#田辺聖子作 新着一覧
94番、参議雅経
<み吉野の 山の秋風 さ夜ふけてふるさと寒く 衣うつなり>(吉野の山の 秋風よふけゆく夜の 静寂に砧の音が寒々ときこえる旧都のこの地にもの思えというがごとく・・・)
93番、鎌倉右大臣
<世の中は 常にもがもな 渚こぐあまの小舟の 綱手かなしも>(世の中は無常 つねに変わ...
92番、二条院讃岐
<わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の人こそ知らね 乾くまもなし>(わたしの袖はたとえれば...
91番、後京極摂政前太政大臣
<きりぎりす なくや霜夜の さむしろに衣かたしき 独りかも寝む>(こおろぎが鳴いている...
90番、殷富門院大輔
<見せばやな 雄島のあまの 袖だにも濡れにぞ濡れし 色はかはらず>(見せたいわ あのひ...
89番、式子内親王
<玉の緒よ 絶えねば絶えね ながらへば忍ぶることの 弱りもぞする>(わが命よ絶えるなら...
88番、皇嘉門院別当
<難波江の 芦のかりねの ひとよゆえみをつくしてや 恋ひわたるべき>(難波の海辺のあの...
87番、寂蓮法師
<むらさめの 露もまだひぬ まきの葉に霧たちのぼる 秋の夕ぐれ>(村雨が通りすぎたあと...
86番、西行法師
<なげけとて 月やはものを 思はするかこち顔なる わが涙かな>(月が私に物思いさせると...
85番、俊恵法師
<夜もすがら もの思ふころは 明けやらで閨(ねや)のひまさへ つれなかりけり>(冷たい...
84番、藤原清輔朝臣
<ながらへば またこのごろや しのばれむ憂しと見し世ぞ いまは恋しき>(生きながらえて...