本当はこういうのは公式の年間チャートが出てからやりたかったのですが、
なかなか出ないので諦めました。
2021年度の週間UKチャートがすべて終了!!
早速難しい話ですが、1年の音楽のヒットを正確にまとめられる指標はないと思います。
Spotifyの年間再生ランキング、YouTubeの年間総再生回数、ビルボードの年間チャートなど、まとめ系のものはたくさんありますが、
Spotifyに曲を解禁していない人が売れたり、集計期間の都合でランキングで不利になったりと、どれにも何かしら粗があります。
しかし自分はそんな中でも何かしらまとめたいと思ってしまうわけで、「1種のまとめ指標」としてこれにたどり着きました。
No.1分析!単純で分かりやすいはず!
・シングル
<週>
1年のNo.1をまとめる際は、「週」と「曲数」の2つの観点から見ます(主観)。まずその「週」ですが、上は2021年の52週(1年分)の週間チャート1位をジャンル別で見て時系列にしたものです。視覚的に見て、ポップが圧倒していることが分かりますね。年はじめから1位を維持し、一旦春にヒップホップにその座を譲りましたが、夏に盛り返してそれからずっと1位を独占しました。etc.はホリデー(クリスマス)で、クリスマスの影響を除くと最後の4週もポップが首位を独走していたことになります(アデル or GAYLE により)。イギリスのNo.1分析は初めてなので正確に過去と比較はできないのですが、それにしてもポップ勢強い!首位獲得総週はポップ:38週、ロック:0週、カントリー:0週、R&B:0週、ラップ:8週、EDM:2週、etc.:4週。ポップは2番目に強かったラップの約5倍でした。図にすると下のような感じです。
ロック/カントリーの1位がないのは不思議ではなく、R&Bもたまに1位にたどり着く程度なので1位曲ゼロの年も違和感はないのですが、2021年はEDMが弱かった!EDM大国イギリスですが、例年と比べて特に後期、直感的に控えめだった印象があります。2020年大ブレイクしたジョエル・コリーやメデューサ、その他新人DJたちの勢いもあったのですが、それらのヒットは比較的首位付近から遠かった印象のある2021年です。なお、EDMで2週分1位をとったネイサン・エヴァンスの Wellerman ( Sea Shanty ) ( 220KID & Billen Ted Remix ) ですが、これはネイサン・エヴァンスが歌手としてデビューする前にヒットしたものなので、曲調でジャンルをEDMに分けました。ネイサン・エヴァンスがどのようなアーティストとしてデビューしたのかは分かりませんが、ポップ・シンガー路線だったならアーティスト的にはこの2週もポップ・アーティストの首位獲得部分になりますね。
アーティストによる分析を加えると、全52週のうち19週(36%!)がエド・シーラン参加曲の首位で、重複なしにオリヴィア・ロドリゴも14週(26%)首位を記録しています。合わせて62%、2人のポップ・シンガーがUKチャートを占めていた…。詳しくは下記参照ですが、ポップは他にもリトル・ミックスやエルトン・ジョン、デュア・リパ、そしてアデルも首位をとっているので、ポップ勢の圧倒は決して上の2人だけの影響ではないといえます。いや~、アメリカとは全然違うから、UKチャートを見ていた甲斐があったと思える。
<曲数>
2021年、イギリスで1位を獲得した曲は全部で12曲。順番に、
- リトル・ミックス / Sweet Melody (1週)
- オリヴィア・ロドリゴ / drivers license (9)
- ネイサン・エヴァンス / Wellerman ( Sea Shanty ) ( 220KID & Billen Ted Remix ) (2)
- リル・ナズ・X / Montero ( Call Me By Your Name ) (5)
- ション・ウェイン & ラス・ミリオンズ / Body (3)
- オリヴィア・ロドリゴ / good 4 u (5)
- エド・シーラン / Bad Habits (11)
- エド・シーラン / Shivers (4)
- エルトン・ジョン × デュア・リパ / Cold Heart ( PNAU Remix ) (1)
- アデル / Easy On Me (7)
- エルトン・ジョン & エド・シーラン / Merry Christmas (3)
- LADBABY / Sousage Rolls For Everyone feat. エド・シーラン & エルトン・ジョン (1)
まず、曲数は普通だと思います。多すぎず、少なすぎない。エド・シーランがずっと首位をキープしていた頃は「今年UKチャート入れ替わりなさすぎ!大丈夫か?」と思っていましたが、無事その後何回か入れ替わりが起こりました。とはいえ、Shivers の次の Cold Heart はエドが1位に押し上げようとした経緯がありますし、それ以降の Merry Christmas と Sousage Rolls For Everyone にはしっかり本人が参加しているので、2021年後期の首位はほとんどエドが独占していたようなものです。…恐ろしい。一方前期はまあまあ多くのアーティストが1位をとりました。上の中で初の首位獲得は 6/13人。これもまあちょうどいい割合のような気がします。
ジャンル分けするとポップ・ソングが7曲(58%)、ラップ・ソングが2曲(16%)、EDMが1曲(8%)、ホリデー・ソングが2曲(16%)。こうしてもポップ勢の強さが浮き出ますね。ちなみに、これらは全体数が年によって異なるので年ごとの比較が少ししにくいです。分かりやすい比較ができるのは、首位獲得曲数そのものくらい?
