オバマ大統領が現職のアメリカの大統領として初めて被爆地、
広島を訪れることについて、ニューヨークでは、
訪問に肯定的な意見が多く聞かれましたが、
謝罪すべきかどうかについては意見が分かれました。
40代の女性は、
「核兵器を初めて使ったアメリカの大統領が
広島を訪問することはすばらしいことで、
そうすべき時が来たのだと思う。
戦争の経験がない若い世代に原爆がもたらした被害と
苦しみを知らせることにつながる」
NPOで働く20代の男性は、
「アメリカ人にとって広島を訪れることは重要だ。
軍事力によって何をすべきで何をすべきでないかを
考える助けになると思うからだ。
原爆で多くの無実の人々を殺害したことについて
アメリカは謝罪すべきだと私は考えている。
地球上に核兵器はあるべきものではなく、
大統領が訴える核兵器の廃絶を支持する」
南部ノースカロライナ州の元広告会社社員の60代の男性は、
「原爆投下は恐ろしい出来事だったが、
オバマ大統領が2度と起こさないと
願う熱意を示すことができればいい。
大統領が謝罪すべきだとは思わないが、
原爆で苦しんだ人々にお悔やみの気持ちは示すべきだ」
捕虜になった元米兵「謝罪してほしくない」
旧日本軍の捕虜となった元アメリカ兵たちでつくる団体の
元会長のレスター・テニーさん(96)は、
「大統領には、戦争により日米双方で
多くの命が失われたことは認識してもらいたいが、
歴史的な出来事に哀悼の意はささげても
謝罪はしてもらいたくない」
テニーさんは、自身もフィリピンで捕虜になり、
アメリカ兵に多数の死者が出た
とされるいわゆる「バターン 死の行進」を経験し、
その後、日本で強制労働を強いられたということで、
広島訪問を巡り先月、オバマ大統領に書簡を出し、
捕虜たちが経験した苦しみを訴えていました。
今回、広島への訪問が決まったことについてテニーさんは
「元捕虜にとっての問題は訪問そのものではなく大統領が何を言うかだ。
広島と長崎があったから第2次世界戦争が終結したのであり、
戦争を終結させたことに対して
どうして謝罪する必要があるのだろうか」と話しています。
そのうえで、オバマ大統領が日本を訪問する際には
アメリカ兵の元捕虜の慰霊碑も訪れてもらいたいとしています。
「バターン 死の行進」
アメリカの司令官はマッカーサーです。
アメリカ軍はコレヒドール要塞に立て篭もっていましたが、
状況は不利になり、マッカーサーは部下を置いてトンズラしています。
残った部下たちは餓死するかマラリアなどの病気で死ぬしかありません。
そして日本軍に投降しました。
日本側はアメリカ軍捕虜2万5千と見積もっていましたが、
7万5千が投降してきたのです。捕虜に与える食糧も不足しており、
捕虜収容所へ輸送するトラックも不足しており、
マリベレスからサンフェルナンドの区間88キロを、
捕虜の半数以上が徒歩で行進することになりました。
これが死の行進というプロパガンダに使われたのです。
この距離なら、だいたい3日もあれば歩けます。
しかし、衰弱していた人やマラリアにかかった捕虜が途中で亡くなりました。