こんにちは。数日前、National Taiwan Symphony Orchestra (通称NTSO)という国立の交響楽団と海外のソリスト、合唱団、それから台中の小学校の合唱団が共演するベルリオーズ作曲「ファウスト」を鑑賞してきました。
写真は開演19:30の二十分前くらいに撮りました。
オペラそのものはすっごくよかったです。ほんと、このチケット代で、プロのレベルの音楽。しかもオペラですもんね。
スクリーンに中国語で歌詞が出ていたのでわかる人にはわかりやすいものの・・・英訳はなし。それがちょっと残念だった。あと30元のパンフレット(節目表)も買いましたが、やはりプログラムには一つ一つの歌や歌詞などはありませんでしたね・・・。
出演者の説明は英語もあり、助かりました。やっぱりテノール歌手(ファウスト役)のフェルナンド・ワンさんはすごかった・・・やっぱりすごい経歴でした。あと、メフィスト役のどちらのご出身かわからないですが欧米のバスの声の人もよかったです。
あ・・でも女性歌手のマルガリータ役の方は実は後半私はあまり音楽に集中できなかったので、なんともいえない・・(これは後半で書きます。原因は観客のマナーが悪くてちょっと腹が立ってしまったのが原因です。)けっこうイライラしながら見てしまいました。周りがうるさくて。すいません、のっけからネガティブな内容になってますね。
***当日の経緯
ファウストという作品はお調べいただければわかることですが、もともとゲーテが書いた文学です。私は読んだことはなく、話の内容もあまり知りませんでしたが、昔、フランツ・リストの作曲した交響曲である「ファウスト」を好んで聞いていたことがあります。リストの交響曲ファウストはそれほど有名ではなく、今回鑑賞した、ベルリオーズ作曲のオペラ「ファウスト」のほうが有名ですね。
前半部にマーチのようなリズムで有名な一曲があります。あ、聞いたことあるって感じです。
当日たまたま仕事が終わる直前に今日の夜なにかコンサートを聴きに行きたい・・と思い、サーチしてたら、見つけたんです。チケット300元からあり、空席もけっこうありました。オペラは普通高いんじゃないかな・・
しかもNTSOは台中の霧峰にあるホールを拠点にしている楽団(公務員です)で私も知っています。台中で、たぶん、3,4回そのコンサートに行ったこともあり、そして国家音楽廳は権威あるホールですし、だいたい優秀な音楽家が招かれる(と勝手に私は判断してます)ので、聴きに行って見ました。
***ファウスト関連、感想と考察
今回のオペラはフランス語でした。
文学の内容が内容なので、少し狂気じみてるメロディーやサウンド(妖精が出てくる音楽がちょっと狂気じみてると思いました。高音域でちらちら飛んでるイメージでしょうね。)とか、メフィスト(悪魔)なので、少しふざけたメロディー・リズムってのもありました。
そうそう、メフィスト役が出てくるところ、ちょろっと出てくる感じで、歌手もなりきってました。
ファウスト(主人公。博士。)が恋をするマルガリータという美しい女性がいるのですが、彼女を残してファウストは錬金術の実験中に爆発で死ぬみたいですね。(悲惨な死、とされてますが、私からみると、そうかな?とも思います。死そのものは確かに悲惨ですけど・・・)
圧巻の部分は、合唱が合わさり、ファウストが地獄におちる場面で、メフィストが勝利に喜ぶところでもあります。・・・私、いい年した大人なんですけど、怖かった。もし子どもだったら泣きます。(笑)
歌詞はこんな感じでしたかね・・・・ここはどこだ・・・何かが追いかけてくる・・・血の雨が降ってくる・・地獄に堕ちる・・AHHH!という叫び。
やはりフェルナンド・ワンさんがなり切って歌っているし、迫力があるので・・・。とくに、その叫びが私の心に突き刺さりましたね・・AHHH!というとこ。地獄へ堕ちるものの叫び・・悲痛な叫びですね・・・ああかわいそう・・気の毒。永遠の責め苦にあわなければならない。
