7月26日(土)北爪道夫指揮 アンサンブル・オレイユ
~第20回定期演奏会~
東京オペラシティリサイタルホール
【曲目】
1.バルトーク/トランシルヴァニア舞曲
2.間宮芳生/コントルタンツNr.1「白峯かんこ」
3.リゲティ/ルーマニア協奏曲
4.リゲティ/メロディーエン
5.コダーイ/管弦楽のための協奏曲
1年に1度の定期演奏会を行っているアンサンブル・オレイユだが、今回は記念すべき20回目の定期演奏会となった。アマチュアのオケが明確なコンセプトのもと、20年間も定期演奏会を続けることはすごいことだと思うが、それは通過点に過ぎない、と言わんばかりに、どこにも「20回記念」と冠することなく、いつも通りに一味違ったプログラムで挑んできた。
今回の定期演奏会でオレイユが用意したのは東欧系の作曲家の作品。そこに邦人作品が一つ加わっているが、これは「東洋のバルトーク」とも称されることもある間宮芳生の曲ということで、クラシック音楽の中心から少し距離がある民族色のある作品、として括ることができそうだ。
最初のバルトーク、オレイユの演奏はフレッシュで拍節感が深く刻まれて明晰、それに、いつもはどちらかと言うとクールな演奏が多いこのオケから熱い吐息が伝わってきた。間宮の「白峯かんこ」もエネルギッシュ。勢いがあるだけでなく、密度の濃い艶やかなサウンドを聴かせる。ゆったりした中間部でのフルートとクラリネットの息の長い歌もとても味わい深く、全体から民族の熱い魂が迸り出ていた。北爪氏の指揮からも入魂の気合いが伝わってきた。
前半最後のリゲティは、冒頭で息の長いたっぷりした弦の熱い歌が聴こえてきて、本当にリゲティ?と思うような民族楽派のような音楽。全曲がメロディックでパルスと共振するリズムが冴えていた。その中で第4曲、ヴァイオリン・ソロとクラリネットが聴かせる繊細で動きの速い絡みなどからは音楽に純度の高さが感じられ、リゲティの洗練されたセンスが覗いていたが、こうした細やかなソロのやり取りでのオレイユのメンバーの腕前にはいつもながら惚れ惚れするし、だからこそ音楽の魅力が伝わってくる。
そんなオレイユの「巧さ」に改めて恐れ入ったのは、休憩を挟んで演奏されたもう一つのリゲティ作品。これは民族色とは別次元のいわゆる現代曲だが、オレイユの演奏では、全体がとても安定した呼吸に支えられ、透明で静謐な世界を見事に描き、熱い音楽が並ぶ今夜のプログラムの中で一種の清涼剤の役割を演出することに成功していた。ともすれば無難にこなすだけで終わってしまいそうなこうした音楽から、こうした明確な「空気」を引き出したのは指揮の北爪氏の力量によるところも大きいのだろう。
最後のコダーイでは再び熱い歌と躍動に溢れた充実した演奏を繰り広げた。全体で迫ってくる場面での力がみなぎるしなやかな演奏もいいし、ソロ楽器たちが聴かせるアンサンブルも、自然に呼吸を繋げ、歌に溢れていて素晴らしい。プログラムノートにこの曲は傑作なのに演奏される機会が少ない書かれていたが、これは確かにもっと演奏されていい面白い音楽だ。聴き終えたあともしばらく終曲のメロディーが頭に残っていた。
今夜のオレイユは心技体どれもが充実していて、上手さに感心するだけでなく、聴いていて感動したし、とても楽しむことができた。どこにも謳われてはいないが、記念すべき20回目の定期演奏会のご成功おめでとうございます。
アンサンブル・オレイユ 第19回定期演奏会~2013.7.27~
~第20回定期演奏会~
東京オペラシティリサイタルホール
【曲目】
1.バルトーク/トランシルヴァニア舞曲
2.間宮芳生/コントルタンツNr.1「白峯かんこ」
3.リゲティ/ルーマニア協奏曲
4.リゲティ/メロディーエン
5.コダーイ/管弦楽のための協奏曲
1年に1度の定期演奏会を行っているアンサンブル・オレイユだが、今回は記念すべき20回目の定期演奏会となった。アマチュアのオケが明確なコンセプトのもと、20年間も定期演奏会を続けることはすごいことだと思うが、それは通過点に過ぎない、と言わんばかりに、どこにも「20回記念」と冠することなく、いつも通りに一味違ったプログラムで挑んできた。
今回の定期演奏会でオレイユが用意したのは東欧系の作曲家の作品。そこに邦人作品が一つ加わっているが、これは「東洋のバルトーク」とも称されることもある間宮芳生の曲ということで、クラシック音楽の中心から少し距離がある民族色のある作品、として括ることができそうだ。
最初のバルトーク、オレイユの演奏はフレッシュで拍節感が深く刻まれて明晰、それに、いつもはどちらかと言うとクールな演奏が多いこのオケから熱い吐息が伝わってきた。間宮の「白峯かんこ」もエネルギッシュ。勢いがあるだけでなく、密度の濃い艶やかなサウンドを聴かせる。ゆったりした中間部でのフルートとクラリネットの息の長い歌もとても味わい深く、全体から民族の熱い魂が迸り出ていた。北爪氏の指揮からも入魂の気合いが伝わってきた。
前半最後のリゲティは、冒頭で息の長いたっぷりした弦の熱い歌が聴こえてきて、本当にリゲティ?と思うような民族楽派のような音楽。全曲がメロディックでパルスと共振するリズムが冴えていた。その中で第4曲、ヴァイオリン・ソロとクラリネットが聴かせる繊細で動きの速い絡みなどからは音楽に純度の高さが感じられ、リゲティの洗練されたセンスが覗いていたが、こうした細やかなソロのやり取りでのオレイユのメンバーの腕前にはいつもながら惚れ惚れするし、だからこそ音楽の魅力が伝わってくる。
そんなオレイユの「巧さ」に改めて恐れ入ったのは、休憩を挟んで演奏されたもう一つのリゲティ作品。これは民族色とは別次元のいわゆる現代曲だが、オレイユの演奏では、全体がとても安定した呼吸に支えられ、透明で静謐な世界を見事に描き、熱い音楽が並ぶ今夜のプログラムの中で一種の清涼剤の役割を演出することに成功していた。ともすれば無難にこなすだけで終わってしまいそうなこうした音楽から、こうした明確な「空気」を引き出したのは指揮の北爪氏の力量によるところも大きいのだろう。
最後のコダーイでは再び熱い歌と躍動に溢れた充実した演奏を繰り広げた。全体で迫ってくる場面での力がみなぎるしなやかな演奏もいいし、ソロ楽器たちが聴かせるアンサンブルも、自然に呼吸を繋げ、歌に溢れていて素晴らしい。プログラムノートにこの曲は傑作なのに演奏される機会が少ない書かれていたが、これは確かにもっと演奏されていい面白い音楽だ。聴き終えたあともしばらく終曲のメロディーが頭に残っていた。
今夜のオレイユは心技体どれもが充実していて、上手さに感心するだけでなく、聴いていて感動したし、とても楽しむことができた。どこにも謳われてはいないが、記念すべき20回目の定期演奏会のご成功おめでとうございます。
アンサンブル・オレイユ 第19回定期演奏会~2013.7.27~