オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

ためしに2019年のデータでジャンル別に年間上位平均占有率を求めてみる

2022-08-09 | チャート解析

 

新人カントリー・バンド、パーマリーの "Take My Name"

メロディこそベタで、サビはどこかで聴いたことがあるような感じ。

だけど、だからこそ聴きやすくて、耳に残るものがある。

2分半という尺の短さは、もはやカントリー・ソングでも珍しくなくなってきた。

世にも珍しい展開の速いウェディング・ソングだけど、展開が速いっていうのも一つの魅力なんだろうなあ、と思う。💍

 


 

上位占有率は、ここではTop10の占有率を意味することにします。

年間(52週)のジャンル別(5つ)Top10平均占有率を出してみました。

ただ、面倒だったので2019年オンリーです。

他の年も調べれば比較ができて素晴らしいのですが、とにかく面倒でした。

なので、長く記事投稿をさぼった割に内容の薄い記事になるかもしれません。というか、なります。

まあ、でも2017年から全部やってくと、記事としても無駄に長くて読みづらくはなるでしょう。

これ以降2017年度版、2018年度版とやっていくかどうかは微妙ですが、とりあえず細分化の試みです。

よく分からないところは飛ばして、気軽に読んでみてください。

 

<2019年>

 まず、なぜ2019年なのかというと、チャートに例外的な記録を残してしまう大規模なチャート・アクションが少なかったからです。Top10の占有率を求めるうえでこれはけっこう重要で、そのようなチャート・アクションはラッパーが起こしやすいのですが、1週だけヒップホップの占有率がずば抜けていたりすると、平均を出すうえではそれは平均値の精度を落とします。また、そのようなチャート・アクションが多い年だと、その分正確に上位のジャンルシェアが測れなくなる危険性があります。なので、それが年に2回しか起こらなかった2019年を選びました(関連記事の2つ目の表も参照)。ジャンルは、ポップ、ロック、カントリー、R&B、ヒップホップの5つ。簡単な作業なので洋楽にちょっと詳しい人なら1時間以内にできてしまうレベルの分析ですが、自分もそれをやってみました。

 

1.ポップ

 2018年はヒップホップがチャートを支配した年でしたが、2019年はそこからのポップ勢の復活の年、といった位置づけをしています(主観)。なので、ヒップホップ vs ポップ がいい感じになるのでは?と思っていたら、本当にいい感じになりました これについては、後で詳述します。グラフは、縦軸が占有率(Top10ランクイン曲数)で、横軸が週(時間軸)です。

 

平均占有率:3.865

 他の年と比較ができないのでこの数字が高いのかどうかは判断しがたいところがあるかもしれませんが、グラフからも分かるようにほとんどの週で占有率が3割を上回っています。最後の方、12月はクリスマス・ソングの台頭があるので一旦は2割以下になっていますが、それ以外は基本Top10に3曲以上、ポップ・ソングがランクイン。これは、マルーン5やビービー・レクサくらいしかTop10に入っていなかった時期があった2018年よりは、100%いい成績だといえます。具体的にはエイバ・マックス、ビリー・アイリッシュ、ルイス・キャパルディら新人アーティストの活躍と、アリアナ・グランデ、エド・シーラン、テイラー・スウィフトといったスターのアルバム・リリースが効いています。6曲がランクインした17~20週目にそれが顕著に表れてましたね。

 

2.ロック

 まあ、残念ながら少数派であるロックは調べなくてもよかったかもしれませんが、後に他の年の平均も求めたくなったとき、比べられるのは便利なので一応調べました。いや~、比較って大切...めんどくさがるのはよくないですね。

 

平均占有率:0.134

 案の定1は上回らず。1を上回れば、Top10に毎週1曲はそのジャンルの曲がランクインしている、というようなイメージができることになり、そのジャンルは安定して上位のシェアを保てているという解釈ができますが、2019年のロックはそれとは程遠かったよう。そもそも Hot100 全体でヒットしたのが、前年からのヒットの続き(余波)2曲、2019年に初めてヒットした曲2曲。前者はパニック!アット・ザ・ディスコ "High Hopes" とイマジン・ドラゴンズ "Natural" で、グラフの「1」は "High Hopes" の前年からのなごりです。後者はパニック!アット・ザ・ディスコ "Hey Look Ma, I Made It" と イマジン・ドラゴンズ "Bad Liar" で、この2グループしかヒットを出せないまさにロック瀕死状態の年でした(2020年にさらに悪化してしまうわけですが...)。ちなみに Hot100 に1週でもランクインした曲、というカテゴリに拡張しても、加わるのは当時13年振りに再始動したトゥールの新曲 "Fear Inoculum"、リミックスのコラボ相手がすごいファイヴ・フィンガー・デス・パンチ "Blue On Black (Remix) feat. ブラントリー・ギルバート、ケニー・ウェイン・シェパード & ブライアン・メイ" の2つのみ。しかも両方訳ありで、逆に言えば訳がなければチャート・インすら難しかったということです。