また、ここでは主観により「ジャンル」による解析しかしていませんが、「国」や「形態」、「キャリア」等でも調べることができると思います。…まあ面倒だし興味が薄いのでやらないわけですが。
・アルバム
「週」
アルバム・チャートはシングル・チャートとは違い首位が頻繁に変わるので、時系列では上のようにジグザグになります。そのため少し見にくいですが、とりあえずポップ:20、ロック:23、カントリー:2、ラップ:7週となっています。よって一番強かったのはロック!!毎週記録していたので直感的にもそうだろうなと思っていましたが、こうして見ると2021年イギリスではロックも熱かったのだと確認できます。主に前期ですね、毎週のようにロック・アルバムが1位を勝ち取っていました!後期はやや控えめで5週ぐらいですが、エド、エルトン、アデルらのリリースもあって代わりにポップ勢が復讐(?)しています。47週目ぐらいからはずっとアデルですね。これもまた過去にこのようなことをしてこなかったので比較は不可能ですが、少なくとも2019年以前はこんなにロックが強くなかったと思います。…何でだろう?
シングルの方ではゼロだったロック/カントリーが、アルバムでは1位をとれています。ただ、ここで注意してほしいのはカントリーの2週で、これはどちらもテイラー・スウィフトの過去作再録版(『フィアレス』、『レッド』)です。したがって、原盤のチャート最高位は忘れましたが、完全新作としてのカントリー・アルバムの1位はない、といえます。そもそもイギリスではカントリー・ミュージックが流行っておらず、アメリカで爆発的に売れたモーガン・ウォーレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』もチャート・インすらしていません。イギリスで売れたカントリー・アーティストといえば21世紀ではテイラー・スウィフトくらいしか分からず、言い換えればそれくらいテイラーがすごく、特殊だということになります。そのテイラーも2014年のアルバムで完全にポップへとジャンル移行したので、イギリスではますます売れるようになったということですね。…多分。
その他R&B/EDMアルバムが1位をとるのはほとんど見ないので、違和感はないです。R&Bは最近だと2020年のザ・ウィークエンド『アフター・アワーズ』くらい…?といった感じ。ラップも多分こんなものなんじゃないでしょうか?2018年はラップ勢がイギリスでも強かった印象ですが、それもかなり収まってきたので。
「作品数」
2021年にUKアルバム・チャートで1位をとったアルバムは計41作。そのうちオリヴィア・ロドリゴ『サワー』とアデル『30』が5週、エド・シーラン『=』とデイヴ『ウィーアー・オール・アローン・イン・ディス・トゥゲザー』、ドレイク『サーティファイド・ラヴァ―・ボーイ』が2週首位を記録しています。なお、2021年に新しく1位をとったアルバム、という条件を加えると1週目のテイラー・スウィフト『エヴァ―モア』が消えて計40作になります。
単刀直入に言って41作が多いのか少ないのかまったく分かりません。ただ思ったのはデイヴすごい!ということで、彼はブリティッシュ・ラッパーなのですが、ブリティッシュ・ラッパーのアルバムがチャートで2週以上首位を記録するのは稀です。ほかにもKSIやスロータイといったUKラッパーがアルバム1位をとったので、皮肉ではないですがいわゆる「地元ラッパー」も順調だった年だと考えられます。1位には届きませんでしたがセントラル・シーやDIGGA D、ション・ウェインなどもいい成績を残しましたしね。
→サマリー
・シングル・・・ポップ・ミュージックが圧倒!
・アルバム・・・ロック・ミュージックが大盛況!