旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

風を感じて! 白亜の蒸留所とZと八ヶ岳高原ライン

2024-12-01 | 単車でGO!

楓が真っ赤に色付いて、赤岳(2,899m)から吹き下ろしてくる風が冷たい。
八ヶ岳高原ラインを駆け上がって、まきば牧場までやって来た。谷の向こうには清泉寮が見える。

急に山が見たくなった。10時を回ってから中央フリーウェイに飛び乗る。
澄んだ秋の空だから、富士、甲斐駒、八ヶ岳はその秀麗な姿を見せてくれるだろうか。

韮崎ICを降りたらR20を信州方面に向かう。10年ほど前に甲州道中を歩いたのがなつかしい。
見覚えのある火の見櫓から右手に旧道を入ればそこは台ヶ原宿。
閑静な集落の中に “七賢” の山梨銘醸と “信玄餅” の金精軒が在って、そこだけ賑わいがある。

ロッジ風の建物は、七賢が直営するレストラン臺眠(だいみん)がある。
ここでは「発酵」の技を活かした酒蔵の伝統料理を味わうことができる。

択んだのは “甲州豚の塩糀づけ焼き”、七賢塩糀で漬け込んだ富士桜ポークが美味しい。
これに “麦ご飯” と “とろろ” がよく合う。田舎汁が泣かせるね。

ここからZで10分、南アルプスの麓に抱かれて白州蒸留所がある。
どうやらリニューアルしたばかりの白亜の蒸留所は完全予約制に変わっていて、今回は入場が適わなかった。

ところで白州からの八ヶ岳は美しい。
もう時計は15時を回っているんだけど、この山容にもう少し近づきたくなる。

無茶を承知で小淵沢ICを通過、右に左にZを倒し込んで八ヶ岳高原ラインのワインディングを駆け上がる。
徐々にシルエットに変わっていく八ヶ岳連峰と眼下に見渡す色付き始めた高原がキレイだ。

さてと震えて帰るか、山裾を下っていく赤や黄と競うように麓のICを目指してZを走らせるのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
悲しきダイアモンド・リング / 稲垣潤一 1984


津々浦々酒場探訪 旬菜料理でんご@浦和

2024-11-27 | 津々浦々酒場探訪

立ち飲み「ひとりあじ」から、REDSファンの集まる「力」に、吉田類も運んだ「弁慶」と、
裏門通りには点々と個性的な居酒屋がある。がっ呑み人のお勧めは、少し落ち着いて「でんご」かな。

今宵はめずらしく生ビールをパスして、白神山地の蔵 “山本 サンセットオレンジ” からはじめる。
日本海の沈むオレンジ色の夕陽をイメージした純米吟醸は、美山錦と6号酵母で醸した穏やかで爽やかな香りだ。

おすすめ一品から “カニ玉 田中農場さんの宝玉” を択ぶ。
サンセットオレンジに負けないくらいの橙と濃厚な味が、とろぉりカニ肉を包んで美味しい。

白河の “楽器政宗” に代わって、紫のラベルは雄町で仕込んだ純米吟醸、甘やかな香りで濃醇な旨味の酒だ。
アテに択んだ “さつま芋天ぷら” は、上品に甘やかで 、これは案外いいマリアージュ。

ここの店でお気に入りのアテは “ねぎ豚ポン酢”、豚バラ肉の唐揚げを青ネギとポン酢でさっぱりと美味しい。
“仙禽 あかとんぼ無ろ過原酒” は氏家の酒、甘酸っぱい香りで芳醇な味わいの食中酒、秋のひやおろしだ。

かつて東北本線・奥羽本線を経由した寝台列車が上野から青森まで走った。
秋田、福島、栃木と居酒屋のカウンターで擬似的に呑み鉄して、浦和を通過するのは明朝06:00頃かな。
ご馳走さまでした。

<40年前に街で流れたJ-POP>
泣かないで / 舘ひろし 1984


冠雪の富士と竜宮城と生・釜揚げしらす丼と 小田急江ノ島線を完乗!

