オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

チャート・レビュー UKチャート 2023年11月9日付

2023-11-06 | チャート・レビュー (UK)

 

チャートを見始めたときは、もちろんすでに売れている人がたくさんいるわけで、それはそれでいいんだけど、

やっぱり彼らが自分の時代にも継続的に売れ続けるのを見るより、

新たな「スター誕生」を見る方が楽しい。

これから輝かしいキャリアを歩んでいくと思われる人の、成功の歴史を一から追える感じ。

だから、自分がデビューを見た人たちが、少しでも多く後世に名を残す成功者になってほしい。

 


 

チャートの集計期間:2023年10月27日~11月2日

注目ポイントが、2つ。

 集計期間内に、ハロウィンがありました。最新曲では、サブリナ・カーペンターさんがそれに合わせた "Feather" のホラーなMVを公開したほか、ハロウィンに合わせた何かはありませんでしたが、オリヴィア・ロドリゴさんの "Vampire" もタイトル的に再上昇しそうな気がします。

 テイラー・スウィフトが『1989』の再録版(テイラーズ・ヴァージョン)をリリースしました。リリース初週のセールスの数字が驚異的だとかで、すでにニュースになっています。収録曲がチャートに多数ランクインする可能性がありますが、UKチャートは同じアーティストの曲は上位3曲までしか表示させないというルール(詳細)があるので、どの3曲が入るか...。また、UKチャートでは先週、彼女の最近のヒット曲 "Cruel Summer" が3位まで上がってきていたので、それが『1989』収録曲に負けて急にチャート上から消えてしまうのかどうかにも注目です。

 

  title artist  genre
1 Is It Over Now? Taylor Swift Pop
2 Now That We Don't Talk Taylor Swift Pop
3 PRADA Casso, Raye, D-Block Europe EDM
4 Strangers Kenya Grace Pop
5 Slut! Taylor Swift Pop
6 Greedy Tate Mcrae Pop
7 Water Tyla Afrobeats
8 BADDADAN Chase & Status, Bou, IRAH, Flowdan, Trigga, Takura EDM
9 Asking Sonny Fodera, MK, Clementine Douglas EDM
10 Stick Season Noah Kahan Rock

 

(コメント)

#1> 早速『1989』再録版収録曲がランクイン!"Is It Over Now?" という曲が初登場1位です!テイラーさんはやはり今週いろいろすごいことになっていますが、まずは1位について考えてみましょう。アメリカでは新曲がバンバン1位をとっている彼女ですが、イギリスではこれはまだ3例目(意外)。アルバム・チャートでの功績(後述します)とは裏腹に、シングルはあの「ユー・ビロング・ウィズ・ミー」も「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない」も「シェイク・イット・オフ ~気にしてなんかいられないっ!~ 」も「カーディガン」も「ウィロー」も、1位をとれていません。6年前の「ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥ ~私にこんなマネ、させるなんて~」が初で、去年の、これまた記録的だった「アンチ・ヒーロー」が2例目。そして今回で3例目で、再録版からの曲が1位をとったのは初めてです。2年前の、グラミーにもノミネートされた「オール・トゥー・ウェル(テン・ミニッツ・ヴァージョン)」でさえイギリスは3位でしたからね、意外とイギリスでは弱かったテイラーさんです。まあ、過去形ですが。🌳

 

#2> 2位も再録版『1989』の曲。これまでの感じから、再録版をリリースしたときは何となく(毎回再録版に収録されている)未発表曲やボーナストラックが上位にランクインしやすいイメージがあったのですが、それは今回もその通りで、今週の1、2、5位すべて未発表曲でした。「ブランク・スペース」等の大ヒット曲を新たなバージョンで聴くのもいいけど、やはりファンはまだ聴いたことのない曲をより求めるのでしょう。これら再録版の未発表曲(「フロム・ザ・ヴォールト」という)は、未だ上位でロングヒットした事例がありませんが、今回はこれだけ大規模にチャート・アクションが起きているので、どれか一つは残るかもしれません。📆

