旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

玉電とSNOOPYと真っ昼間の餃子×ビールと 東急田園都市線を完乗!

2025-03-14 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

副都心渋谷と中央林間を結ぶ田園都市線は、東横線と並んで東急の本線格といえる。
R246の地下から抜け出すと、大井町線を従えて堂々の複々線が二子橋梁で多摩川を渡っていく。
今回は田園都市線に乗って、西へと小さな旅をしている。

副都心線の開通で渋谷の地下は賑やかになったと思う。
渋谷スクランブルスクエア前にポッカリと開いた地下空間への入口、ゲートの路線案内がカラフルだ。

B3階の1番線に降りると見慣れぬ黄色い電車が止まっている。乗務員交代するこの駅の停車時間は長い。
「南町田グランベリーパーク号」と云うらしい。この後寄ってみよう。
スヌーピーと仲間たちが電車に乗っている様子が描かれており、心弾むワクワク感を演出していると云う。

新鋭2020系は堂々の10連、準急の中央林間行きが溝の口駅にはいってきた。
先にも触れた通り、多摩川〜溝の口間は大井町線が乗り入れる複々線区間になっていて、
すれ違ったり追い越したり車窓はとても賑やか、男の子たちのテンションが上がっているね。

早いお昼を町中華で呑む。「芳蘭」はR246が南武線を跨ぐ陸橋下のような場所にある。
老夫婦で切り盛りする店は、単品はちょっと単価高めだけど、リーズナブルなランチメニューがある。

真っ昼間の町中華だから、ここは王道として “餃子” に “ビール” でいきたい。
狐に焼き色がついた餃子は、この手の店にありがちな、具だくさんのもちもちタイプ。
ジュワっと滲み出る肉汁を味わって、苦味走ったラガーで流す。美味いね。

ビールを楽しむうちに “五目そば” が登場、これも具だくさん、大きな焼豚の存在感が半端ない。
レンゲですくってスープを味わう。優しい味だ。
割り箸を駆使して野菜やら焼豚を抓んだり、麺を啜ったり、この五目そばってのは楽しいね。

さて、昼呑み後の腹ごなしにもう少し郊外まで歩く。めざしたのは国の登録有形文化財「久地円筒分水」だ。
多摩川から取水された二ヶ領用水はここ久地へ導かれ、ここから四つの堀に分水されていた。
これ江戸時代の話し、正確な分水ができずに水争いが絶えなかったことは想像に難くない。
昭和16年に造られた久地円筒分水は、二ヶ領用水を円筒の円周比により四つ堀に分水し正確に供給を始めた。
この知恵と技術もさることながら、この遺構の機能美がまた素晴らしい。

東急の車両にフェイスは似ているけど、パープルに化粧しているのは東京メトロの18000系。
溝の口からの二番手は各駅停車の中央林間行きだ。

次なる途中下車は宮崎台駅、各駅停車しか停まらない駅だけれど、ここに「電車とバスの博物館」がある。
小さな子ども連れの来訪者に混ざって、この小さな博物館を訪ねるのは訳がある。
田園都市線の前身である玉川線のデハ200形を見ることができるからだ。

玉川線(通称:玉電)は1969年まで渋谷から二子玉川園まで走っていた。
R246に敷かれた軌道を走っていたと云うから、路面電車みたいな感じだったろうか。
デハ200形は当時としては画期的な超低床構造の2両連接車、下ぶくれの顔が愛嬌があるなぁと思う。

続いて宮崎台からの三番手は橙が眩しい東武の50000系、急行の中央林間行き。
始発駅は久喜か南栗橋か、いずれにせよその距離90キロ超、所要2時間超の長い旅の途中だ。

溝の口を発った田園都市線は、起伏の多い多摩丘陵に突入する。
溝の口隧道を皮切りに、駅間に必ずあるのでは?と云うくらいたくさんのトンネル、切り通し、
半径の小さなカーブ、谷を渡る高架が連続し、車窓は目まぐるしく変わるのだ。

橙色の急行は南町田グランベリーパーク駅に滑り込む。そんな駅あったっけ?
東急が手掛ける「グランベリーモール」の最寄駅であることから改称されたらしい。
2019年に完成した新駅舎は、まるでモールの一部のような、明るく開放的で洒落た空間に仕上がっている。

モールには SNOOPY MUSEUM TOKYO、大欠伸のスヌーピーの口に次から次に女の子たちが吸い込まれる。
なるほど、渋谷駅で見たスヌーピーと仲間たちを描いた黄色い電車は、このモールのプロモーションなのだ。

MUSEUM を見渡すカフェのテラス席にご同輩らしき人物を見つけた。これっ何と云うキャラクターなの?
この日は寒かったから彼は独りぼっち。スヌーピーを撮っているのか、それとも自撮りしているのだろうか。

もう日が暮れそうだけど、ここまで来たらこの旅の終点まではもう一息、否あとふた駅。
つきみ野駅を通過して住宅地の中にぽっかり開いた四角いトンネルに吸い込まれて地下線に入る。
東武から出張してきた橙の10両編成は、ほどなく終点の中央林間駅へ到着するのだ。

冬枯れの田園都市線の旅、住宅街を突き進むこの路線は、なかなか見どころも見出せず単調な旅になった。
それでもJR線と交差する溝の口や長津田、いやいや中央林間にだって酒場が見つかるかもしれない。
ちょっと宿題を残して、今回は町中華の昼呑みでお茶を濁した田園都市線の旅なのだ。

東急田園都市線 渋谷〜中央林間 31.5km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
卒業-GRADUATION- / 菊池桃子 1985