2024-11-23 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

精悍なマスクの新鋭5000形が堂々の10連をくねらせて、相模大野駅の1番ホームに入ってきた。
放射冷却で冷えた朝は真っ青な空が広がっている。湘南海岸からはたぶん雪を被った富士が見れそうだ。

江ノ島線の起点は相模大野、ここで本線と分岐して、湘南の中核都市・藤沢そして片瀬江ノ島を結ぶ。
station SQUARE の吹き抜けには、すでに巨大なX'masツリーが登場して、華やいだ雰囲気だ。

相模野台地大地を貫く江ノ島線は、気持ちが良いほど直線が続く。
最後尾車両で後方を眺めていると、遥か遠くに後続列車の前照灯がチカチカと煌めいている。
その正体は 特急えのしま91号、さしもの快速急行もとうとう大和駅で捕まった。
フェルメール・ブルーの
MSE60000形は、ホーンの音色も軽やかに、先行列車を抜き去って行く。

一転追う立場になった5000形だが、大和駅を出発する頃には、すでにロマンスカーの背中は見えない。
快速を飛ばした快速急行は、やがて大きく減速するや、左に急カーブを切って東海道本線をオーバークロスする。

藤沢駅はスイッチバック構造になっていて、行手は車止めで遮られている。
したがって駅名表示板には、向かって左側に上下線の次駅が、並んで示されているのだ。

片瀬江ノ島までのラストランナーは、クリーム色にブルーをひいた8000形の6両編成。
1983年から走り始めた形式だから、ボクの世代にはしっくりくる小田急電車なのだ。

これに乗ってしまえば潮の香りまではあと15分。クリーム色の6両編成は居合わせた乗客を竜宮城へと誘う。

午前の眩しい陽を受けて江の島大橋を渡る。
濃紺の相模湾にセイルが滑り、白いクルーザーが遊ぶ。
そして童謡そのまま、雲の上に望む富士が、うっすらと雪化粧して神々しい。

賑わう参道を抜けて、鮮やかな朱の鳥居が見えてきた。宗像三女神といって三姉妹の女神様を祀る江島神社だ。
長い階段を登って先ずは辺津宮、田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)を祀る。
八角のお堂・奉安殿には妙音弁財天が安置されている。琵琶を抱えた真っ白な裸体が眩しい。

続く中津宮は朱色の社殿、市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)をお祀りする。

島のピークまで登り詰めると、青空に白い江の島シーキャンドルが映える。
この辺りには茶屋が並んでいるから、混んでくる前に今日の一杯と行きたい。

イカの塩辛をアテに生ビール。ここは “The Premium Malts”、富士を眺めながらの一杯だ。

そしてお待ちかねの “生・釜揚げしらす丼” が着丼、江ノ島まで運んだ目的がこれだ。
生姜を醤油に溶いて、丁寧に慎重に  “生しらす” の上に垂らす。喉が鳴るね。
先ずは “生” をビールのアテにいただく。微妙な苦味がいい。
ビールを終えたら、今度は生姜醤油を大胆に “釜揚げしらす” にかける。
レンゲで運ぶと、海の香りとほんのり甘みが口の中に広がる。美味しい。

満腹を抱えて最後に奥津宮、多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)を参る。
社殿の隣には新しく “龍宮” が建てらた。弁財天である天女と結ばれた龍神が災いから村々を守る伝説に依る。

お昼を迎えて片瀬江ノ島駅は、外国人旅行客や若いカップルで賑わっている。
混雑を見込んで朝活を決めた呑み人は、すでに一杯を楽しんで、江ノ島線の旅を終えるのだ。

小田急電鉄 江ノ島線 相模大野〜片瀬江ノ島 27.6km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
ミス・ブランニュー・デイ / サザンオールスターズ 1984