 

#3> DJ、Cassoさんの "PRADA" がここでテイラーTop3独占を阻止!遡るともう9月前半からTop10にランクインしている曲で、変動が早いUKチャートにおいてこれはかなりロングヒットしている曲だといえます。しかも、その間ずっと順位を上げ続けていて、3週間前からもう2位まで上がってきていました。ただ、時を同じくして3週間前からケニヤ・グレース氏の "Strangers" もピークに達していて、なかなか同曲から1位を奪い取ることができない状態が続いていた感じです。今週、ついに "Strangers" を抜くことに成功するも、残念ながらテイラー・スウィフトのアクションに1位を阻まれ、とにかく運が悪い!今後は6位以下の勢いある新曲群に抜かされてしまう可能性も高いので、1位は難しそうです...。💦

 

#4> 先週まで3週間連続で1位をキープしていた、新人ケニヤ・グレースの "Strangers" は4位まで下がりました。とはいえ、1位を奪還できる可能性は全然ありますし、快挙は快挙です。なお、全米チャートではダンス / エレクトロニック・ソングとしてもカテゴライズされていて、気になったのでそれを意識して聴いてみましたが、そこまででもなくない?...というのが正直な感想です。確かにそれっぽいパートはありますが、ダンス・ソングとして期待して聴くとちょっと期待外れだと思います。ダンスというより、メロディはオルタナティブ・ミュージックのような気がしますね。

 

#5> 再び『1989』再録版の曲がランクイン。これにより、スリー・ソングス・ルールによるテイラー・スウィフトの上位3曲はすべて『1989(テイラーズ・ヴァージョン)』収録曲となりました。つまり先週3位だった彼女の "Cruel Summer" は今週一気にチャートから消失してしまったわけですが、実はけっこう惜しい戦いになっていたと思われます。先週のUKチャートは、1位がケニヤ・グレース "Strangers"、2位が Casso "PRADA with レイ & Dブロック・ヨーロッパ"、3位がテイラー・スウィフト "Cruel Summer"。このうち1位と2位は『1989』の "Is It Over Now?" と "Now That We Don't Talk" に押されて今週は4位と3位に落ちているので、今週5位は繰り下がりで "Cruel Summer" になる可能性も十分ありました。それを、結果フロム・ザ・ヴォールトの "Slut!" という曲が打ち負かしたわけですね。細かいことですが、自分はこういうところにも楽しみを覚えます。注目ポイントの2、満足しました。

 

#6> 長ったらしいレビューが続いたので、これ以降はもっと簡潔に...。テイト・マクレーさんのヒット中の新曲 "Greedy" は、最高位が3位で現在はやや停滞しています。なんだそれ?と言われそうな感想ですが、何とも現代的なポップ・ソングだなと思いましたね...。ポップ・ミュージックは特に現代的とか意識せずに聴いていましたが、たまにちょっと前のポップ・ヒットを聴くと違いがよく分かります。専門的知識が無いのでうまく説明できませんが、とりあえず今は "Greedy" がスタンダードなのでしょう。

 

#7> Tylaさん、アフロビートの新星!!ビジュアルからアメリカのR&Bアーティストかな?と思ってましたが、それにしてはイギリスでの伸び率が良いので少し不思議に思っていたところ、アフロビートの歌手だったことが分かり納得しました。アフロビートはR&Bに似ていますが、アフリカの音楽で、バズったものはけっこうワールドワイドにヒットします。今年はジャンルとしてはレマの "Calm Down" とリビアンカの "People" に次ぐ3曲目のUKTop10。アフロビートはどのTop10入り曲もとれそうでとれてなかったUK1位、この "Water" で初の快挙なるでしょうか。

 