 

3.カントリー

 カントリーもそもそもヒット・チャートの上位の上位にはなかなか現れないジャンルですから、Top10占有率を調べる意味はあまりないかもしれません。ただ、最近では従来のカントリー・スターのとってきたチャート・アクションの型を完全に壊してしまったモーガン・ウォーレンという人がいるので、そのすごさを数字で表す際に過去のデータも必要になってくるでしょう。💻

 

(すみません、作成のミスで1,2週分ずれてしまいました。そのせいで54週目まであります。)

平均占有率:0.153

 前述のとおりそもそもTop10にカントリー・ソングが上がってくること自体が超珍しいことなので、1曲あるだけでも目を引きます。ビービー・レクサの "Meant To Be feat. フロリダ・ジョージア・ライン" はメインがポップ・シンガーなので、それを除くと2018年はTop10に入ったカントリー・ソングは1曲もありませんでした。それに対し2019年は1曲あり、それはダン + シェイの "10,000 Hours with ジャスティン・ビーバー" で、これもポップ・シンガーの力を借りたようなヒットです。もちろん "Glad You Exist" 等ダン+シェイさんの曲は好きで、軽蔑するつもりは一切ありませんが、Top10レベルのヒットになったのはやっぱりゲストの力なんだろうな、と。あと、"10,000 Hours" は2020年がピークなので、どうしても2019年のヒットというイメージがつかず、ちょっと忘れそうになりますね。2019年、唯一のTop10入りカントリー・ヒットなんだから覚えやすいはずなのですが。

 

4.R&B

 直感的には、R&Bは年によって気まぐれ、というようなイメージ。ある年はすごい栄えるけど、ある年は全然表に出てこない、という風に。これも過去の記事でよく言っていることですが、R&Bは続く人と続かない人の2極化もありますね。1発出たはいいものの、それで終わる人と、それをきっかけにどんどん売れていく人と。

 

平均占有率:0.846

 カリードの "Talk" とクリス・ブラウンの "No Guidance feat. ドレイク" が大ヒットしたことでこんなグラフになりましたが、トータルの平均では1を上回りませんでした。カリードがTop10に進出するまでの3か月ほど(1~3月)はゼロなので、それが効きましたね。どちらもロング・ヒットでしたが、理想である平均占有率1越えは達成できませんでした。"Talk" はR&Bに縁がない人でも楽しめる聴きやすい曲で私も好きですが、"No Guidance" はやや玄人好みといった感じのR&Bソング。クリス・ブラウンは全然聴いてこなかったのですが、2017年の『ハートブレイク・オン・ア・フル・ムーン』収録曲、2019年上旬にリリースされた "Undecided" からけっこう明るい、陽気な曲をリリースする印象を持っていました。しかし、"No Guidance" は全体的にダークで、クリス・ブラウンがリード・アーティストなのにゲストのドレイクが曲全体の舵を切っている感じ。ドレイクの方は暗いムードの曲も多いですからね。

 

5.ヒップホップ

 勢力が弱まった、という印象の年。そもそも2018年がやりすぎだったんですけどね。それでも新人ラッパーは次々に出てきて、ヒットを飛ばしていきました。2019年デビューのラッパーは、その年限り、というタイプの人があまりいなかった気がします。少なくとも2020年までは多くが勢力を保っていて。2016年デビューのラッパーを追ってみた記事を書きましたが、数年後に2019年版を書くのも面白そう。🚬

 

平均占有率:3.769

 ギリギリでポップに負けた!!すごくいい勝負でした。ヒップホップの場合はあちらこちらでTop10ランクイン曲数が2曲以下の週が見られますが、一方で5曲以上とTop10の半分を占めていた時期もありますね。グラフでは数字が表示されていませんが、2019年は第6週がアリアナ・グランデ、第36週がポスト・マローンの大規模チャート・アクション週です。第36週あたりから、かなり威勢がよくなっていますね。リル・ナズ・X、ポスト・マローン、リゾの3人がこの年を代表するラッパーで、高い占有率にも貢献しました。ジャンル全体としての勢力が弱まったとはいえ、まだまだ強い状態だったことがうかがえます。楽しい結果だった!

 

サマリー

 2019年のジャンル別Top10平均占有率は、ポップが1位!

 


 

EDMについてもやるつもりだったんだけど、

単純にエネルギーが切れた...。

まあ、EDMも少数派になってきたから、別にいいかな...?

イギリスだったら絶対無視できないジャンルだけど。

🦀 読んでくださった方、ありがとうございました! 🦀

 



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