Biz-Lunch 月見そばとカレー南蛮と ぎんねこ@浦和

2024-11-20 | Biz-Lunch60分1本勝負

急に寒くなったこの頃、10月には “冷やしたぬき” とか “冷やし中華” とか食べていたのに。
たしか先週は “月見そば” をいただいた。暖かいのが恋しい季節になりましたね。
昔ながらの一杯は、海苔にワカメにほうれん草、それにナルトをのせている。
ちょっと濃いめのつゆで楽しんだら、半ばで玉子を割ってマイルドに味変、最後まで美味しい。

さらに今年一番の冷え込みになったきょう、とうとう “カレー南蛮” をいただく。
お出汁の効いた蕎麦屋のカレー、なんでこんなに美味いのだろう。うっすら汗を浮かべてもこの一杯がいい。
そばを啜り終えたら(よせば良いのに)半ライスを追加、丼にそっくり投入して一粒で二度美味しい。

最近は週に一回ほど、浦和の街でランチを食べる機会がある。
モルタルの壁に立体的なサインの老舗は、呑み人が気に入っているお店のひとつだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
十戒 / 中森明菜 1984 1984


風を感じて! 九十九里ビーチラインとZとオーシャン・ブルー

2024-10-12 | 単車でGO!

水揚げが終わって、静けさを取り戻した漁港には、釣り人が糸を垂れている。
少しだけ早起きをした連休のある日、美味いモノを食べようと遠出をする気になった。

っで、東金九十九里有料道路を海に向かっている。もう少し走れば潮の香りがして来そうだ。
zの丸みのあるタンクに、秋の深い青空と、夏の名残りの強い日差しが映り込んでいる。

海に出る前に、成東の浪切不動院に寄ろうと、台方ICで車体を左に倒し込んだ。
山門と本堂、緑に映えるその鮮やかな朱色にzが溶け込んで見える。

聖武天皇の御代、行基が難破船の海難除けとして、波を切る巌の上に不動尊像を刻んだものだと云う。
海岸線はかなり後退したけれど、不動明王は成東の町並みを一望し、その先の大海原を見つめている。

浪切不動院から海岸線までは約8キロ、はるかに太平洋が広がる。
片貝海岸では波に戯れる恋人たちがシルエットになって、ボクにはずいぶん前の想い出だけが残る。

振り返ると、いわし料理やらだんご汁の幟がはためいて、呑み人を誘う。
「まるに」は九十九里浜を一望して、浜焼きが楽しめる食事処だ。

鮮やかな赤身、舌の上で中トロがとろけて “まぐろ刺し” が美味しい。
なんとなく注文してしまうのがノンアル、まぁ気分の問題なのだ。

大ぶりな6尾を盛り付けて “いわしフライ” が登場、茶碗蒸しと2つの小鉢を従えて、食べ切れるだろうか。
小鉢の煮豆とイワシの酢漬けは泣かせる。この際冷えた酒を升に溢してもらいたくなる。
それにしても特製ソースと和辛子を少々付けて、揚げたてのイワシが美味しい。

午後は潮風を浴びながら、九十九里有料道路で緩やかな弧を描く。爽快そのものなのだ。
どこまでも走りたい海岸線だけど、とりあえず九十九里の南端、太東岬まで行ってみよう。

R128を左に折れて、リアス式の海岸崖を駆け上ると、突然、白亜の太東埼灯台が屹立する。
海抜58mから望む太平洋は、水平線に向かって「青」がグラデーションするオーシャンブルー。キレイだ。

遥かに弧を描いている九十九里を目に焼き付けたら、街に向かって北へ走ろう。
ようやくzと走るいい季節がやってきた。次の週末、風を感じてどこまで行こうか。

<40年前に街で流れたJ-POP>
オーシャン・ブルー / 稲垣潤一 1984


酒と肴と男と女 たく庵@四谷三丁目

2024-09-07 | 日記・エッセイ・コラム

一杯の生ビールを呷ったら、手書きの品書きから大好きな “花垣” を択ぶ。
はじめましての一杯は、福井県産の酒造好適米「九頭竜」を醸した純米無濾過生原酒だ。
シャープでスッキリな純米酒は、ほんのり甘い “だし巻き玉子” をアテに美味い。