津々浦々酒場探訪 サカナのハチベエ@名古屋 柳橋

2025-03-08 | 津々浦々酒場探訪

出張2日目の夜はひとり、まぁこれは予定通りで前回気になっていた店を訪ねてみる。
和の趣を感じさせる明るい店内、今宵の客層はかなり若い。ご同輩を探すのは難しい。

先ずはお約束の生ビールを呷って、“混ぜてたべるあったか明太ポテトサラダ” ってアテを択ぶ。
ボウルにどぉんと拳大の蒸したてのポテト、明太子やら野菜やらを従えて登場。
目の前でお兄さん、木製のサラダサーバーでポテトを潰してかき混ぜて仕上げてくれる。
ほくほくで美味しそう。でもこの量を食べたらほかの料理を楽しめない。

時は10分ほど遡る。賑わう店内で唯一空いていた隣席に若い女性が座った。
キラキラした横顔は待ち合わせではなさそう。スタッフと気さくにコミュニケーションする快活なひとだ。
彼女に明太ポテサラを勧めてみる。怪しいだろうか。
「注文しようと思ってたんです」と微笑む彼女、細く白い手がポテサラを小皿に盛り付ける。
ちょっとほっこりする。

“ホタルイカの酢味噌和え” を抓みながら、品書きに唯一愛知の酒 “ねのひ” は、のど越しキレの良い辛口だ。
お隣から “胡麻ブリ” のおすそ分け、脂がのったブリに胡麻の風味の甘い出汁醤油が美味しい。

二十代で大病を患った彼女は、中京地方の病院にセカンドオピニオンを求め、この地で手術を受けた。
退院後もこうして何ヶ月か毎に、遥々飛行機で飛んできては、経過観察の診察を受けているという。
幸い経過は順調で、最近は好きなお酒も愉しめる様になったとキラキラと語る。
辛い思いを沢山しただろうに強い娘だ。

氷の上に大きな海老を横たえて “刺身5種盛り” の桶がなかなか豪華でしょう。
二杯目は彼女に敬意を表して “国士無双”、道産米で醸した淡麗辛口の旨味のある酒だ。

周囲から見たら、上司と部下と見えるか、それとも仲の良い父娘だろうか。
旅、仕事、それにお酒、話しが弾んで、この後はすっかりアテの写真を撮り忘れた。
今宵、柳橋で袖触れ合ったのは、人生観も職業観もしっかりとした強くて美しい女性でした。

愉しい時間をありがとう。ご快癒を心からお祈りします。

<40年前に街で流れたJ-POP>
シンデレラは眠れない / THE ALFEE 1985


Biz-Lunch あんかけ亭@名古屋「海老タルタル」

2025-03-06 | Biz-Lunch60分1本勝負

名古屋に降り立たら、冷たい雨の中、太閤通口から新幹線高架沿いを歩く。
半年ぶりの名古屋、やっぱり “あんかけパスタ” が食べたくて11:16着の便に乗ってきた。
赤い看板の人気店もこの時間なら待たずに座れるからね。

海老フライが三尾屹立して “海老タルタル” が登場。
ぷりぷり大正海老、淡路産あま玉ねぎ、コーン、ハム、ピーマンのソテーにタルタルが添えられている。
にんにくペーストが入ったトマトソースが旨い。玉ねぎの甘味も効いているね。
半ばパスタを平らげたら、トマトソースにタルタルが絡んでまた違ったテイストで楽しい。

ところで、客層は若いのかなぁと思ったのでけど案外ご同輩が多い。カロリー過多ではないかなぁ。
ビニール傘を開いたら、トマトソースの余韻を引き摺ってオフィスへ向かう。ミーティグは14:00からだ。
あれだけ気を付けたのに、シャツの袖口にソースを飛ばしてしまって、ちょっぴりブルーな出張1日目だ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ミ・アモーレ / 中森明菜 1985


うしでんしゃと鮭ハラス焼きと会津中将と 東急こどもの国線を完乗!

2025-03-02 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

夕暮れの長津田駅、7番ホームに「うしでんしゃ」が入ってきた。牛歩よろしくゆっくりと。
この町で一杯やる前に、この短い支線を乗り潰しておきたい。

青空の下、みどりの牧場で牛さんたちが草を食んでいる。
車両の床には足跡まで付いていて、なんとも長閑な雰囲気を醸し出している。

さて乗客はというと、さすがにこの時間は親子連れの姿はなく、
家路を急ぐサラリーマンと、重い部活のバックを背負った中高生が多いね。

戦時中、旧陸軍田奈弾薬庫への引込線として敷設された鉄路は、こどもの国へのアクセス線に転身した。
日没後、淡い暖色に浮かび上がる駅舎は、童話の中に出てくる建物の様に見える。

長津田駅の北口にはロータリーが整備され、その再開発に外れて孤高の居酒屋がある。
ちょっと気になるね。「みちのく」だって、どんな肴を出してくれるのだろう。

地酒の品書きはその名の通り東北のラインナップ、半分は会津の酒が並んでいる。
品定めをする間に “一番搾り” をいただく。アテは “生春菊とツナのサラダ” を抓む。

“鮭ハラス” を焼いてもらう。たっぷり脂がのった塩焼きにレモンを絞る。
大根おろしをちょんとのせて、口に運ぶと蕩ける様に美味しい。

酒は会津で攻めることにした。まずは「夢の香」を醸した “会津中将” の純米吟醸を。
すっきりした香りのやや辛が、ハラスの脂をスーっと流していい組み合わせだね。

“にら玉豆腐” には七味は振った方が良いだろうか。
これ絶対にあったか御飯に合うやつですね。であれば酒の肴にも。燗酒の方が良い?
これに合わせる “冩樂” の純米酒も「夢の香」を醸した酒、こちらはほのかに酸味を感じる。美味い。

