6月29日(土)斎藤千枝(S)/ 三浦広彦(Pf)
アミューズ豊田ゆやホール
【曲目】
♪ ヘンデル/歌劇「リナルド」~涙の流れるままに
♪ バッハ/イギリス組曲第2番 BWV807~サラバンド
♪ ヘンデル/オンブラ・マイ・フ
♪ プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」~ハミングコーラス
♪ プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」~私のお父さん
♪ レオンカヴァルロ/歌劇「道化師」~間奏曲
♪ レオンカヴァルロ/朝の歌
♪ ♪ ♪ ♪ カーリ/シチリアの朝の歌
♪ ファルヴォ/彼女に告げて
♪ モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」~恋とはどんなものかしら
♪ (イタリアの人気大衆歌謡)
♪ トスティ/祈り
♪ トスティ/漁夫は歌う
【アンコール】
♪ フォスター/夢路より
♪ 愛の讃歌
同じ大学の合唱部だった後輩からリサイタルの案内をもらい、磐田まで駆けつけた。ソプラノ歌手の斎藤千枝さんは子供の頃からとにかく歌うことが好きだったそうで、合唱の経験を経てソロの勉強を12年間続け、リサイタルを開催する運びとなった。プログラムには、三浦さんのピアノソロと交互に組まれた幅広い時代に渡るオペラのアリア中心の多彩な曲目が並んだ。
千枝さんが最初に歌ったヘンデルの「涙の流れるままに」は、澄んだ美しい声による安定した歌唱で、過酷な運命を前にした底知れぬ寂寥感を穏やかに丁寧に伝えた。この曲に限らず、千枝さんの歌は清澄で伸びやかな声と、それを長い息で的確にコントロールする感情表現が聴き手の心を優しく捉える。淡い色の衣装から真っ赤な衣装に着替えて歌ったプッチーニやレオンカヴァルロの歌では艶やかな色香も加わり、歌が一層映えた。
リサイタル後半で最初に歌ったモーツァルトでは、ズボン役のケルビーノにちなんだ衣装で、快活な動きも交えて多感な少年の熱い恋心を歌い上げ、3度目の衣装替えで登場して歌ったトスティの歌曲では端正な歌唱のなかに熱い思いが溢れ、「漁夫は歌う」で憧れをこめて歌う”il pescatore canta!”のフレーズがパッと明るく花開き、聴き手を幸せ気分にしてくれた。満員の客席からの大きな拍手とたくさんのブラーヴァに応えて歌ってくれたアンコールでは、それまでのイタリア語からスイッチした日本語が自然に届き、千枝さんの歌への愛がじんわりと伝わった。
このリサイタルは、ピアニストの三浦広彦さんが二人三脚とも云える大切な役割を担っていた。伴奏では影のようにぴったりと歌に寄り添い、歌心を滲ませ、穏やかなサポート役を果たし、ソロでは端正なバッハから、ちょっと斜に構えて心をくすぐるイタリアの大衆歌まで多彩なレパートリーを披露。伴奏でもソロでも共通するのは温かさや優しさ。ドラマチックに盛り上がる場面ではもっとガンガン弾いても千枝さんの声を消すことはないなど思うこともあったが、歌を大切にする優しさが千枝さんのデリケートな歌を引き立てた。作品が生まれた時代を日本の歴史に照らして説明したり、作曲家の意外なエピソードを紹介したりするMCも楽しくてためになった。
リサイタルでは素敵な歌が聴けるとは思っていたが、予想を更に上回る立派な歌唱を最後まで聴かせ、衣装など目でも楽しませてくれた。斎藤千枝さんの活躍に益々期待したい。
せっかく磐田まで来たので、浜松で鰻を食べたり、焼津の温泉宿に泊まったりして、ビフォー&アフターコンサートも満喫できた。千枝ちゃん、ありがとう。
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同じ大学の合唱部だった後輩からリサイタルの案内をもらい、磐田まで駆けつけた。ソプラノ歌手の斎藤千枝さんは子供の頃からとにかく歌うことが好きだったそうで、合唱の経験を経てソロの勉強を12年間続け、リサイタルを開催する運びとなった。プログラムには、三浦さんのピアノソロと交互に組まれた幅広い時代に渡るオペラのアリア中心の多彩な曲目が並んだ。
千枝さんが最初に歌ったヘンデルの「涙の流れるままに」は、澄んだ美しい声による安定した歌唱で、過酷な運命を前にした底知れぬ寂寥感を穏やかに丁寧に伝えた。この曲に限らず、千枝さんの歌は清澄で伸びやかな声と、それを長い息で的確にコントロールする感情表現が聴き手の心を優しく捉える。淡い色の衣装から真っ赤な衣装に着替えて歌ったプッチーニやレオンカヴァルロの歌では艶やかな色香も加わり、歌が一層映えた。
リサイタル後半で最初に歌ったモーツァルトでは、ズボン役のケルビーノにちなんだ衣装で、快活な動きも交えて多感な少年の熱い恋心を歌い上げ、3度目の衣装替えで登場して歌ったトスティの歌曲では端正な歌唱のなかに熱い思いが溢れ、「漁夫は歌う」で憧れをこめて歌う”il pescatore canta!”のフレーズがパッと明るく花開き、聴き手を幸せ気分にしてくれた。満員の客席からの大きな拍手とたくさんのブラーヴァに応えて歌ってくれたアンコールでは、それまでのイタリア語からスイッチした日本語が自然に届き、千枝さんの歌への愛がじんわりと伝わった。
このリサイタルは、ピアニストの三浦広彦さんが二人三脚とも云える大切な役割を担っていた。伴奏では影のようにぴったりと歌に寄り添い、歌心を滲ませ、穏やかなサポート役を果たし、ソロでは端正なバッハから、ちょっと斜に構えて心をくすぐるイタリアの大衆歌まで多彩なレパートリーを披露。伴奏でもソロでも共通するのは温かさや優しさ。ドラマチックに盛り上がる場面ではもっとガンガン弾いても千枝さんの声を消すことはないなど思うこともあったが、歌を大切にする優しさが千枝さんのデリケートな歌を引き立てた。作品が生まれた時代を日本の歴史に照らして説明したり、作曲家の意外なエピソードを紹介したりするMCも楽しくてためになった。
リサイタルでは素敵な歌が聴けるとは思っていたが、予想を更に上回る立派な歌唱を最後まで聴かせ、衣装など目でも楽しませてくれた。斎藤千枝さんの活躍に益々期待したい。
せっかく磐田まで来たので、浜松で鰻を食べたり、焼津の温泉宿に泊まったりして、ビフォー&アフターコンサートも満喫できた。千枝ちゃん、ありがとう。
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