荒木町で落ち合う大人の時間は、この日ばかりは新宿通りを渡らずに、四谷三丁目の地下に消える。
隠れ家のような店は、スマホのマップでも開かなければ、その穴蔵は見つからないのだ。

仄暗い隠れ家には7席ばかりのカウンターが延びて、趣味のいい陶器を並べている。
久しぶりの人は最奥の席で、タンブラーを弄んでいる。挨拶はなしだ。

日本海の幸を陶器に盛ったら、山葵と岩塩と辛味噌を添える。キレイだね。いやお造りのこと。
雫石の “菊の司” は、ひとめぼれを磨いた純米生原酒うすにごり、少しガスを感じる爽やでフルーティな酒。
“線香花火” に和金が遊ぶガラスの酒器を並べて、ゆく夏を感じるのもまたいい。

被災した珠洲の櫻田酒造に天狗舞が手を差し伸べて “能登大慶×天狗舞”、ちょっぴり苦味も感じる旨酒だ。
さすればアテは “能登のへしこ” を。この塩辛い糠漬けで何杯かいけそうだ。酒器は陶器に代わっている。

大将のお薦めは “不二正宗” は乾坤一を醸す宮城の蔵、リンゴの香りを感じる甘味あるサッパリした酒だ。
〆は “塩むすび” をひとつずつ、へしこを齧りながら米の旨みを堪能する。

夜の帳が下りるのも少しづつ早くなって、これからの季節、ゆったりと大人のふたり酒もいい。

あなたに逢いたくて / 稲垣潤一 with 松浦亜弥


Biz-Lunch 近頃のレストラン兆峰@大塚

2024-09-04 | Biz-Lunch60分1本勝負

未だにこの店のことはよく分からない。
屋号に「レストラン」と付いているし、雰囲気は町中華そのものだし、味噌汁付きの定食は美味しい。
とりあえず美味しい「茶色」を並べてみた。

熱々の具沢山な餡をかけて “五目焼きそば”、小袋の辛子をふた袋切ったら餡の頂点に絞り出す。
黄色い小山を溶かすようにお酢をかけたら、大掴みの一口めを頬張る。美味い。

黄色い短冊に描かれたメニューが壁中に貼ってある。町中華的でしょう。“ナポリタン” を択んだ。
普段は卓に並んでいないKraftのパルメザンが供される。ちゃんと冷えている。かけ放題なのだ。
モチモチの太麺にケチャップソース、昭和な呑み人には懐かしいおふくろの味だ。
フライパンから無造作に盛り付けた平皿と、安っぽいフォークが、この場合演出効果が効いている。

「揚げ物は控えましょ」って可愛らしい保健師さんとの約束を破って “エビとイカのフライ” が並んだ。
それ位ここのフライは美味しい。グランドメニューから一種類を日替り定食に仕立てて750円で提供している。
そのお得感がまたいい。味噌汁と香の物が付くのが、洋食屋というより和定食な感じなのだ。

っで、この店のことで分かっていることは、指を折って確認する帰り道。
13:30で閉まってしまう、切り盛りするご夫婦の愛想は良くない、どのメニューを択んでもハズレなく美味い。
それでついつい、照りつける残暑の日でも、山手線を越えて歩いてしまうのだ。
いやいや、ごちそうさまです。今日も美味しゅうございました。

<40年前に街で流れたJ-POP>
リトル プリンセス / 岡田有希子 1984


津々浦々酒場探訪 庵 浮雨(un peu)@浦和

2024-08-31 | 津々浦々酒場探訪

ゴールドの泡が煌めく “スパークリング” と、大衆酒場の雄 “赤星” の共演で今宵の宴が始まる。
お通しは、なんともクリーミーな “おぼろ豆腐”、岩塩で食すかオリーブオイルで食すか、選択を迫られる。

