2月10日(金)RESONA MUSICA 第4回定期演奏会
J.S.Bach モテット全曲演奏会~
Motets!
日本福音ルーテル東京教会
【曲目】
1.「御霊は我らの弱きを救い給う」BWV226
2.「来たれ、イエスよ、来たれ」BWV229
3.「主を讃えよ、全ての異邦人よ」BWV230
4.「恐れるな、私はあなたと共にいる」BWV228
5.「イエス、わが喜びよ」BWV227
6.「主に向かい新しい歌を歌え」 BWV225
【演奏】RESONA MUSICA
SⅠ:高橋維、松本秋音/SⅡ:和泉万里子、中江早希
AⅠ:上島緑、吉成文乃/AⅡ:戸井田有希、中嶋俊晴
TⅠ:沼田臣矢、村元恒徳/TⅡ:佐々木洋平、富本泰成
BⅠ:新見準平、福永一博/BⅡ:渡辺祐介
VcⅠ:大澤久/VcⅡ:島根朋史/Org:新妻由加
去年の9月、瑞々しくて熱いブラームスを聴かせてくれたヴォーカルグループ"Resona Musica"が、その時の演奏会の最後で予告したバッハのモテット全曲演奏会を聴いた。メンバーはブラームスの時とはかなり違ったが、前回同様に鍛練された、艶と密度のある響きで、瑞々しい演奏を聴かせてくれた。
ゆっくりとしたテンポでは丁寧に響きを作り、例えば、「来たれ、イエスよ、来たれ」の冒頭など、香り立つ情感を湛え、魅惑的にさえ聴こえた。また、メリスマで動き回るテンポの速いところでも雑になることなく、各声部がかっちりと噛み合い、生き生きとした息遣いで進んで行き、ワクワクさせてくれた。最後に演奏した「主に向かい新しい歌を歌え」は、なかでも出色の出来栄えで、響きの良い礼拝堂に輝きを放っていた。また、「イエス、わが喜びよ」での切々とした訴えや、「恐れるな、私はあなたと共にいる」後半の、ソプラノのコラール定旋律の清らかな響きと、半音階で絡みある下声部の対比も印象深かった。
6曲のモテットの、それぞれに異なる音楽的な特徴もはっきりと表現されていたと思うが、その音楽と言葉の結びつきの深さ、という点では少々物足りなさも感じた。これは、絶対にもらえると当てにしていた歌詞対訳が配られなかったために、言葉をきちんと確かめながら聴くことができなかったことも大きな原因だが、それ以外にも理由があるように思った。
それはドイツ語の発音の明瞭さの問題というよりも(発音ははっきりしていたし、きれいだと思った)、言葉の意味をどこまで深く捉え、それを歌に乗せて表現し、ひいては音楽全体としてどんなメッセージを伝えたいか、という問題。どの言葉もきれいに発せられてはいるのだが、以前聴いたバッハコレギウムジャパンのモテット全曲演奏会で体験した、言葉に魂が宿り、それが、切々とした「祈り」や「訴え」、満ち足りた「「至福感」や「安らぎ」となって魂を震わせる感動を呼び覚ますまでには至らなかったのは、言葉への執着と共感というレベルで更に突きつめる余地があるのではとも思った。
J.S.Bach モテット全曲演奏会~
Motets!
日本福音ルーテル東京教会
【曲目】
1.「御霊は我らの弱きを救い給う」BWV226
2.「来たれ、イエスよ、来たれ」BWV229
3.「主を讃えよ、全ての異邦人よ」BWV230
4.「恐れるな、私はあなたと共にいる」BWV228
5.「イエス、わが喜びよ」BWV227
6.「主に向かい新しい歌を歌え」 BWV225
【演奏】RESONA MUSICA
SⅠ:高橋維、松本秋音/SⅡ:和泉万里子、中江早希
AⅠ:上島緑、吉成文乃/AⅡ:戸井田有希、中嶋俊晴
TⅠ:沼田臣矢、村元恒徳/TⅡ:佐々木洋平、富本泰成
BⅠ:新見準平、福永一博/BⅡ:渡辺祐介
VcⅠ:大澤久/VcⅡ:島根朋史/Org:新妻由加
去年の9月、瑞々しくて熱いブラームスを聴かせてくれたヴォーカルグループ"Resona Musica"が、その時の演奏会の最後で予告したバッハのモテット全曲演奏会を聴いた。メンバーはブラームスの時とはかなり違ったが、前回同様に鍛練された、艶と密度のある響きで、瑞々しい演奏を聴かせてくれた。
ゆっくりとしたテンポでは丁寧に響きを作り、例えば、「来たれ、イエスよ、来たれ」の冒頭など、香り立つ情感を湛え、魅惑的にさえ聴こえた。また、メリスマで動き回るテンポの速いところでも雑になることなく、各声部がかっちりと噛み合い、生き生きとした息遣いで進んで行き、ワクワクさせてくれた。最後に演奏した「主に向かい新しい歌を歌え」は、なかでも出色の出来栄えで、響きの良い礼拝堂に輝きを放っていた。また、「イエス、わが喜びよ」での切々とした訴えや、「恐れるな、私はあなたと共にいる」後半の、ソプラノのコラール定旋律の清らかな響きと、半音階で絡みある下声部の対比も印象深かった。
6曲のモテットの、それぞれに異なる音楽的な特徴もはっきりと表現されていたと思うが、その音楽と言葉の結びつきの深さ、という点では少々物足りなさも感じた。これは、絶対にもらえると当てにしていた歌詞対訳が配られなかったために、言葉をきちんと確かめながら聴くことができなかったことも大きな原因だが、それ以外にも理由があるように思った。
それはドイツ語の発音の明瞭さの問題というよりも(発音ははっきりしていたし、きれいだと思った)、言葉の意味をどこまで深く捉え、それを歌に乗せて表現し、ひいては音楽全体としてどんなメッセージを伝えたいか、という問題。どの言葉もきれいに発せられてはいるのだが、以前聴いたバッハコレギウムジャパンのモテット全曲演奏会で体験した、言葉に魂が宿り、それが、切々とした「祈り」や「訴え」、満ち足りた「「至福感」や「安らぎ」となって魂を震わせる感動を呼び覚ますまでには至らなかったのは、言葉への執着と共感というレベルで更に突きつめる余地があるのではとも思った。