facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

八丁湯~川俣ダム~日光白根山

2008年10月21日 | 山&ハイキング
 2008年8月17日(日)~8月20日(水)

娘が学校の行事で不在のあいだに残りの家族3人で奥鬼怒と奥日光へ出かけた。息子だけを連れて3人で旅行するのはこれが始めて。子供の成長とともにこんなシーンはこれから増えてくるかも知れない。

初日の17日、おにぎりを作って出かけたが出発早々から雨が降り出しやがて本降りに… 霧降高原を歩いて眺めのいいところでおにぎりを食べる予定だったがこれは無理。そのまま川俣方面へ抜けた。

雨の中、蛇王の滝を訪ねた。鬼怒川に落ちるこの滝は車道からも見ることができるがせっかくだから河原まで降りて近くで見た。落差があるわりにサラサラと爽やかな水音を響かせていた。

雨をよけられておにぎりを食べられそうな気の利いた東屋でもあれば良かったのだがなかったので早々に再び車に乗り込んだ。

「どこかおにぎりを食べられそうなところは…」と車を進めていたら「見晴らし茶屋」とかいう看板があったのでそっちの道へ入ってみた。道はどんどん上っていくがなかなかその茶屋には着かない。ようやく着いた見晴らし茶屋は川俣ダムを見下ろす斜面に建っていた。

外のテラスは雨がしのげてベンチが置いてあった。お客はいない。「ここでおにぎり食べてもいいですか。」と訊くと「どぉぞぉ、この雨じゃねぇ」と言ってくれたのでお言葉に甘えてそこでおにぎり。テラスからは霧に煙った川俣ダムが見下ろせた。



雨模様のなか、ダムの眺めを楽しみながらおにぎりを食べられる場所を提供してもらえてよかった。お礼も兼ねてお店でお菓子とゴマふりかけを買った。

八丁の湯
初日の宿泊は奥鬼怒の秘湯「八丁の湯」。一般車は女夫淵温泉までしか入れない。そこから八丁の湯までは宿のマイクロバスに乗り換えるか、歩くしかない。

とりあえず雨が上がったようなので荷物だけバスに乗せて歩くことにした。「歩いていきます」というと運転していた宿のひとが「雨ですよー」とちょっとあっけに取られていた。でもこれがウチ流、というか殆どpockn流。。。

八丁の湯までは約1時間のコース。コース入口には傘立てがあって傘も借りられた。止んだと思った雨がまたポツポツ。「いやだなぁ。。。」 でも雨は間もなく止み青空ものぞいてきた。

雨で道の状態が心配だったがとくに大変なところもなく、緑の渓谷に沿ったなだらかな遊歩道だった。

途中「ゴザ池の滝」という滝にも寄った。5m程度の落差だが、洞窟のような滝壺に落ちるのが印象的。


歩き始めて約1時間、広い森の中の平坦な道をしばらく行くと八丁の湯に着いた。大きなワンちゃんが出迎えてくれた。

宿の前の広場から滝の落ちる露天風呂がよく見える。これはなかなかの開放感! 部屋の電灯はランプ風でとても暗く、夜はもう寝るしかないって感じ。噂どおりの秘湯の雰囲気が漂う。

早速息子と混浴露天風呂へ。滝見台みたいな高いところにも滝壺のほうにも風呂がある。滝を間近で眺めながらつかる温泉… こりゃあええ!

夜はその滝がライトアップされ幻想的に浮かび上がった。山深い自然の懐に抱かれた八丁の湯は自然派にはこたえられないところだ。



翌朝の18日は青空が広がった。八丁湯から行けるいくつかのハイキングコースのうち、お手軽そうなヒナタオソロシの滝を訪ねるコースを歩いた。ヒナタオソロシの滝という名前がいかにも秘境っぽくていい。

コースは八丁湯から加仁湯、日光沢温泉としばらく林道を辿る。加仁湯の宿はけっこう立派な建物で「春日野部屋」ののぼりがかかっていた。お相撲さん達が河原でシコを踏んでいた。その上の日光沢温泉はひなびた木造の湯治宿。その先から道は登山道っぽくなった。

