる。ぎゅっと集中して焦げ付くほど熱を帯びた音の存在感と、頭のまん中で音が鳴っているような感覚は、SPレコードに刻まれた往年の名手の演奏を蓄音機で聴いているよう。これは決してネガティブな意味ではない。NHK-FMで放送される「まろのSP日記」という番組で、蓄音機で再生されるSPの音を聴いていると、余分な情報が省かれ、本当に伝えるべきメッセージだけが凝縮され、心から心へストレートに届いてくるリアルさを感じる。そんな音をパスキエのヴァイオリンから感じた。
最初のシュヴィヤールでは、音が能動的過ぎて、もう少し穏やかなシーンも欲しいとも思ったが、続くドビュッシーでは硬軟自在で、バランス感覚のあるペヌティエのピアノとのダンスパフォーマンスを観ているよう。ペヌティエのピアノは暖色系の中で音の色合いを変化させ、パスキエのヴァイオリンを包むように彩っていった。
後半の1曲目にやる予定だった楽しみにしていたフォーレのソナタは、ペヌティエの怪我の状態を考慮したとのことで、ラヴェルのソナタに変更になったが、このラヴェルが白眉と云える演奏となった。パスキエとペヌティエのダンスは益々興に乗り、あうんの呼吸でアクロバティックなやり取りを繰り広げた白熱の演奏。とりわけ第2楽章のパスキエの歌は、「パスキエ節」とでも呼びたいほど熱く濃厚で、体臭まで届いてきそうな人間味で迫ってきた。
最後のプーランクは第1楽章が圧巻。音たちが衝動に駆られてじっとしていられずに動き回り跳ね回る、そんな予想もつかないスリルに満ちた手に汗握る演奏だったが、思いっきり衝撃を受けたかった終楽章はあっけなく終わってしまった観あり。
アンコールでは、聴けなかったフォーレをやらないかなという期待に答えてくれたのは嬉しかった。ここではペヌティエのピアノが秀逸。柔らかな茜色に染まる暮れなずむ西の空に沈む太陽から届く最後の弱い光が、空気を震わせるよう。静けさと暖かさに満たされた世界。それを受けたような「子守歌」では、弱音器を付けたパスキエの渋いヴァイオリンと共に、夕映えの色が夜に吸い込まれて行くようだった。
ペヌティエ フォーレ夜想曲全曲 2015.5.8 トッパンホール
ブログ管理人作曲によるCD
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~(MS:小泉詠子/Pf:田中梢)
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トッパンホール
【曲目】
1.シュヴィヤール/ヴァイオリン・ソナタ Op.8
2.ドビュッシー/ヴァイオリン・ソナタ

3.ラヴェル/ヴァイオリン・ソナタ


4.プーランク/ヴァイオリン・ソナタ

【アンコール】
1.フォーレ/ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13~第2楽章

2.フォーレ/子守歌Op.16
ペヌティエの手の怪我のために延期され、半年以上待って実現したヴァイオリンのパスキエとのデュオ・リサイタル。ペヌティエは2015年に、やはりトッパンホールでソロリサイタルを聴いているが、今回はアンサンブルという形での魅力を存分に味わった。
まずは共演者のパスキエ。フランス人のヴァイオリニストがフランスものを演奏すると言っても、パスキエのヴァイオリンは、フランスのエスプリというよりも、野太くフレーズを大きく捉え、大胆に挑みかかり、ときにささくれ立つほど果敢に攻めてくる。そして、常に音楽の「核」をストレートに伝えてくる。ぎゅっと集中して焦げ付くほど熱を帯びた音の存在感と、頭のまん中で音が鳴っているような感覚は、SPレコードに刻まれた往年の名手の演奏を蓄音機で聴いているよう。これは決してネガティブな意味ではない。NHK-FMで放送される「まろのSP日記」という番組で、蓄音機で再生されるSPの音を聴いていると、余分な情報が省かれ、本当に伝えるべきメッセージだけが凝縮され、心から心へストレートに届いてくるリアルさを感じる。そんな音をパスキエのヴァイオリンから感じた。
最初のシュヴィヤールでは、音が能動的過ぎて、もう少し穏やかなシーンも欲しいとも思ったが、続くドビュッシーでは硬軟自在で、バランス感覚のあるペヌティエのピアノとのダンスパフォーマンスを観ているよう。ペヌティエのピアノは暖色系の中で音の色合いを変化させ、パスキエのヴァイオリンを包むように彩っていった。
後半の1曲目にやる予定だった楽しみにしていたフォーレのソナタは、ペヌティエの怪我の状態を考慮したとのことで、ラヴェルのソナタに変更になったが、このラヴェルが白眉と云える演奏となった。パスキエとペヌティエのダンスは益々興に乗り、あうんの呼吸でアクロバティックなやり取りを繰り広げた白熱の演奏。とりわけ第2楽章のパスキエの歌は、「パスキエ節」とでも呼びたいほど熱く濃厚で、体臭まで届いてきそうな人間味で迫ってきた。
最後のプーランクは第1楽章が圧巻。音たちが衝動に駆られてじっとしていられずに動き回り跳ね回る、そんな予想もつかないスリルに満ちた手に汗握る演奏だったが、思いっきり衝撃を受けたかった終楽章はあっけなく終わってしまった観あり。
アンコールでは、聴けなかったフォーレをやらないかなという期待に答えてくれたのは嬉しかった。ここではペヌティエのピアノが秀逸。柔らかな茜色に染まる暮れなずむ西の空に沈む太陽から届く最後の弱い光が、空気を震わせるよう。静けさと暖かさに満たされた世界。それを受けたような「子守歌」では、弱音器を付けたパスキエの渋いヴァイオリンと共に、夕映えの色が夜に吸い込まれて行くようだった。
ペヌティエ フォーレ夜想曲全曲 2015.5.8 トッパンホール
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