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ポルトヴェーネレ ~ヴィーナスの港~

2010年09月23日 | 夏のヨーロッパ家族旅行2010
PORTOVENERE

8月10日(火)

NHKの番組で見て以来、いつか来たいと思っていたチンクェ・テッレ。同じくその番組で取り上げられていたポルトヴェーネレは、日本語にすれば「ヴィーナスの港」。イタリアのリヴィエラ東部に点在するこれらの町は、世界文化遺産に登録されている。

チンクェ・テッレこそ、最近は日本でも知られるようになってきたようだが、ポルトヴェーネレはガイドブックにもなかなか載っていない。だけど、NHKで見た絶海の断崖に建つ教会の映像が心に焼きついていたpocknは、その教会があるポルトヴェーネレに宿を取って、チンクェ・テッレを巡ることにした。

ジェノヴァからポルトヴェーネレへ行くには、プリンチペ駅から電車で約1時間20分のラ・スペツィア(La Spezia)まで行き、そこからはバスだ。ジェノヴァから乗ったラ・スペツィア行きの電車は、風光明媚な海岸沿いをゆっくりと走り、チンクェ・テッレ巡りの拠点であるラ・スペツィアへ到着する。


ラ・スペツィアに到着したインターシティ

ラ・スペツィアからポルトヴェーネレへ行くバスの停留所を見つけるのに一苦労した。駅のすぐそばのバス停ではなく、ちょっと離れたところにある。途中、人に何度も尋ねながら15分ぐらいかけてやっとバス停に行き着いた。

ラ・スペツィアからポルトヴェーネレまではバスで約30分。バスの中でホテルに近い停留所を教えてもらい、一緒に降りた乗客にホテルも教えてもらったので、迷わずホテルに着けた。

2泊するHotel PARADISOは、海沿いに建つ明るくてきれいなホテル。

部屋はツインベッドと2段ベッドが入った広い4人部屋で、海も良く見えてリゾート気分満点。このホテルが、今回の旅行で泊まる中で格段に高かったが(4人部屋、1泊2食付で4人で1泊320ユーロ)、食事もおいしいしおススメ。



早速、町の方へ行ってみた。ホテルから5分も歩くと港があり、海沿いにはカラフルな家がならんでいた。その背後には中世のお城が聳えている。とても絵になる風景だ。海岸沿いには、お土産屋やレストランがたくさんあって、観光客で賑わっていた。


海沿いに続く道は岬の方へ続いていて、その先に石作りの教会が見える。テレビで見たサン・ピエトロ教会(Chiesa di S. Pietro)だ。港の前に並ぶおみやげ屋さんの前に足を止められている娘をせかして教会に向かった。


サン・ピエトロ教会

建物が途切れ、所々に草が生えた岩の上に作られた道からは青い海が見渡せ、岩の縁からは波が打ち寄せる岩礁を見下ろせる。


目の前に迫ってきたサン・ピエトロ教会は、そんな岩礁を見下ろす岬の突端に建っていた。



テレビで見たときは、人を寄せつけない、孤高の厳しさでオーラを放っているように感じたが、実際の印象は、厳しさよりも、南国的な明るさが勝っていた。太陽に照らされ、観光客で賑わっているせいかも知れない。

しかし、教会の中に一歩足を踏み入れると、そこはやっぱり別世界だった。分厚い石の壁に囲まれた、ひんやりとした教会の内部は簡素な造りで、中世の要塞のような力強さを感じた。薄暗い中、石の壁を切り取った小さな窓から差し込む太陽光線が、神秘的に内部の一点を照らしていた。

小窓から射した光を掌で受け止める

外では陽気で賑やかだった観光客たちも、この雰囲気に呑まれたのか、堂内では神妙な表情でじっと立ちすくんでいる。

再び外に出て、塔に上のテラスへ登ると、眼下の岩に波がぶつかっては砕け散り、大きな音を響かせていた。そして目を上げれば、一面の大海原に傾きかけた太陽の光がキラキラと輝いていた。


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そんな光景を眺めていたら、テレビで観たイメージがみるみる現実のものになってきた。もし冬にここを訪れれば、そんな別世界感は一層強まるのだろう。この光景を心にちゃんと焼き付けておきたくて、サン・ピエトロ教会をスケッチに描いた。



絵を描き終えて、高台に見えるもう一つの教会まで行ってみることにした。階段や坂道を上り、その教会(サン・ロレンツォ教会)の建つ広場まで行くと、丘の頂にある城砦が、もう一息というところに迫って見えた。でもお腹も空いてきたので、今日はこの辺りまでにして、城砦へはまた明日か明後日にでも来よう。