渓谷の水がきれいで緑も目に沁みる。鬼怒沼方面と道を分けてヒナタオソロシの滝は橋を渡って山の急な斜面を登って行く。ズンズンと登ると深い樹林帯に入る。苔むした木々は年輪を重ねた大木が多い。



森の中をしばらく行ったところにベンチが置かれた日向オソロシの滝の観瀑台があった。正面の山を左右に分けるように一筋の滝が真っ直ぐに落下していた。

落差は100m近くもあるそうだが樹間越しに遠目にしか見られず、期待したような幽玄の世界に浸るという感じではない。もっと近くで見れるとまた違うんだろうが…

川俣ダム
昨日雨の中、見晴らし茶屋から見た川俣ダムへまた行ってみることにした。ダム周辺に遊歩道があってダムの上も歩けるし、ダム側の谷底の上に架かった吊り橋も歩ける。これは面白そう。なぜか前からダムに興味を示していた息子にとって初めて実際に見るダムでもある。

湖側の駐車場からゲートを越え、スロープを下って行くとダムがだんだん近くなる。ダムの上を歩き一番向こうまで行って振り返ると、アーチ状になったダムがド迫力で迫ってくる。ダム湖の川俣湖で堰きとめられた反対側は深い谷。その谷底を流れる川にダム湖から導かれたと思われる水がドードーと激しく落ち込んでいた。


この柵から下を見ると目が眩む。人間ってのはスゴイものを作るもんだ。
クリックで拡大

ダム湖の反対側は瀬戸合峡という景勝地でとてもきれいな渓谷。紅葉の時季はまたよさそうだ。その深い谷に吊橋が架かっている。
この吊橋は4年前に遊歩道整備のときに作られ、名前を公募して「渡らっしゃい吊橋」と命名されたとのこと。何やら楽しそうな名前だが見ただけで足がガクガクする。でももちろん行ってみる。息子は「半分まででいい」とちょっとビビり気味…

吊橋へは遊歩道をずーっと下りまた登り返すので足腰を使う。実際に橋を渡ってみると幅も結構あり、何よりしっかりした作りのため遠くで見ていたほど恐怖感はない。でも谷底まで106メートルという眺めはさすがにスゴイ!

帰りにダムの脇にある広報館にも寄ってみた。このダムのことや周辺の集落や自然について様々な展示やアンサー式パネルや映像で紹介していてためになった。ここはダムの見学も含め入場無料。自然の大きさと人間の偉大な叡智と技を同時に体感することができた。

駐車場の脇の草原の片隅にダム工事で命を落とした人達の慰霊碑がひっそり建っているのを見つけた… 合掌

環湖荘
山王林道を越えて日光へ。やって来たのは丸沼温泉。前から一度泊まってみたかった丸沼温泉ホテルは「環湖荘」と名前が変わっていたが、変わらずに湖畔にひっそりと建っていた。



2泊した環湖荘の外観は落ち着いた風格があり、ロビーの内装には立派な木の梁が贅沢に使われていてシック。奥までずっと続いていて外から見た感じよりも規模が大きい。スタンダードタイプの和室にはトイレはなく湖も見えないが、部屋から枯山水の石庭と森が見える。温泉のニジマス風呂には大きな水槽があって本物の虹鱒が泳いでいてビックリ。食事もいい。1泊2食で9500円はお得だ。

翌日の19日は午前中から雨が降り出し、朝、湖畔を散歩した以外はどこにも行けず、すっかりこのホテルの「住人」になってしまった…


日光白根登山
一日ホテルに足止めされた翌日は晴れ。前の日の分も楽しむぞ!