会津の酒を堪能したこどもの国線の呑み鉄旅、肴はもう少し郷土料理的なのが欲しかったね。
それでも類さんが満足した店は、十分に美味しい雰囲気のある酒場でした。

東急こどもの国線 長津田~こどもの国 3.4km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
卒業 / 斉藤由貴 1985


駅そば日記 しぶしば@二子玉川「あなご一本天そば」

2025-02-26 | 日記・エッセイ・コラム

迫力の一本を丼に渡して “あなご一本天そば” が登場。
得てして写真ほどではなくてガッカリする食べ物があるけど、これはまぁ凄いね。

悴んだ掌を温めるように丼を包んで、まずは汁をひと口、やや甘めかな、美味しい。
あなごの頭のあたりをがぶり。カリカリっとして江戸前?、味があるね。

蕎麦の風味を感じながら、大掴みした麺をズズッと啜り上げて美味い。
汁に浸かった腹のあたりがしっとりと甘い、この味変の具合も楽しいね。

二子玉川の「しぶそば」入店待ちの列ができるほどの賑わい。客層もずいぶん若いですね。
少し単価が高めの設定だけど、味も良いし目をひく季節メニューもあって、なかなかいい感じなのだ。
ご馳走様でした。さて出汁の香りを感じながら、渋谷へ出る急行に乗りましょうか。

<40年前に街で流れたJ-POP>
愛人 / テレサ・テン 1985


紅梅と招き猫と赤鬼と 東急世田谷線を完乗!

2025-02-22 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

静かな住宅街をメタリックに輝くモーニングブルーの車両が、モーターの唸りをあげて走っていく。
ところで2月22日は「猫の日」らしい。それを知ってか知らずか呑み人は、
招き猫が描かれた「世田谷散策きっぷ」を握りしめ、世田谷線の旅をしている。

下町風情が色濃い下高井戸、駅に隣接した京王線の踏切が絶えずカンカンと鳴っている。
八王子方面への1番線を降りると正面に、小さな世田谷線の乗場が見えてくる。

下高井戸駅を「幸福の招き猫電車」が飛び出してきた。
10編成ある300系電車で、この車両に乗り合わせるのは、ある意味幸福なのかも知れない。
小さな子どもが「あっ猫の電車!」と指をさして、お母さんを見上げる姿が微笑ましい。

赤堤通り辺りからの下り勾配をバーントオレンジが下ってくる。
降車客の波に押し出されて山下駅に下車、なるほどここは小田急線(豪徳寺駅)との乗換駅か。

小田急線のひと駅分を歩いて羽根木公園まで足を延ばす。
ちょうど「世田谷梅まつり」が開催中で、紅、白、薄紅と600本の梅が咲き誇っている。

梅の香りに送られて山下駅に戻る。
まだ続く下り勾配を幸福の招き猫電車でひと駅、今度は宮の坂駅で途中下車。

この駅には旧玉電デハ80形が静態保存されている。
大正生まれの彼女は玉川線や下高井戸線で走ったのち、江ノ電にお嫁入りして海辺を走ったらしい。
1990年に現役を引退して、懐かしい世田谷に戻ってきたお婆ちゃんなのだ。

大谿山豪徳寺は彦根藩主・井伊家の江戸における菩提寺で、曹洞宗の寺院だ。
仏殿正面に篆額には「弎世佛」と描かれている。現在・過去・未来の三世を意味するそうで、
なるほど阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像、弥勒菩薩坐像が安置されている。

立派な三重塔だけど案外新しいもので、落慶は平成の世になってからだ。
この塔はちょっと変わっていて、二層目には招福猫児観音像が安置されているのだ。

鷹狩り帰りの殿様が、門前の猫に手招きされ寺に立ち寄ることで、突然の突然の雷雨を回避した。
これが豪徳寺と井伊家の縁なる故事で、豪德寺は井伊直孝に支援され再興したそうだ。

福を招いた猫を「招福猫児(まねきねこ)」と呼び、お祀りする招福殿が建てられている。
奉納所にずらり並んだ招き猫がフォトジェニックとして話題を呼び、人気のスポットとなっている豪徳寺だ。

下高井戸から南下してきた世田谷線は90度、上町駅進路を東に転じる。
突然っと、対向のブルーイッシュラベンダーが、急カーブの先から現れた。

唯一駅舎を持った上町駅は検車区を併設している。全10編成のねぐらってわけだ。
この日は運用から外れているチェリーレッドとカラフルなSDGsトレインが並んでいる。

ある意味世田谷線最大の名所は若林踏切だと思う。
都内の大動脈である環状七号線(都道318号)に唯一残った踏切なのである。
とは云え、この踏切は交通信号によって制御され遮断機はなく、最大限に交通量に配慮している。

キャロットタワーに併設した三軒茶屋駅、たった1本の線路にクラシックブルーのが終着した。
駅はアーチ状の天井、赤レンガ、丸い電灯、レトロモダンな雰囲気を醸している。 
共に「玉電」として走った二子玉川園行きの本線は、田園都市線となって地下深く潜ってしまった。

世田谷通りから路地に入って「銘酒居酒屋赤鬼」を訪ねる。
今宵も予約で満席だけれど、1時間少々の時間制限でカウンターの一角でダウンジャケットを脱ぐ。

先ずは “白穂乃香” で喉を潤しながら、銘酒リストを眺めて品定め。
ここは山形の “十四代” を始め、津々浦々の銘酒を生酒中心に取り揃えた日本酒専門の居酒屋だ。
この間のアテは “ぬか漬け入りポテトサラダ”、これビールによく合う。へしこソース付きが嬉しい。