あと「血の雨」という表現が怖いですね。それは誰の血か?って、拷問を受けている罪人の血ですよね。(色々考えて想像するタイプ←自分)
でもファウストの欲望、美しいマルガリータを手に入れたい、錬金術を会得したい・・・などは私たち人間共通のものでしょう。ファウスト博士だけが罪人、あわれな堕落した人間というわけではないと思うものの、当時の人々は本気で(今の時代でも)やはり悪魔の存在を信じているわけで、堕落への恐怖があったんでしょうね。「悪魔と契約」してしまうと、悪魔の思うつぼ、悪魔の勝利、喜びになってしまうわけですね。
キリスト教世界での神と悪魔の対立や人間の立ち位置というか、そういう思想や考えなどがオペラからよく伝わって来ました。・・芸術の中にもし実用的価値を見出すとすると、やはり、見る人の感覚に直接的に訴えてくる能力ですね。
私も悪魔は怖い。人が苦しんだり狂ったり恐怖するのを見て「笑う様子」が怖いですね。
・・・日本の思想でいえば悪霊とか怨霊とかありますけど、それらは人の恨みであり、もともと人間でした。人間くささがありますかね。悪魔は何か神の対立概念で漆黒で異形、人間の力はあまりに弱くどうにもならないというイメージ。悪霊は聖職者がなんとか祈祷して成仏せしめることができる(?)ものの、悪魔って何か、この世の根源からあるものですかね。アダムとイブの話で、イブをそそのかすヘビも悪魔なのかな?
***全然関係ない話。学生時代の誰かが猫に「メフィスト」という名前をつけて飼ってたら、ほんとにメフィストみたいな猫になった。・・ってどんな猫・・・
***魔女狩りも思い出しました。それと、中世の宗教裁判など。地動説を唱えて死刑になった科学者、ジャンヌ・ダルク、など祈りながら殺される当時の絵なんか、そのオペラを見た晩に思い出したりしちゃいました。(けっこう私繊細でまあ心配性な性格なんですけど)
そして「魔女狩り」からの考察。人の恐怖心が実は一番怖い代物だと思いませんか。恐怖心によって攻撃に駆り立てられた人間が一番怖いケース。中世では魔女を恐れる群衆。昭和の時代に在日韓国人が冤罪で捕まったり疑われたり。
アフリカのある民族の虐殺事件ですが、ラジオ放送によってある少数民族に悪魔が宿っていると流れ、住民たちに多く殺された事件がありました。テロ事件のあとは、イスラム教徒への怖さなどもあるんじゃないかな。
***
そして、その迫力ある地獄行きのシーンのあと、平和なシーンになります。天使たち(子どもたちの歌声。白い服の子どもたちが両脇のステージから歌いながら出てきました。台中の小学校の合唱団らしい。)の歌です。
これを聞くと、ほっとした。そして終幕。
・・・ハリウッド映画でも地獄から天国を見るシーンってありますよね。ジュラシックパークで恐怖を経験したあと現れる救助隊のシーンとかね。私にはそんな気分でした。
***マナーの悪さ関連:怒がこもった文かもしれない
○最初の曲が終わった後入ってきた客の足跡が全然配慮がなく、うるさかった・・・(その間、指揮者は次の曲に入らず、背中を我々に向けていたものの、待っていた)
○携帯着信音がこれも、静かなときになった。ラインの着信音も数回私の席の周りで聞いた。
○幼児の鳴き声がした(これはしょうがないにせよ、幼い子どもはルール上親と一緒ならOKらしい。これはびっくり。でも私にはおかしいと思える。未就学児は他の国ではそもそも入れない。)
・・・・・・・休憩挟んでから後半、だんだん私は我慢ならなくなりました。
後ろでおしゃべりしてた二人(50代以上女性)・隣で足をパタパタさせたり、ひざや腕などを掻いたりして落ち着かず音を立てる50代以上女性・○一席隔てたこれも50代女性なのですが、堂々とラインをしていて、携帯の光がまず気になる。それからラインしながらくすくす笑っている・・