港までの道は、一気に下らずに緩やかな道を選んでぶらぶらと歩いた。家の門の素敵な焼き物の表札を見て歩くのも楽しい。

 
見上げればカラフルな家の壁にカラフルな洗濯物が夕日を受けてはためいている。

狭い路地を通り、トンネルを通り抜け、階段を下り、花咲く木をくぐり… あちこちから海も見える楽しい散歩だ。以前訪れた南イタリアのプロチダ島とか、アマルフィの町と雰囲気が似ている。

港に近づくと、お店も増えて、人通りも多くなってきた。



白地に赤いクロスの入った旗があちこちの店先や、家の窓に掛けてある。何の旗か気になって、旗がかかっているお店の人に訊ねたら、ジェノヴァの旗だと教えてくれた。


賑やかな通りの出口は城壁になっていた

ホテルのレストランは海を見渡せる雰囲気の良いテラス席。夕食付プランでは、メニューから好きなプリモ(一皿目)とセコンド(二皿目)、それにデザートを選べる。



Pocknはプリモにスパゲッティ・ヴォンゴレ、セコンドは魚のフライの盛り合わせ、デザートにはメロンのゼリー寄せを選び、コーヒーを付けてもらった。ワインは安いハウスワインでいいや。どれも大満足の味!やっぱりイタリアは食べ物がおいしい。あぁ、でも魚のフライはちょっと多いよ。。。 プリモをスープにした娘に手伝ってもらった。



8月11日(水)一時

今朝も晴天。この日は終日チンクェ・テッレの村めぐり。

チンクェ・テッレ

夕方、チンクェ・テッレ巡りを終えた帰り、船がポルトヴェーネレへ近づいてくると、あのサン・ピエトロ教会が見えてきた。その奥の高台には城砦が構えている。海側から見る光景もまた印象的。

船はポルトヴェーネレの湾内に入って行く。岩壁の岬の突端に建つサン・ピエトロ教会が、夕日を受けて輝いている姿は神々しささえ感じる。本物は見たことがないが、モンサンミシェルを連想した。夢中でシャッターを切った。


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湾内に入った船が、港を目指してぐるりと西側に回りこむと、今度はサン・ピエトロ教会は逆光になってシルエットを浮かばせた。これもいい。


こんな素晴らしいシーンに出逢えたのも船に乗ったから。チンクェ・テッレを観光するなら、ポルトヴェーネレから船で行くに限る。


暮れかかる頃の港の色もいい…

2度目のホテルでの夕食は、アサリ、エビ、ムール貝入りスパゲッティ、イワシのフライ盛り合わせ、デザートはティラ・ミ・スにした。ワインは昨夜のボトルをキープしておいてもらったのを飲んだ。ちょっと香りが抜けたかな… ビールも飲んじゃった。


食後、良い気分で夜の町を散歩した。ライトアップされたポルトヴェーネレもキレイだった。




8月12日(木)

朝の日差しがいっぱいに降り注ぐレストランでの朝食を早めに済ませ、スケッチをするために独り港へ行った。港を前景に、カラフルな家々と、その背後の城砦が見える風景は、絵葉書で一番多いポルトヴェーネレのアングルでもあるが、この構図がやっぱりとても心引かれる。港の埠頭の先に腰かけてとりあえずスケッチを仕上げた。


クリックでスケッチを見る

ポルトヴェーネレのポルト”porto”は「港」、ヴェーネレ”venere”は「ヴィーナス」、まさしく「ヴィーナスの港」という名にふさわしい風景だ。

スケッチをしたあとは、家族と一緒に、一昨日途中まで上った高台の、その上にあるこの町のシンボル的な城砦まで行ってみることにした。

太陽がだんだん勢力を増し、ジリジリと夏の暑さが迫ってくるなか、石段を上りつめてお城の入口まで行くと、開門は11時から、と書かれた看板があり、入場料金が出ていた。開門までまだ時間があるうえに、入るのに金がかかるとなれば、中には入らなくていいか… ということで入場はやめた。

城門内に入らなくても、お城は間近に見ることができるし、あたりに散在する廃墟となった城砦の一部に上がったり、潜り抜けたりして遊んだ。



町や海の見晴らしもいい。昨日の夕方、船から最高のシーンを見せてくれたサン・ピエトロ教会も眼下に望める。


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ポルトヴェーネレは本当に素敵なところだった。

かわいい町並み、神々しい教会、風格のある城砦、きれいな海… 町はあちこち散歩するのにちょうどいい広さだし、お店もいろいろあって楽しい。

チンクェ・テッレへ行くなら、ポルトヴェーネレも訪ね、ゆっくり過ごすのがいい。

ジェノヴァ
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