十割蕎麦が食べられるビストロ?、蕎麦前にタパスを楽しむそば処?
記事のカテゴリーは、酒場探訪か、人生のそばからか、男と女か、迷うところたくさんの夜なのだ。

“ゴボウの青唐みそマヨネーズあえ”、“長ねぎのマリネ”、“木の子のマリネ” を並べて赤星を呷る。
とりあえずはメニューの上から3つを頼んでみた。どれもご機嫌なアテなのである。

選りすぐりの日本酒は純米系のボトルを、あたかもワインのようにラインナップしている。
今度は “半熟うずら玉子のスモーク” はトリュフ塩で、それに “鶏ササミの洋風とりわさ” で脇を固めておいて、
注ぐ “醸す森” は津南の苗場酒造の酒、ほのかに柑橘系が香るのど越し爽やかな生酒なのだ。

このモダンな酒を差しつ差されつ、“ホタテのムース洋風板わさ” と “だし巻き風オムレツ” を突っつく。
これもまた美味いねぇ。ほら、段々と蕎麦処っぽいアテになって来たでしょう。

〆の十割蕎麦は クルミオイルをたっぷり使った “くるみ汁せいろ” が陶器に盛られてやってきた。
コシのある十割を、ほんのり甘いくるみ汁で、なめらかに啜って美味しい。
こんな隠れ家的な蕎麦処はふたりでゆるりと楽しみたい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
シャボン / 長山洋子 1984


Go!Go!West! 9 駅そば日記 いろり庵きらく@平塚「冷やしとろろ玉子そば」

2024-08-28 | 旅のアクセント

酷暑は続くし、いつ激しい雨が降り出すか分からない空模様。
案外と、ガンガンに冷房の効いた電車にただ乗っていることが、実に快適だと気付いたこの頃。
読みかけの新書を一冊携えて、昼過ぎの東京上野ラインに乗る。
グリーンとオレンジの湘南電車に揺られること90分、頁がそう進まないうちに平塚に着く。

平塚にも改札内に「いろり庵きらく」がある。
そしてややゆったりしたこの店では、メニューに “ヱビス” の小瓶がならぶ。
よく冷えたタンブラーに黄金色を注いで、真昼のビールが楽しい。

そして “冷やしとろろ玉子そば”、黄身がかった “とろろ” を絡めて、冷たいそばが美味しい。
海岸沿いの町の駅そばは、ふんだんに振りかけた “あおさ” が気の利いたアクセントだ。

さて、次は小田原あたりまで、避暑の駅そば電車旅に出かけようか。

<40年前に街で流れたJ-POP>
SUMMER EYES / 菊池桃子 1984


温泉街の蒸留所でクラフトジンを愉しむ

2024-08-24 | 旅行記

オーク樽をテーブルにして、外国人のカップルがジンを楽しんでいる。
投宿した旅館から下駄を鳴らして温泉街を漫ろ歩く夕方、野沢温泉蒸留所を訪ねることにした。

銅板のサインボードを手がかりに、民宿が並ぶ細い道を登っていく。
えっ、こんなところにあるのと訝しみながら進むと、突然に洒落たテラスが現れた。

ガラス張りの建屋は2階の高さまで吹き抜けて、無骨な木枠の棚には真新しいオーク樽が天井まで積み上がる。
樽たちにはシングルモルトが寝かされて、琥珀たちはやがて訪れる出番を夢見て、熟成の時間を待っている。

2022年12月に開業した野沢温泉蒸留所だから、未だウイスキーをリリースしていない。
その代わり、50年の時を隔てて湧き出た雪解け水、地元産のボタニカルで抽出したクラフトジンが味わえる。

ブルーラベルの “NOZAWA” は、爽やかな味わいのシグネチャードライジン。すぎの香りがするね。
和風のテイストのボタニカルクラフトジンは、ブラックラベルの “CLASSIC DRY”、山椒が効いているね。