私も小さい頃母とコンサートに行ったことがありますが(小学生のとき)、ちょっとプログラムの紙を触って音が出ただけで注意されましたよ。なのにこの周りのおばさんたちのうるささは最悪だな・・と思い、そして・・・
まず、私は後ろを振り返って、すると後ろ二人はおしゃべりをやめました。隣の音を立てる落ち着きのないおばさんにもついに「すいません、やめてください、その音。(その腕とかひざとかカサカサと掻き続ける音)」と注意しました。いやーな顔しながらやめてはくれましたが・・・ついでにラインしているおばさんにも注意したかったのですが、一席隔てている(その席の人もおばさんで寝ている)ので断念。そのうちやめるだろう、と放っておきました。
*** 私自身もクラシック音楽をやるので、わかるのですが、クラシック奏者の練習時間、鍛錬の時間と努力は並大抵のものではないです。小さいころから遊びやテレビなどを犠牲にして、汗と涙を流して毎日努力した賜物なんですよ。
だから、音楽家たちには敬意をもって聴いているのですが。
休憩を挟んだ後半は、周囲の観客のマナーがいっそう悪くなりまして・・
****私の個人的感覚ですが・・・コンサートに限らず日常生活で、年配者のマナーは若い人より悪いと感じる。
今回も私の回りの席でのマナー違反勃発ですが、それは全て、年配の女性でした。私が少なくとも感じるのは、マナーが悪いとか他人に配慮がないのは年配の人(50後半から60以上)に思える。日常生活でもバスなど満員の状況で他の人を手で払いのけたり押したり、大きい声で話したり、他人のスマホを覗き込んだり・・
あと人をじろじろ見たりですね(たぶん、なにじん?と思ってみてるのだと思います)そういうのはだいたい年配ですね・・・でも文化や育った時代環境が違うので、しょうがないんですけど・・・
おばあさんの声がだいたい毎朝、家の外から聞こえます。でも、慣れると特に気にもしないですけど、深夜12じから1時までの間に大々的におばあさんの怒声がずっと聞こえていたのは、ちょっと大丈夫ですか?と思いました。
実はついでにいうと、こちらの習慣で、マナーの悪さではないものの、やっぱり嫌だなって思うのはあります。長く住んでいてもね。
・・・風水を気にしすぎたり、誕生日とか顔とか、お金あるかどうかとかで判断するところもいやかな(汗)。
会社で人を採用するときも、占いで採用してるパターンも実際にあります。星占いや風水や四柱推命ですね。そういうのは不公平だとやっぱり思うんですけど、世の中考えは色々で、現実はこれですから。
初対面でも「どこの会社」とか聞きますし、「一人で住んでいるのか?結婚して家族と?」とか怖いですね。「給料いくら?」も普通の質問なんですけど、やっぱり、嫌です。中国語がわからないふりしたら、「マニー、マニー」といったり。でも若い人はそういう質問はお互いにしません。もちろん、彼ら自身がそれを言いたくないから、ってのもあります。
ただ、この中には現代社会の価値観でいえば、マナー違反も含まれてはいると思います。こっちの基準でも、たとえば、あまり個人情報を聞くのはマナー違反だと思いますよ。(たぶん)そうなりつつあると思います。10年、20年前よりは。
***私が今まで聞いた楽団など
NTSOは国立の交響楽団なので、団員は台湾籍で公務員。チケットも安いと思います。チケット代はけっこう安いので、おススメではあります。大学生や高校生も入りやすい値段です。気軽に聞けるいい機会だと思います。
私も仕事が終わる十分前くらいに、何かないかなと探して、当日で入れたのはラッキーですね。特にこういう質的には高いコンサートとそれほど変わらないと思います。
台北に住んでいるとコンサートが多いし、移動費も移動時間もかからないのでいいと利点を発見。都市部の利点ですね。
あと、今年の一月に五嶋みどりと共演した、台湾弦楽団も私は好きです。
とまあ、コンサートリポートでした。