一杯めは十四代の本醸造 “本丸”、トロッとした口当たりのバニラの様な香りが楽しめる。
本来、辛口を好む呑み人なんだけど、これは旨い、そして飲みやすい酒だ。

そして赤鬼名物の “こんにゃくの刺身”、玉こんにゃくを薄くスライスして、だし醤油と生姜でいただく。
たぶん芋本来の甘味と、独特の弾力ある食感を楽しみながら、これは逸品だと思う。

山形つながりで二杯めは西村山郡の “あら玉”、生酒谷地のあらばしりは出羽燦々を醸して柔らかな味わい。
本マグロ、ソイ、ハマチ、ホタテ、厚手の陶器に並んで彩りが鮮やかだ。
刺しちょこの醤油は九州のそれの様に、濃口で甘味を感じて美味しい。拘っているね。

“中トロの串焼き” を焼いてもらった。これもなかなか美味いアテだ。
県境に跨がる “鳥海山” だけど、この酒は越えて秋田県の天寿酒造の酒、由利高原鉄道で訪ねたね。
オリ引きしないままの生原酒は、薄にごりの爽やかで豊潤な味を楽しんでいるうち、そろそろ1時間。

マフラーを巻いたら、スタッフの温かい声に送られ、後ろ髪を引かれる思いで引戸を開ける。
雪が散らつく予想もあった寒い猫の日、美味しい心地よい店に出会った世田谷線の旅だ。

東急世田谷線 下高井戸〜三軒茶屋 5.0km 完乗 

<40年前に街で流れたJ-POP>
卒業 / 尾崎豊 1985


Biz-Lunch 酒場ずぼら@東池袋「豚キムチ」

2025-02-19 | Biz-Lunch60分1本勝負

古いモルタル壁のバラック酒場が残る美久仁小路の入口に「酒場ずぼら」がある。
この横丁の雰囲気も、この店の名前も、呑み人にはどストライク。

でも、6〜7人が肩寄せ合うように呑む狭いL字のカウンターに、初めての訪問はランチなのだ。
刺身や焼魚、チキンカツ、鶏唐は、日が暮れてからアテで頼めば良いから、ちょっと変わり種を択ぶ。

目の前で豚肉を炒めるフライパン、いい頃合いでパックから一掴みの橙色が投入されると
パッと酸っぱい匂いが広がった。ほどなく “豚キムチ” の皿がカウンターを越えてきた。

キムチの旨味と辛味が豚肉によぉく絡んで、温かいごはんにのせて美味しい。
二つの小鉢に、とうふ、ワカメ、シジミから択べる味噌汁が嬉しいね。

今度は、直ぐ後のサッシがカタカタ鳴るような寒い夜、焼酎のお湯割でも呑みに来ましょうか。
ご馳走さまでした。

<40年前に街で流れたJ-POP>
十人十色 / 大江千里 1984


戸越GINZAと御嶽神社と春の霞と 東急池上線を完乗!

2025-02-15 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

JR線を見下ろす4階に部分に池上線の五反田駅がある。
山手線の内側への延伸を狙った構造ではあるが、計画はついぞ実現しなかった。
高架下を目黒川が流れて、桜の頃はさぞかしキレイだろうなと思う。

目黒川を跨いだ1000系の3両編成は、加速をする間もなく大崎広小路駅、その次が戸越銀座駅だ。
1.3kmに400の商店が軒を連ねる戸越銀座商店街、その中ほどで踏切を鳴らして短い電車が絵になる。

大井町線とクロスする旗の台駅、多摩産の木材でリニューアルしたホームは温もりに溢れている。

木造のホーム上屋、上屋と一体化した白いペンキ塗りの木製ベンチ、
一方で昔ながらの旧い駅が多いのも池上線の風景だ。西島三重子の曲の情景が目に浮かぶ。
そんな洗足池駅に現代っ子の7000系が入ってきた。

洗足池に流れこむ川はない。大小の湧水を集めて周囲1.2kmのこの池はある。
辺りには広重の名所江戸百景『千束の池袈裟懸松』にも描かれた美しい景勝地の片鱗が窺える。
自然豊かな環境だから、飛来する冬の水鳥は多いけれど、スワンが浮かんでいるとは思わなかったね。

呑川を渡って雪が谷大塚駅に飛び込んできたのは「青ガエル」リバイバル塗装。
ある年代以上の方には懐かしい色だと思う。

左に大きくカーブして行く本線に並んで、雪が谷検車区が24編成分の電留線を広げている。
こうして見ると、池上線(多摩川線)の顔ぶれは、なかなかどうして華やかだ。

池上線が東海道新幹線を跨ぐ辺りに在るのが御嶽山駅。
「おんたけさん」という駅名には信州人としては反応せざるを得ない。当然に途中下車になる。

案の定というか駅の北側に御嶽神社が鎮座していた。
天保年間、この村にあった小社に木曾御嶽山で修業をした一山行者が来社して以来信者を増やし、
やがて大きな社殿を建立すると、関東一円から御嶽信仰の信者が多く訪れるようになったそうだ。

武蔵野台地と、幾つもの川が削った谷底が入り組んだ地形をアップダウンしながら
7000系3両編成が池上駅に滑り込んでくる。もともと池上線の前身である池上電気鉄道は、
池上本門寺の参詣客輸送を目的に開業したから、この路線の中心駅と云って良い。