“IWAI” は、レモン、スモモ、桜の葉が効いている。春の味わい、新緑と祝いの季節を表現したグリーンラベルだ。
これまた春を感じる爽やかなテイストは “SHISO”、アップルウッド、赤紫蘇、青紫蘇の風味だそうだ。

ガラスの向こう、胴が鈍く光る蒸留釜を眺めながら、深い眠りにつくシングルモルトの樽に語りかけながら、
ゆっくりと食前酒のボタニカルジンとの時間を愉しんで、夏の終わりの陽は傾いていく。

さてと、旅館に戻っての宴は、水尾に北光正宗に、北信濃の酒肴を思う存分味わおう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
夢伝説 / スターダストレビュー 1984 


Go!Go!West! 8 駅そば日記 濱そば@辻堂「冷やしかき揚げ天玉そば」

2024-08-21 | 旅のアクセント

昨年11月、藤沢駅の3・4番ホームで営業していた大船軒が閉店してしまったから、次は辻堂になる。
辻堂のホームは思いがけず幅が広いのだけど、めざす「駅そば」は見つからない。
っで、東改札へと向かう階段を登っていくと。辛うじて改札内に「濱そば」を見つけた。
そして辻堂での選択は、オーソドックスにしかしちょっと贅沢に “冷やしかき揚げ天玉そば” なのだ。

先ずはワサビを満遍なくつゆに溶いて、ピリッとした冷たいそばを啜る。美味しいね。
次にかき揚げをつゆに浸して、解れるほどにそばに絡めて、その甘さを楽しむ。
そばが三分の一くらいになったところで、玉子を箸で割る。ほら麺に絡みはじめた。
玉子の絡み方で味が七変化してこれまた楽しい。最後につゆまで飲み干して満足なのだ。

再びホームに降りる。青いラインの特急が案外心地よい風を起こして通り過ぎていった。
さて、次回は小田原あたりで旅情の一杯を啜るとしましょうか。

<40年前に街で流れたJ-POP>
夏のフォトグラフ / 石川秀美 1984


外湯と鮎岩塩焼と北光政宗と 野沢グランドホテル@信州・野沢温泉

2024-08-17 | そうだ温泉にいこう!

野沢温泉のシンボルは大湯、温泉街の中心に、江戸時代の趣ある湯屋建築の美しい姿を見せている。
カランコロンと下駄を鳴らして13ある外湯を巡るのが、この北信濃の温泉地の大きな魅力だ。

ガラガラと引き戸を開ける。奇跡的に誰も居ない。タイミングかな。
湯気が高い天井までゆらゆらと上がっていく様子は、見ていて案外癒しになるなぁ。

湯船は二つ、ぬる湯とあつ湯があるけれど、そもそも50℃を超えているから、何がぬる湯?
真鍮の蛇口を全開にして加水、恐る恐る浸かる。身動きがとれない。

10秒も使っただろうか、堪らずに湯船から逃げ出す。全身は真っ赤なのだ。
っと、戸を引く音がしたので、慌てて蛇口を閉める。地元のお父さんに叱られるからね。

温泉街を見下ろす高台で、真湯と麻釜、2つの源泉をかけ流している野沢グランドホテルに投宿。
久しぶりにふるさと信州を訪ねて、北信濃のお湯と地酒と「おごっつぉ」を楽しみたい。

木耳辛子和え、菊花なます、高原花豆の甘煮、紅鱒イクラ、わらび甘酢漬と八寸を並べて生ビール。
クリーミーな泡を口ひげにして、キンキンに冷えたやつを呷る。風呂上がりには堪らない。

信州サーモンとするめいかの向付、高野豆腐と夏野菜の冷し鉢が追っかけてきて、膳が華やぐ。
甥っ子を含めて20代の男が4人、酒が飲める年ごろになって頼もしい。今回はちょっと賑やかな宴だ。

