9月19日(木)ラハフ・シャニ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン・フィルハーモニーホール
【曲目】
1.プロコフィエフ/交響的協奏曲ホ短調 Op.125
(アンコール)
♪ バッハ/第4番変ホ長調 BWV1010~サラバンド
Vc:アリサ・ワイラースタイン
2.シェーンベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」 Op.5
ドイツとチェコを夫婦で旅行して、今年もベルリン・フィルの定期演奏会を聴く機会を得た。ベルリン・フィルへの客演も多いラハフ・シャニは、2020年からメータの後任としてイスラエル・フィルの音楽監督を務め、2026年にはミュンヘン・フィルの首席指揮者にも就任予定の気鋭の指揮者だ。
今夜のプログラムはプロコフィエフとシェーンベルクの大作が2つ。プロコフィエフでソリストを務めるアリサ・ワイラースタインはアメリカ出身のチェリスト。デッカからリリースされているバレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレとの共演によるエルガーの協奏曲は、バレンボイムにとってジャクリーヌ・デュプレ以来の録音とのこと。
ワイラースタインのチェロは、第1楽章では僕が座った右側最後部では少々遠く感じたが、演奏が進むにつれて楽器が温まってきたのだろうか、俄然音が届いてきた。研ぎ澄まされた音が印象的で、存在感のある柔らかな弱音から逞しい強音に至るまで表情豊かで彫りが深く、ロマンチックに溺れず鋭く掘り下げ、常にくっきりとした音像を描いていく。高音の美しさも耳を引く。息も尽かせぬ超高速のパッセージでも落ち着いて的確に畳みかけ、オケも果敢に一糸乱れぬアンサンブルでチェロとのバトルを繰り広げてクライマックスを築き、迫真の熱い演奏で心を揺さぶった。アンコールでは孤高の静謐さを伝えた。
後半はシェーンベルク。3か月前にヴァイグレ指揮読響でこの曲を聴いた時は掴みどころがない印象だったが、今回は予習して臨んだこともあって音楽と演奏を堪能できた。シャニ指揮ベルリン・フィルは緻密に積み上げた音を柔軟にコントロールして行く。クリアで研ぎ澄まされた音が連綿と繋がり、寄せては引く波のような滑らかな受け渡しが徐々に巨大な波へと盛り上がっていった。荒波になっても砂の一粒一粒が見えるような透明度が保たれ、結晶のような高い純度で美しい色彩を放つ。音楽がどのシーンを表しているかを正しく認識するのは難しかったが、ここはペレアスとメリザンドが愛し合っている場面とか、ゴローが嫉妬に燃えている場面とか、メリザンドが殺されて悲嘆に暮れる場面とか想像を膨らませることが出来た。
パユのフルート、オッテンザマーのクラ、ユン・ゼンのホルンなど、それぞれのソロパートの雄弁さ、芸術性の高さにもほれぼれ。パート同士の音の受け渡しも手に取るように鮮やかだ。じわじわと熱量を上げていくときのリアルさ、フォルティッシモで腹の底から湧き上がるような圧倒的なパワーを見せつける時にも常に冷静な目があり、余力さえ感じられた。最後の運命の動機が暗く厳かに鳴り響くところは、聴いていて身動き出来ないほど張りつめたものを感じ、ベルリン・フィルの魔力に魅了された。
ホルンに日本人っぽい女性が。メンバー表では確かめられなかった(拡大可)
会場内に据えられた歴代指揮者の胸像より
キリル・ペトレンコ指揮 ベルリン・フィル 2023.9.14 フィルハーモニーホール
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1.プロコフィエフ/交響的協奏曲ホ短調 Op.125
(アンコール)
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Vc:アリサ・ワイラースタイン
2.シェーンベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」 Op.5
ドイツとチェコを夫婦で旅行して、今年もベルリン・フィルの定期演奏会を聴く機会を得た。ベルリン・フィルへの客演も多いラハフ・シャニは、2020年からメータの後任としてイスラエル・フィルの音楽監督を務め、2026年にはミュンヘン・フィルの首席指揮者にも就任予定の気鋭の指揮者だ。
今夜のプログラムはプロコフィエフとシェーンベルクの大作が2つ。プロコフィエフでソリストを務めるアリサ・ワイラースタインはアメリカ出身のチェリスト。デッカからリリースされているバレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレとの共演によるエルガーの協奏曲は、バレンボイムにとってジャクリーヌ・デュプレ以来の録音とのこと。
ワイラースタインのチェロは、第1楽章では僕が座った右側最後部では少々遠く感じたが、演奏が進むにつれて楽器が温まってきたのだろうか、俄然音が届いてきた。研ぎ澄まされた音が印象的で、存在感のある柔らかな弱音から逞しい強音に至るまで表情豊かで彫りが深く、ロマンチックに溺れず鋭く掘り下げ、常にくっきりとした音像を描いていく。高音の美しさも耳を引く。息も尽かせぬ超高速のパッセージでも落ち着いて的確に畳みかけ、オケも果敢に一糸乱れぬアンサンブルでチェロとのバトルを繰り広げてクライマックスを築き、迫真の熱い演奏で心を揺さぶった。アンコールでは孤高の静謐さを伝えた。
後半はシェーンベルク。3か月前にヴァイグレ指揮読響でこの曲を聴いた時は掴みどころがない印象だったが、今回は予習して臨んだこともあって音楽と演奏を堪能できた。シャニ指揮ベルリン・フィルは緻密に積み上げた音を柔軟にコントロールして行く。クリアで研ぎ澄まされた音が連綿と繋がり、寄せては引く波のような滑らかな受け渡しが徐々に巨大な波へと盛り上がっていった。荒波になっても砂の一粒一粒が見えるような透明度が保たれ、結晶のような高い純度で美しい色彩を放つ。音楽がどのシーンを表しているかを正しく認識するのは難しかったが、ここはペレアスとメリザンドが愛し合っている場面とか、ゴローが嫉妬に燃えている場面とか、メリザンドが殺されて悲嘆に暮れる場面とか想像を膨らませることが出来た。
パユのフルート、オッテンザマーのクラ、ユン・ゼンのホルンなど、それぞれのソロパートの雄弁さ、芸術性の高さにもほれぼれ。パート同士の音の受け渡しも手に取るように鮮やかだ。じわじわと熱量を上げていくときのリアルさ、フォルティッシモで腹の底から湧き上がるような圧倒的なパワーを見せつける時にも常に冷静な目があり、余力さえ感じられた。最後の運命の動機が暗く厳かに鳴り響くところは、聴いていて身動き出来ないほど張りつめたものを感じ、ベルリン・フィルの魔力に魅了された。
ホルンに日本人っぽい女性が。メンバー表では確かめられなかった(拡大可)
会場内に据えられた歴代指揮者の胸像より
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