仏具屋や花屋、くず餅屋などが並ぶ本門寺通りを抜けると、呑川対岸の崖上に大本山の仁王門が見える。
加藤清正が寄進した九十六段の石段からなる此経難持坂(しきょうなんじざか)を登り切ると池上本門寺。
仁王門をくぐった先の大堂はかなりの大きさだ。日蓮聖人の御尊像(祖師像)を安置する。

右手に目を向けて、徳川秀忠公が建立寄進した五重塔は、関東に現存する最古の五重塔なのだそうだ。
さらに本殿裏、小堀遠州造園の松涛園は、西郷隆盛と勝海舟の江戸城明け渡し会見の舞台でもある。

今宵の一杯はこの門前町でも良かったのだけれど、やはり酒飲みのワンダーランド蒲田に向かいたい。
ということで2駅4分のラストスパート、アンカーの7000系は頭端式ホームの蒲田駅に終着する。

ガード下に立ち飲み屋が並ぶくいだおれ横丁、それに続くバーボンロードを冷やかして歩くと、
昭和な民家風が気になる。仰ぐ看板には「立飲み集会所 日本酒人」だって、入るよね、ここ。

っで今宵はビール抜きにして、秋田の酒で攻めることにする。肴は海のモノと決めた。
“春霞” は大曲に近い美郷町の酒、酒米美郷錦で醸した純米はやわらかい甘みを感じる食中酒。
アテは “紅鮭海苔チーズ ホイル焼き”、これは美味い。海苔とチーズが塩っぱい紅鮭といい感じだ。

秋田だからね。“いぶりがっこ” を箸休めに置いて、ふた皿めの “タコ刺し” は薄切りが瑞々しい。
“純米ど辛” は白神山地の酒、日本酒度+15の超辛口の酵母は「セクスィー山本酵母」だって、遊んでるね。

品書きの文字通り “大きいカキフライ”、カラっと揚がってしっかり旨味があって、レモンを絞って美味しい。
三杯めの “刈穂” は大仙市神宮寺の蔵、山杯純米生原酒番外品って重々しいこの酒は日本酒度+22。
これは効くね。重厚な旨味とハードなキレ、カキフライにかける中濃にも負けない。いい出会いだ。

それこそ短い距離ながら濃厚な池上線の呑み旅は、秋田の旨酒にほろッと酔って終わるのだ。

東急池上線 五反田〜蒲田 10.9km 完乗

池上線 / 西島三重子


一酒一肴 想天坊×ズワイガニと菜花ポン酢

2025-02-12 | 津々浦々酒場探訪

行きつけとは云わないまでも、時折寄せていただく居心地の良い居酒屋。
ちょっと気になったひと皿が “ズワイガニと菜花ポン酢”、冬と春が出会う肴だね。
ズワイガニの甘みと菜の花のほろ苦さが一緒になって、そしてポン酢のジュレがいいね。

今月の地酒のラインナップを指で辿って日本海側の酒を探す。ズワイガニが獲れるところのね。
新潟県の河忠酒造の酒があった。30分も走れば出雲崎漁港がある辺りの蔵だ。

“想天坊” の純米しぼりたて生原酒は冬の酒、爽快な香りで芳醇な旨味のある酒ですね。
冬の芳醇な酒を酌みながら、冬の味覚ズワイガニを抓む。っで菜の花の苦みに春を想う。心地よい宵だ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
もっと接近しましょ / 石川秀美 1985


目黒不動尊と花椒の香りと信州亀齢と 東急目黒線を完乗!

2025-02-08 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

多摩川を渡った急行が、キーンキーンと車輪とレールを擦らせて、急カーブに弧を描いてくる。
かつて目蒲線として親しまれた路線は、東京メトロとの直通運転と東横線複々線化事業により
目黒線と多摩川線に分断された。この休日は田園調布から目黒まで、城南の小さな旅をしてみたい。

都内有数の高級住宅街の田園調布が旅のスタート地点。
洋館風の旧駅舎は、複々線化事業により駅は地下化された後、2000年に復元されている。

田園調布駅を発った目黒線は、地上に飛び出すや大きな左カーブで東横線から離れて行く。
グリーンのラインを帯びた車両は東京メトロの9000系、行先表示版には赤羽岩淵の文字。

地下鉄と相互乗り入れする目黒線は行先が、赤羽(南北線)、浦和(埼玉高速鉄道)、高島平(三田線)と多彩だ。
隣の4番ホーム(東横線)の、池袋(新都心線)、川越(東武東上線)、所沢(西武線)と合わせると、
もうとんでもない混沌の中にある。「目黒(or渋谷)に出たいだけなのに」と高齢者の戸惑いが聞こえそうだ。

奥沢駅の手前で最初にすれ違った食パンは、東京都交通局の新鋭6000系。
ラインカラーの青を纏ったこの車両は、2022年にグッドデザイン賞を受賞している。

最初の停車駅である奥沢駅は車庫を併設し、6本の車両が留置できるようになっている。

斜め後方から大井町線が割り込んでくると、3000系8連の急行は大岡山駅に飛び込んで行く。
連続立体交差化事業が進んだ目黒線はまるで地下鉄の様、大岡山も地下駅になっている。

活気のある大岡山北口商店街を行く。風景が商業地から住宅街に変わって、雰囲気のある蕎麦処を見つけた。

そば屋の技とは思えないほど、一番搾りが見事な泡がちで登場する。それともグラス形状のなせる技か?
板わさ、かまぼこの天ぷら、鴨のくんせい、卵焼きが並んで、蕎麦前セット(1400円)が嬉しい。

さらに一酒一肴を欲張って “揚げ茄子肉味噌がけ”、花椒が香る一品は中華にも似て、なかなかの美味。
酒は信州上田の “信州亀齢”、美山錦の純米吟醸は穏やかな香りのフレッシュな酒だ。
北国街道上田宿の町並みの中にある岡崎酒造、杜氏さんは確か女性だったと思う。