丸沼からは日本百名山の一つにも数えられている日光白根山がすぐ近く。白根山には以前独りで菅沼から登ったが、ロープウェーを使えばもっと楽に頂上まで行くことができる。ロープウェー終点から山頂まではコースタイム的にも標高差も去年子連れで登った蓼科山と大差ないし、天気もいいので白根山に登ってみよう!ということで、まずはロープウェーに乗り込む。

このロープウェーはゴンドラが次々とやって来るタイプで待ち時間はなし。2500mの長さ、標高差600mを15分で上っていく。ゴンドラからの眺めはみるみる広がり、泊まった丸沼湖畔の環湖荘も見えてきた。後ろには尾瀬の山々も… そして前方にはこれから登る白根山が姿を現した。



ぽこぽこした山頂の形が火山を思わせる。「えー、この山を登るの?」と奥さんはちょっと引き気味だがpocknは胸が躍る!

ロープウェー山頂駅は標高2000m。ここら辺は「ロックガーデン」と呼ばれ大きな岩がゴロゴロした広場にコマクサなどの高山植物が保護されつつ咲いているがこれはちょっと人工的。でもロックガーデンの後ろに聳える白根山の姿がいい。



「天空の足湯」というのがあって気持ち良さそうだが、まずは白根山山頂を目差す。

神社でお参りし、鹿よけのゲートを越えてまずは「史跡散策コース」というところを辿る。この辺りは鬱蒼とした深い森。道は広くて傾斜も少なく散策気分で歩ける。岩や木を覆う苔もきれいだ。



40分ほどで史跡散策コースから分かれて登山道となる。午後は曇ってくるという予報。山頂に着く前にガスってしまったらつまらないのでそんな時は途中でコースを変更して池へ行けるコースを選び、座禅山方面への登山道を登る。ここはなかなかの急坂。

急坂を40分近く1歩1歩登って行く。ようやく明るい稜線に出るとそこは黄色いハンゴンソウが一面に咲くお花畑。山では寡黙になる奥さんもこれをみて歓声を上げた。



それまでの暗い森林の中の急坂とは打って変わって明るく快適なお花畑のプロムナード。



やがて道は座禅山と阿弥陀ヶ池からの道が合わさり、深い緑色の水面の阿弥陀ヶ池が見えた。ここからは白根山山頂への展望に恵まれた直登コースとなり、また勾配が増してくる。



岩ばった登山道に早くもコケモモやガンコウランが色づいていた。8月も後半に入ると山は着々と秋の準備が始まっている。



失敬して実を採ってムシャムシャと食べた。いくつかまとめて食べると口に果汁が広がって美味さが増す。甘酸っぱい味に励まされて登って行くと阿弥陀ヶ池の向こうには菅沼や丸沼も見えてきた。



道は急な岩場の連続だ。ここまで頑張ってきた息子も足をとめる回数が増えてきた。山頂から下って来た人達に「ここを登ってくるのはすごいなぁ!もうすぐだよ、頑張れ」と励まされ、息を整えながらまた少しずつ歩を進める。大きな岩をいくつもよじ登り、とうとう日光白根山山頂(2578m)に着いた!南方面の視界も開け男体山の姿が現れた。



しかし間もなく山頂付近にガスがかかってきて男体山も見えなくなってしまった。日が蔭ってしまうと寒い… お湯を沸かして環湖荘で特別に分けてもらったカップラーメンを食べた。

ガスはますます深くなり雨が降りそうな気配。なにやら遠くでゴロゴロと雷の音まで聞こえる。これはイヤだ。。。 ここまでの所要時間を考えると時間的にも下りのロープウェーの最終にギリギリだ。 奥さんも不安顔で「もう行こう」と言うので出発することにした。荷物をまとめていたら霧が切れてまた青空が出てきたが…


下山路は白根山の山腹南側を大きくまわるコース。ところどころ滑りやすいザレ場があるが傾斜はそれほどキツくなく、様々な高山植物と岩が織り成す自然の庭園のような風景。



もっとのんびりと歩きたいところだが雨も心配だし、何よりロープウェーの時間があるので足早に通過… 



本格的な下山路に差し掛かった頃に恐れていた雨が降り出した。これは参った。。。 去年の蓼科山の帰りにもヒドイ雨にやられたがまたしてもかー。。。 急いで雨具を着るが余計な時間を取られてしまう。あーロープウェー、間に合うかなぁ。

