facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

岩城宏之さん お別れの会

2006年07月19日 | pocknと音楽を語ろう!
 2006年7月18日(火)

先月の13日に亡くなった岩城宏之さんの「お別れの会」がサントリーホール小ホールで執り行われた。新聞の誤報で先月の18日に出かけてしまって肩透かしを食った手前、平日ではあったが何としても参列しようと思い、仕事は半休を取って出かけた。思えばこうした会に参列するのは、武満さんの「お別れの会」以来だ。

私は30分程前に会場についてホールの座席に座れたが、ホールに入りきれずロビーのフロアや階段で2時間にも及ぶ「お別れの会」を見守る人達も大勢いた。岩城さんの音楽や著作や人柄がいかに幅広い人達に愛されていたかを物語っているようだった。

白から赤紫へとグラデーションの色合いの花がびっしりと飾られた祭壇の中央に岩城さんの会心の表情の写真が引き立っていた。その遺影に岩城さんと親交の深かった人達や、岩城さんが関係した機関のお偉い方々が「お別れの辞」を送った。

「今でも夜中や明け方に君から突然電話がかかってくるような気がする」と結んだ外山雄三さんの言葉や、「これでお別れです。さようなら。」というそっけない呼びかけが妙に心に響いた林光さんの言葉など、岩城さんと長年直接親しく交わっていた方々の言葉は、いろいろな気持ちがにじみ出てくるようでしみじみと聞き入ってしまう。日本芸術院長の三浦朱門さんの言葉を代読した伊藤京子さんが、代読を終えた後に「野球に打ち興じている姿が今でも目に焼き付いています」と個人的に岩城さんに呼びかけた言葉も印象深かった。

献奏されたベートーヴェンの第8交響曲は岩城さんが最も好んでいた曲とのこと。これを演奏したのが外山さん指揮のN響、オーケストラ・アンサンブル金沢、京響、札幌響などの有志メンバーというのも、いかに岩城さんが日本の多くのオケと良い仕事を重ねてきたかを証明している。この元気の良い交響曲が献奏され、岩城さんも喜んで聴いている気がしたが、とりわけ1楽章や4楽章の展開部などにはいつも以上に「葛藤」のような厳しさが感じられた。祭壇に白いカーネーションを献花しているうちに第8の演奏が終わり、それでも献花はまだまだ続いた。

献花を済ませると帰る人達も多かったが、私は最後までこの場を離れられなかった。何人もの人たちがお別れの言葉を送り、そして今、本当に大勢の人達が次々と花を捧げているこの祭壇に本当に岩城さんがいるような気がして、きっとこんなに岩城さんを近く感じられるようなときはもう二度とないだろうな、と思ったから。

この会に参列できたことで、岩城さんの存在が今の自分の中で益々大きな部分を占めるようになった気がする。とても良い会だったと思う。

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