そして刻み海苔を散らして “ざる” を一枚、かなりコシの強いやつを辛めのつゆでズズッと啜る。
美味いね。休日の真っ昼間にそば屋で一杯、贅沢で粋を気取った呑み鉄の旅なのだ。

大岡山から急行に乗車すると次は武蔵小山、所要時間はわずかに3分、この駅もまた土の中だ。

武蔵小山商店街「パルム」は800mのアーケードと250店舗を有する。
休日の午後はビックリするほどの人,人,人。大阪の心斎橋に負けないくらいの賑わいなのだ。

ところで武蔵小山には「清水湯」という銭湯があって、お昼から湯に浸かれる。
いわゆる東京の黒湯と、さらに深い地層から湧く黄金の湯の2種類の湯が楽しめる。また今度訪ねたい。

武蔵小山では各駅停車が4番ホームに退避して、3番ホームに急行が追いかけてきて先行する。
でっボクが各駅停車に乗るのは不動前駅に途中下車したいから。4番手は東京都交通局の6300系。

不動前駅を降りてL字の小さな商店街を抜けてかむろ坂通りを渡る。あとはゆるりゆるりと坂道を登る。
八つ目やが焼く香ばしいうなぎの香りが漂うと、正面にこんもりとした杜、目黒不動尊瀧泉寺だ。

護摩祈願の声を聞きながら手を合わせたら、東急目黒線の旅も終わりが近い。

最後はやっぱり東急の車両が良いね。3本ほど見逃すと5080系の赤羽岩淵行きがやってきた。
ほどなく目黒川を渡ると、赤いラインの各駅停車は地下に潜って目黒に到着する。
少し長めの停車で乗務員が交代する。ひとりボクはホームに残って赤羽岩淵行きを見送るのだ。

東急目黒線 田園調布〜目黒 6.5km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
天使のウィンク / 松田聖子 1985


一酒一肴 三井の寿×博多明太子の天ぷら

2025-02-05 | 日記・エッセイ・コラム

行きつけとは云わないまでも、時折寄せていただく居心地の良い居酒屋。
今月の地酒のラインナップは西高東低、とりわけ福岡の酒が3銘柄ある。
それでは今宵、止まり木に居ながらにして九州へ旅しよう。

“三井の寿” と “庭のうぐいす” は筑紫平野の酒、この蔵は8年前に訪ねたことがある。
西鉄では春先の週末2日間「くらの細道きっぷ」という企画きっぷを発売する。
甘木線乗り放題きっぷでローカル線に揺られ、沿線4つの酒蔵巡りを楽しむ催しで、
春の田園風景を味わいながら、オリジナルのおちょこを持って飲みくらべて巡るのだ。
九州出張中にポスターを目にして、帰京を延ばし、春の筑紫平野を乗って呑んで歩いた思い出がある。

山田錦を醸した “三井の寿 純米吟醸大辛口” は香りは穏やかでキレが冴える超辛口、やはり魚料理が合う?
っで、ぴったりなアテは “博多明太子の天ぷら”、海苔を巻いて揚げた明太子を輪切りにして、
まわりはカラッと中身はジューシー、酒がすすむなかなかの一品です。

ほんと天神か中洲で飲んでる様だね。このあとは “庭のうぐいす”、“若波” と杯を重ねるのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
リ・ボ・ン / 堀ちえみ 1985


等々力渓谷と九品仏とジムハイボールと 東急大井町線を完乗!

2025-02-01 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

轟音を立てて大井町行きの9000系5両編成が多摩川橋梁を渡ってくる。
大井町線は二子玉川〜大井町を結ぶ路線だけれど、田園都市線の複々線化で溝の口まで足を延ばした格好だ。
車両フロントのラインは、路線カラーのオレンジからイエローにグラデーションしている。

人気の街二子玉は、駅の東側にもショッピングセンターが開業して発展著しい。
沿線住民は渋谷まで出なくても、ショッピング、食事、レジャーも高いクオリティで楽しめそうだ。
それでは早速3番ホームに上って、この週末は大井町線に乗って呑む。

まずは二つ目の等々力駅で途中下車、ホームに上がるのに踏切を渡るという、昔ながらの私鉄の駅。

谷沢川が武蔵野台地を深く削って多摩川に流れ落ちる。
その等々力渓谷を観ようと途中下車したけれど、現在は立ち入り禁止なんだね。
仕方なしに「超」が付く高級住宅街を抜けて等々力不動尊へ回り込む。

お不動様に手を合わせたら渓谷の茶屋で一服。わしゃ “抹茶あんみつ” を所望ぢぁ。
前々から甘味にもチャレンジしようと思っていたから、今日はちょっとウォーミングアップ。

6分間隔で各駅停車が行き交う中、ときおり急行が割ってはいる。6000系はスタイリッシュな流線型だ。

さらに二つ進めて九品仏駅、その名前が気になって途中下車。駅舎は踏切にはさまれている。
アルファロメオかな?クラッシックなスポーツカーと赤いコラボレーション。

駅から北へ石畳の参道が延びている。どうやら九品仏浄真寺が駅名の由来だ。
九躰(九品)の阿弥陀佛をご安置しているから「九品仏」なのだそうだ。

龍護殿(本堂)には御本尊の釈迦牟尼仏がこれでもかと云うくらい輝いている。
ちょうどお宮参り?の赤ちゃんと若いご夫婦がご祈願を受けていた。どうかお健やかに。

その一つ先が自由が丘、言わずと知れた「住みたい街」の上位に常連する洗練された街並みだ。
もちろん呑み人とは縁遠い。ん10年前に日吉に通う高校の同級生を訪ねて以来だと思う。