#8> そうですね...、上位のヒット曲すべてを聴いているわけでは決してないのですが、とりあえず今週のTop10ではこの "BADDADAN" が一番好きかもしれません。先月はフレッド・アゲインの "Adore U" が一番好きだったのですが、思いの外チャートでは短命で、ランクダウンが早かったのが意外で残念でした。...まあ、それは置いといて、ベテランEDMデュオ、チェイス + ステータスの "BADDADAN" がロングヒット中です。無秩序のように思えるダンス・トラックですが、一応分かりやすい繰り返し(リフレイン?)もあって、今はそういう曲が好きなのかも。🥁

 

11位以下

> 気になったこととして、ハロウィンのチャート・アクションがあります。近々各年のそれをまとめてみようと思っているのですが、今年はシングル・チャートTop40に6曲、全体に9曲それらしいものが見つかりました。それらしいもの、というのはハロウィンの影響でストリーミングやセールスが上昇し、チャートにランクインしたと思われる曲です。お化けや血、といった概念が含まれる曲がほとんどですね。マイケル・ジャクソンの「スリラー」が毎年代表格で、最有力なのですが、今年は20位でした。けっこう高いです。また、先述したオリヴィア・ロドリゴの "Vampire" も、ハロウィンの影響かどうかは定かではありませんが18位から17位に微妙に上がっています(6曲の中にカウントはしませんでしたが)。一方サブリナ・カーペンターの "Feather" は圏外でしたが、出身がアメリカなので本国のチャートでは何かあるかもしれません。ともかく、意外と興味深かったハロウィンのアクションでした。🎃

 

アルバム・チャート・レビュー(一瞬)

> テイラー・スウィフトの『1989(テイラーズ・ヴァージョン)』が安定の1位!シングルは思いの外1位が少ない彼女ですが、アルバムは4thアルバム『レッド』から10thアルバム『ミッドナイツ』まで7作連続で1位が達成されており、再録版もこれまでにリリースされた4作すべてが1位をとっています。つまり、今回で11枚目の1位となっていて、これに関してはアメリカの記録と大差ありません。自分の、テイラー氏は最近になってようやくイギリスでもトップ層に躍り出てきたんだという感覚は、まったくの錯覚でした。💧

> ローリング・ストーンズやデュラン・デュランといった大御所の新作を挟んで、懐かしい名前をアルバム・チャートで見ました。2005年に「ユア・ビューティフル」で大ブレイクしたジェイムス・ブラントです。新作『フー・ウィー・ユースト・トゥ・ビー』が5位に初登場していました。個人的に一発屋の印象があった彼ですが、出身のイギリスではまだまだ大人気です。「ユア・ビューティフル」、めっちゃ好きでしたね。同曲を収録した彼のデビュー・アルバム『バック・トゥ・ベッドラム』も持っていて、他にも "Tears And Rain" とか "Wisemen" とか好きな曲がいっぱいあります。『バック・トゥ・ベッドラム』以外のアルバムも買って、彼の軌跡をちょっと知りたい気分にもなりました。

> 最後に、よく見たら今週はTop10中6作が初登場の新作アルバムであることに気づきました。イギリスではローリング・ストーンズに敗れ2位でしたが、アメリカではつい最近奇跡の1位を成し遂げたブリンク182様の『ワン・モア・タイム』も、一気にTop10落ちです。相変わらず激戦区ですね...。以上、アルバム・チャート・レビューでした。

 


 

ああああ、ジェイムス・ブラントが懐かしい...!!!

そして、チャートを見すぎて忘れていたこの感覚、一人のアーティストをアルバムを買って知る感覚!!

追う、とは違う。買うのは過去作だから、知る、の方が近い。

割と新作ばっか買ってたからなあ、この頃...。しかもチャートを由来としてだから、買うものも自ずと限られる。

🐍 今月のUKチャート・レビューは以上です!読んでくださった方、ありがとうございました! 🐍

 



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