平皿に鮎が泳いだら、城下町飯山の酒 “水尾” を開けて、年長の義弟と差しつ差されつ。
「金紋錦」を醸した “小吟” は華やかな香りの純米吟醸、コクの深い味わいがいい。

野沢菜の “おやき” を味わっているうちに、信州牛にいい感じで焼き色が付いてきた。
地酒は戸狩の “北光政宗” に代わる。“雪明かり” は「ひとごこち」を醸したやわらかい口当たりの純米吟醸。
あっ、酒の順番は逆の方が良かったかなぁ。いやご馳走さまでした。

今宵、奥信濃の酒肴を堪能した湯宿、あとは早暁、露天風呂を独り占めしたいものだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
そして、僕は途方に暮れる / 大沢誉志幸 1984


Biz-Lunch 恩田@大塚「ぶっかけげそ天うどん」

2024-08-14 | Biz-Lunch60分1本勝負

こんな暑い日には、ついつい冷たい麺類に手が出る。
空蝉通り北交差点近くの「恩田」も、そんな時に訪ねたいカードの一枚だ。
この日注文したのは “冷ぶっかけげそ天うどん”、ランチにはミニ丼が付く。ボクは “とろろめし” を択ぶ。
十分にコシを楽しめる手打ちの讃岐、サッパリとしたつゆにレモンと刻みネギでさわやかに美味しい。
目の前で揚げている天ぷらはなかなかのクオリティー。
先ずはカラッと揚がった “げそ” を食し、〆につゆが沁みてしっとりしたのを味わう。旨いぞ。
ちょっと親父さんが気難しいのが玉に瑕だけど、この味わいに再訪したくなる店なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
晴れ、ときどき殺人 / 渡辺典子 1984


ご当地旨ラーメン事情 一心ラーメン@荒木町

2024-08-10 | 旅のアクセント

芸者衆が行き交った粋な花街・荒木町、外苑東通に面して赤く浮かび上がってるのが「一心ラーメン」だ。
どんぶりの周りをのりでしきつめた別名 “エリマキらーめん” (エリマキトカゲに似ている?)をいただく。
かなりの細麺、硬め、大ぶりなチャーシュー、玉ねぎみじん切り、メンマ、ナルト、ネギを散らして
昔ながらの濃いめの醤油味が、呑んだ後の胃袋に沁みて美味しい。(きっと身体には良くない)
後半、スープを吸ったエリマキたちを絡めて啜る細麺で二度美味しい。
大人の街で呑んだ後に、こんな旨い〆があることを今宵初めて知った。
女店主が一人で切り盛りするこの店に、また次回も訪ねたいと思うのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
コントロール / 河合奈保子 1984


水曜日は家呑み派「葵鶴 純米吟醸 純」

2024-08-07 | 日記・エッセイ・コラム

小さなセラーの隅っこから、深いブルーのボトルが出てきた。これ、兵庫県三木の “葵鶴”。
神戸電鉄粟生線で呑んだ時に仕込んだ酒だから、1年以上寝かせてしまった。ワインじゃあるまいし大丈夫?
羽柴軍が別所長治を包囲した三木合戦の舞台となったこの辺りは、山田錦の日本一の生産地だ。

豚バラの良いところが冷蔵庫にあったから、豆腐としめじと水菜で “豚バラ鍋” にしてもらった。
夏とは言え、鍋ものは手軽でヘルシーで尚且つ日本酒に相性がいい。
もう一回り小さい土鍋では “とうもろこしご飯” が出来上がっていた。
バターを入れずに塩胡椒だけで仕上げると、これもなかなか酒にあう一品になる。

柔らかな香りでさらりとした呑み口の純米吟醸は、特A地区の山田錦100%で醸した「GIはりま認定酒」。
淡麗な酒を差しつ差されつ、鍋をつつきながら、ふたりだけの家呑みもなかなか良いものだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
愛情物語 / 原田知世  1984