自由が丘を出た9000系5両編成、案外激しくアップダウンを繰り返す。
改めて東京が武蔵野台地の上にあって、幾つもの川が削った谷底が入り組んでいることを実感する。

池上線と交差する旗の台は、7つの商店街を有する下町風情の街。ランドマークの大学病院が聳える。
暮らすには便利そうだし、雰囲気のある酒場もありそうだ。ゆっくり歩いてみたい街だね。

折角なのでアンカーには急行を指名する。終点まではわずかに5分の乗車だ。
熊本藩細川家の下屋敷だった戸越公園を掠め、東海道新幹線を潜るとほどなく大井町に到着、終点だ。

東小路だの平和小路だの横丁には酒場が軒を連ね、夜の帳が下りれば大井町はワンダーランドだ。
でも今宵は横丁に背を向けてイトーヨーカ堂裏の老舗を訪ねる。
まだ16:00過ぎだけど人気店には席待ちの人、でもそこはお一人様だから、カウンターの一席に尻をねじ込む。

ご多分に漏れず、まずは “生ビール”、お通しは申し訳程度の大根とこんにゃくを煮たやつ。
ここのマスターは威勢がいい。何くれと声をかけてくれる。勧められるままに “寒ぶり刺し” を択ぶ。
ちょっと水っぽい、解凍したてか。最近のボクは筆が意地悪だ。でも甘みがあって美味しいね。

二杯目は “ハイサワーハイッピー”、ほんのりビターで爽やかで、たぶん初めて呑む。
でっアテは “生いわし梅天ぷら” これ絶品です。まさに人気店の面目躍如だね。美味しい。
ほんとは日本酒にしたいところだけれど、地酒のラインナップはない。

そして “ジムハイボール”、オリジナルグラスでのサーブされるとなんだか良い気分になる。
この手の酒場のアテには、スコッチよりバーボンが絶対に合うと思う。
もうひと皿は “宇都宮餃子” どこが? でも焼きたてのカリカリが美味しい。ごちそう様です。

さてと、次回は再び蒲田か、あるいは目黒か五反田か。東急線の飲み鉄の旅はまだ続きます。

東急大井町線 二子玉川〜大井町 10.4km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
熱視線 / 安全地帯 1985


Biz-Lunch 口福食彩雲南過橋米線@東池袋「麻婆豆腐あんかけ炒飯」

2025-01-29 | Biz-Lunch60分1本勝負

東池袋に雲南料理の店がある。四川料理系と少数民族の料理からなるらしい。
10年ほど前に視察で昆明を訪問しているのだけど、何を食べたかとんと覚えていない。残念ではある。
本格的な雲南料理は夜訪ねないと分からないかもしれないが、とりあえずはランチをご紹介したい。

最初の訪問では “麻婆豆腐あんかけ炒飯” を択ぶ。
とろみがついた麻婆豆腐はさすがに辛め、雲南は唐辛子と思っていたけれど山椒も効いているね。
炒飯はパラパラに仕上がって、味付けは薄め、麻婆をかけるから丁度いいのかも知れない。
ひと口目は炒飯だけ、二口目は辛々の麻婆をたっぷり絡め、あとはバランスを微妙に変えて美味しい楽しい。

二日と空けない再訪で今度は “担々麺” を。
たっぷりひき肉が入った坦々スープ、赤いものがチラホラ見える。唐辛子だね。
空芯菜とたっぷりの白髪ネギが嬉しい。っと辛いんだけど、スープを啜れないわけではない。
ちょっと咳き込んだけど。この微妙な加減が美味しく感じるのかも知れない。

ホールスタッフは皆あちらの方、当然に厨房もオーナーもそうなのでしょうね。
味付け全般が日本人の味覚に媚びていないというか、たぶんありのままの味なのかな。
なんだか癖になりそうな美味しさというか、味付けですね。

さて次回は、店名にある通り “米線” を食べてみようか。どうやら既に術中にはまっている様だ。
ここらでオフィスに戻ります。ごちそう様でした。

<40年前に街で流れたJ-POP>
二人だけのセレモニー / 岡田有希子 1985


桜みくじと昭和な暮らしとおつかれちゃん鳥万と 東急多摩川線を完乗!

2025-01-25 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

多摩川駅の地下ホームから這い出てきたのは「いけたまハッピートレイン」の3両編成。
池上線のラインカラー「ピンク」と、多摩川線の「えんじ」を大小さまざまな水玉模様で表現して、
「見るだけでワクワクしハッピーになってほしい」という願いをこめてのデザインだそうだ。

振り返ると小高い丘があって、木花咲耶姫命をお祀りする多摩川浅間神社が鎮座する。
初詣の時季を経て「桜みくじ」を結ぶくるまが、それこそ満開の桜のように華やかになっている。

この神社は多摩川を見下ろし、丹沢の山々から富士山まで見渡すことができる。
最近では映画「シン・ゴジラ」で、ゴジラの首都侵略を阻止する多摩川絶対防衛ラインを守る
「タバ作戦」の自衛隊前衛指揮所が置かれたという。ある意味ここはゴジラの聖地でもある。

東急多摩川線の短い旅は多摩川駅の地下ホームから始まる。
かつて目蒲線として親しまれた路線は、東京メトロとの直通運転と東横線複々線化事業により
目黒線と多摩川線に分断された。そしてこの駅では多摩川線だけ地下でひとりぼっちなのだ。

