オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

チャート・レビュー UKチャート 2022年1月27日付

2022-01-24 | チャート・レビュー (UK)

 

ウォンバッツ?

聞いたことあるようなないような…

今週、初めてアルバム・チャート首位を獲得したバンドですが、調べたらキャリアはかなりある方々でした。

 


 

  title artist
1 We Don't Talk About Bruno Encanto
2 abcdefu Gayle
3 Easy On Me Adele
4 Peru Fireboy DML, Ed Sheeran
5 Surface Pressure Encanto
6 Seventeen Going Under Sam Fender
7 Fingers Crossed Lauren Spencer-Smith
8 Overseas D-Block Europe, Central Cee
9 Coming For You Switchotr, A1 & J1
10 Flowers ( Say My Name ) ARRDEE

 

 なんとサントラが1位!サントラがイギリスで1位をとるのは初めて見ました。サントラの大ヒットといえば、2018年の『ザ・グレイテスト・ショーマン』が思い浮かびます。それの主題歌でキアラ・セトルの This Is Me も全英3位の大ヒットを記録しましたが、1位には届きませんでした。有名な歌手が歌っているのならともかく、歌手というより俳優の人々が歌っているミュージカル・ソングなので、この1位は何かと貴重な気がします。去年、ネイサン・エヴァンスという宅配業者が Wellerman カバーで1位をとりましたが、本来は本業が歌手ではない人が1位をとるのは稀そうですからね。

 We Don't Talk About Bruno (邦題:秘密のブルーノ)の1位上昇で、先週初めて1位をとったゲイルの abcdefu は早くも後退してしまいました。上昇のスピードは2019年に11週首位を独走したトーンズ・アンド・アイ Dance Monkey に匹敵するほどだったので同じような感じになるかなと思っていましたが、サントラの方が強かったようです。首位の入れ替わりが少ない最近のUKチャートですが、巻き返せるでしょうか??

 アデル Easy On Me は結局計8週で1位記録を終えてしまいましたね。とはいえ、大記録です。アデルの歴史で比較するとたいしたことない、となってしまうのかもしれませんが大記録です。アルバムの方も5週連続1位と、相変わらずの人気をチャートがしっかり証明しました。

 そしてすごいのがサム・フェンダー Seventeen Going Under 。2022年初のチャートではこれまでの最高位を大きく更新して3位を記録!『ハイパーソニック・ミサイル』で2019年に堂々とUKチャート1位を獲得し、その名を知らしめたサムさんですが、シングルの大きなヒットは今回が初です。この曲が収録されたセカンド・アルバム『セヴンティーン・ゴーイング・アンダー』も、シングルのヒットに比例して前作以上に売れているみたいですね。もちろんUK1位獲得済みです。

 Top10の下の方にはUKラッパー勢が駐在。そこそこ前からラップ・シーンの前線にいたヒップホップ・デュオ、Dブロック・ヨーロッパと去年大ブレイクしたセントラル・シーのコラボはラップ・ファンからすれば熱いモノだと思うので、ヒットは必然なのかもしれません。ARRDEEも去年ブレイクしたラッパーで、Flowers ( Say My Name ) はけっこう長く上位をキープできている曲。それで気になって聴いてみましたが、正直勧められるものではないなあ…という感想です。激しいタイプのラップ・ソングで、音がちょっと汚い…。少なくとも万人向けとはいえないでしょう。

 

  title artist
11 Where Are You Now Lost Frequencies, Calum Scott
12 Sacrifice The Weeknd
13 Do It To It Acraze, Cherish
14 Overpass Graffiti Ed Sheeran
15 The Family Madrigal Encanto
16 Shivers Ed Sheeran
17 Make Me Feel Good Belters Only, Jazzy
18 Oh My God Adele
19 Down Under Luude, Colin Hay
20 Enemy Imagine Dragons, JID

 

 知らない名前多い!UKチャートは今年もたくさんのアーティストをメジャーデビューさせてくれそうですね。11位のロスト・フレクエンシーズ Where Are You Now はグローバル・チャートでも強いので全米総合チャート入りも近いかもしれません。ちなみにゲストの Calum Scott は3~4年前に You Are The Reason という曲がヒットしていた記憶があるので、この人は既得権益ですね。

 そして13位の曲!読み方はたぶんですが、アクレイズさんの Do It To It は特徴的です。バリバリのEDMソングで、歌う曲というより踊る曲ですね。アメリカの4人組女性グループ Cherish(チェリッシュ)の2006年のヒット Do It To It feat. Sean P のEDMリミックス曲で、アクレイズさんはこれがキャリア初のヒットとなります。現在のDJが過去の曲をEDM版にアレンジしたリミックスを出し、それが TikTok で爆発するケースがここのところ定期的に見られます。思いつくところで、DJリガード Ride It. (2019)、サーフ・メサ ily ( I Love You Baby ) feat. エミリー (2020)、HVME の Goosebumps (2021) がそれに該当するでしょう(セイント・ジョンの Roses はやや微妙なケースなので除外)。

 エド・シーランとアデルはそれぞれ3曲目と2曲目が来ていますね。先述したニュー・ネームたちのヒットに交じってどの程度のパフォーマンスを発揮できるか、といったところです。あ、でも、Overpass Graffiti の方はピークを過ぎた疑惑があるのでちょっと微妙かも…。

 1位、5位、15位に「ミラベルと魔法だらけの家」のサントラがランクインしていますが、これにも「スリー・ソングス・ルール」が適用されていることに感心します。「エンカント・キャスト」として、サントラアルバム『ミラベルと魔法だらけの家』に収録されたサントラはすべて同じアーティストによるものとしてくれたのでしょう。アルバム自体も大売れしているはずなので、ルールがなかったらチャートにはもっと多くの「ミラベルと魔法だらけの家」のサントラがあったように思います。

 最後、イマジン・ドラゴンズ!何の映画かは忘れましたがこの Enemy もサントラです。JIDさんはこれで初めて聴いたラッパーですが、エミネムにも匹敵しそうな超高速ラップで魅せてくれました。世界的にヒット中の Enemy ですが、イギリス受けが比較的いまいちなイマジン・ドラゴンズがTop20入りしているあたりすごい可能性を秘めている気がします。ロック・サウンドでは最近苦しい感じの曲が多かったイマジン・ドラゴンズ、力強いダン・レイノルズの歌声がまた聴けてよかった!



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