息子が生まれる前、娘がまだ小さい頃にスイスのカンデルシュテークというところでリフトに乗って、そこから随分歩いてエッシネン湖というアルプスの山々を湖面に映すそれは美しい湖を訪れたとき、ついのんびりしてしまって帰りのリフトに乗れず、薄暗い山道を娘をずっと抱っこして麓まで下ったときのことが頭をよぎった。

1時間ほど息子の手を引いて下りて行ったが、どうもこのペースではロープウェーの最終の4時半に着けるか危ない。下りは常に息子の手を引いていないと転ぶ危険があるが、下りが苦手な奥さんに息子を託してpocknが先に下りてロープウェーに待っていてもらうように頼もう、と決心。 pockn独りでガンガンと道を下り、約30分でロープウェー駅に到着。最終ロープウェーまであと30分。

乗車場にいたおにいちゃんに話すと「そろそろ格納を始めるんで・・・」と困った様子で責任者らしい女の人を連れてきた。「わかりました。」と了解してくれたのでまずは一安心。幸い雨も止んだ。ザックを置かせてもらって、来た道を急いで戻り2人を迎えに行った。

15分ほど戻ったところで2人が無事に下りてくるところに出合った。ホッ。。。 急げば4時半までに間に合うかも… と下ったが3分ほどオーバーしてしまった。係りの人に何度も謝ってお礼を言ってゴンドラに乗り込んだ。時間には間に合わなかったが、3分なら超迷惑野郎とまではならずに済んだかな…

他のゴンドラはみんな格納されてしまったようでうちらのゴンドラだけが麓の駅へと下って行った。そういえば奥さんが楽しみにしていた「天空の足湯」にも寄れなかった。時間の読みが甘かったおれのせいだ。ゴメンナサイ。。。 山麓駅でゴンドラを降りると間もなくゴンドラのモーター音が止んだ。まさにうちらだけの貸し切り状態。ご迷惑をおかけしました。。。

山麓駅の辺りは雨が降った様子は全くない。あの雨、おれたちだけを狙い撃ちしたのでは??? 下りは殆ど休憩することもなく2時間歩きっぱなしだったが息子も泣き言を言うことなく下りてきた。えらい!これならもっとキツい山でも大丈夫かも… なんてことすぐに考えるのは反省が足りないかな。

下山したら山麓駅の中にある「座禅温泉」でひとっぷろ浴びて帰ろうと思っていたがこちらはもうおわり。帰り道に温泉のひとつやふたつあるだろうと車を走らせていて見つけたこの温泉。白根山に登った帰りに「白根温泉」に入るというのはなかなかいい。

とてもひなびた感じの建物で、だたっ広く殺風景な浴室にトタンかなにかの筒から源泉が惜しげもなく注がれている。台湾の新北投温泉で入った銭湯の「滝乃湯」に似たレトロな雰囲気がいい。登山の汗をながしてゆっくりとお湯につかった。「ふぅっ」やっぱり山の後は温泉に限る


清里の貸別荘「野わけ」ライフ2008


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2 コメント

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遊びに参りました (ゆうこ)
2008-10-22 23:30:04
pocknさん、山旅日記のUPお疲れ様でした。いやー、力作ですね~!pocknさんの家族愛が伝わってきます(*^-^*)。

我が家も10年ほど前に日光白根に登りましたがやはり山頂ではガスってしまい是非また行かねば思っています。下りでは大変だったようですが、それだけに思い出深い山旅になったことと思います。
それにしても、滝を間近で眺めながらつかる温泉だなんていいですねー。「八丁の湯」は是非行ってみたいです。私もpocknさんの日記を拝見していたらまた山に行きたくてうずうずしてきましたo(^o^)o。
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ゆうこさん、ようこそ! (pockn)
2008-10-23 00:50:58
ゆうこさん、早速遊びに来てくださり、長いレポートを最後まで読んでくださりありがとうございます。常念岳や甲斐駒のほうもご覧頂けましたかぁ? ゆうこさんご夫妻との山行、そしてその後の温泉にビール、是非是非実現したいですねー!
でも僕はご覧の通り超マイペースなやつでご迷惑をおかけしてしまうこと必定ですが…
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