多摩川駅を発った電車はまず沼部駅に停車する。どのみち短い旅だからと降りてしまう。
古いレールと木材を組み合わせたホームの柱、屋根、壁は、東京に居ながらにして、ローカル線の旅情を醸す。

沼部駅のすぐ先では、東海道新幹線が多摩川線を跨ぎ、その勢いで多摩川を越えていく。
駅から高台への坂道を登る。さらに東海道新幹線を越えるのが美富士橋、きっと富士見の名所なのだろう。
のぞみ号の赤いテールランプが次から次に西へと流れて行く。

Googieマップの青い光点を眺めていたら、面白そうなのを見つけた。
下丸子駅から歩いて7〜8分「昭和のくらし博物館」は週末だけ開館している。
昭和26年建築の庶民の住宅(旧小泉家住宅)を家財道具ごと保存した小さな博物館がおもしろい。

狭い台所、ちゃぶ台、コタツ、子ども部屋、ボクの世代には共感できるものがある。
鏡台とか足踏みミシンとか、たぶん母親の嫁入り道具だと思うけれど、我が家にもあったなぁ。

先を急ごう。多摩川線は古参(といってもアラフォーだが)の1000系を中心に運用している。
赤のライン、緑のライン、ピンク×エンジ、と化粧のパターンがいくつかあって、華やかだ。
そして流線型の7000系が変化球として投げ込まれる。撮り鉄を目的とするなら、面白い路線だと思う。

木造モルタルでトタン屋根、隣接する踏切がカンカン鳴って、野口五郎の「私鉄沿線」というか
そんな昭和な駅舎を、まだ低空飛行の冬の陽が陰影をつくってノスタルジーを強調する。

規模の大小はあるけれど、どの駅に降りても商店街がある。
武蔵新田駅を降りて周囲をうろうろしていたら、珍しい量り売りの酒屋を見つけた。
店内にタンクを置いて生原酒を提供している。オリジナルボトルも用意して、なかなか楽しいお店だ。

すっかり陽は落ちた。
グリーンを引いた1000系車両は、緩やかなカーブで環八を越えると、ラスト1000mの直線を駆ける。
さらに左から池上線の複線が近づいて来て、頭端式ホームの蒲田駅に並んでゴールテープを切るのだ。

蒲田駅は東急プラザの2階にホームを持っていて駅舎としての姿はない。
それでもビルの1階部分をアーチ状にして、ターミナル感を演出しているセンスが良いね。

一番街すずらん通りに紛れ込んで、老舗の大衆酒場を訪ねる。
ボクの前に6名グループの席待ち、この時間じゃ入れないよ、この手のお店。
それに男性陣はノリノリだけど、女の子2人は「もっとキレイなお店の方が•••」言いたげ出し。
それでは、おひとり様なので、先に行かせてもらいます。お言葉に甘えて。

冷えた “スーパードライ” をグラスに注ぐ。大瓶が490円也、この値段はこの店の看板でもある。
白板に好物の “まぐろぶつ” を見つけたから、アテはこれから始めよう。

御同輩がずらりと並んだカウンター、一人ひとりのテリトリーは網のようなモノで狭く仕切られて、
まるで養鶏場のトリの様にして呑んでいる自分が笑える。
ずらっと貼られた短冊は、どれも300〜400円台と何を択んでも財布には優しい。

次なる一品は “なすみそ炒め”、味の濃ぉい一品だから2杯目はサッパリと “レモンサワー” を注文。
別に “カットレモン” を求めてジョッキーに沈める。こうでないと決まりが悪い。
店員さんに愛想はないけれど、ジョッキーの『おつかれちゃん』には癒されるなぁ。

ちょっと呑み足りずに3杯目の “ウイスキーハイボール” を。ここのはブラックニッカ。
もう一品は “厚揚煮おろし”、また濃口を択んじゃったけど、ハイボールとは案外いい相性だと思う。

ここまでの会計は小2枚、せんべろとは言えないけれど、なかなかのコストパフォーマンスだ。
始めてしまった2巡目の東急電鉄線の呑み鉄旅。
お洒落な街々を繋ぐイメージの東急線だけど、蒲田、大井町、五反田などディープな街も控えている。
どんな店の暖簾をくぐるのか、楽しみな数ヶ月ではある。ごちそうさまです。

東急多摩川線 多摩川〜蒲田 5.6km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
Romanticが止まらない / C-C-B 1985


駅そば日記 高幡そば@明大前「鶏天田舎そば」

2025-01-22 | 旅のアクセント

やや黒ずんで太めの田舎そば、惜しげもなく揚げ玉をかけて、ゴロッと大きめの鶏肉が見え隠れ、
刻みネギ、刻み海苔、三つ葉をたっぷり散らす。鶏天をふたつのせたら “鶏天田舎そば” が着丼する。

温かい丼を両つの掌で包んで出汁を口に含んでみる。コクがあって旨い。
箸を割って太めの麺を大掴みしてズズッと啜ったら、もう止まらない。
カラッと揚がった鶏天を齧る、サクサクとして美味しい。もう一つは出汁を吸わせて味変を待とう。

京王もたった2店舗だけど、改札内に立ち喰いそば店「高幡そば」を運営している。
一つはその名の通り高幡不動駅に、もう一つがここ明大前駅に在る。

“鶏天田舎そば” が美味しくボリューミーでお勧めですが、“鳥中華” っていうのが代表的メニューみたい。
麺は中華麺、スープはそばつゆベースのラーメンは、しばしば新聞や雑誌にも取り上げられていますね。
山形県のB級グルメというこのメニューを次回は試してみたいと思う。

<40年前に街で流れたJ-POP>
飾りじゃないのよ涙は / 中森明菜 1984