なにぶん、なりゆき なもんで
、・ 改め らくごしゃ の なりゆき(也がついたり、つかなかったり)
『腹がへったあ!』 Si vis pacem,para bellum. 大杉栄
或日(あるひ)。
A、お互いに仲善く暮してるんで嬉しいよ。見給え、今日こんな善い棒を買った。
b、本当に善い棒だ。頭あぶち破るには持って来いだ。お互いに仲の善いのはお目出度いよ。俺も一ツそんな棒を買って来よう。
数日後。
A、あの棒は野蛮人に遣っちゃった。考えて見りゃ、棒で殴り合うなんて、あんまりひどいからなあ。その代わりこんど剣を買って来た。棒よりゃ振り回すのにも楽だし、見た処もよっぽど立派だ。こうして皆んな仲善くして暮してるんで何によりだよ。
B、成程こりゃ善い剣だ。俺れも早速買って来るとしよう。尤もウチには金が無くって困ってるんだが‥‥‥
また数日後。
A、オイ、早く見に来いよ。こんどは鉄砲を買って来た。剣なんかより何(ど)れ程有力(まし)だか知れやしない。しかしまあ蔵(しま)って置こう‥‥‥お互いに平和に暮してるんだからねえ。
B、善い鉄砲だなあ。俺れも一つ買って来よう。
B家に帰り、その妻に向かい、
B、鉄砲を買うんだから少し金をくれい。
妻、鉄砲?お前さん、気でも狂いやしないかえ。ウチにゃ子供の着物を買う金もありゃしないんだよ。
B、じゃ少し借りて来いよ。
妻、だって、もう質に置くにも、何んにも剥ぐものあないんだもの。
B、今に子供共が大きくなったら、俺達の借金を返してくれらあ。早く何処かへ行って借りて来い。
子供等泣き叫ぶ。
腹がへったあ!
B、黙れ、餓鬼共!手前達ゃ餓死するまで腹減らしていりゃ善いんだ。愚図愚図ぬかすとぶち殺すぞ。
母と子供等と相抱いて泣く。
腹がへったあ!
(『腹がへったあ!』大杉栄 『近代思想』第一巻第七号、一九一三年四月一日 )
腑に落ちる言葉
「いまの日本政府のような
透明性がなく、コミュニケーションが
取れない政府が主導する
脱原発政策より、
フィンランド政府がやってる
原発のほうがいい」 高橋源一郎
本を読んでいたら、
原発について、高橋源一郎氏がこう言ったのだ。
原発だけでない、
現政府の次々と決める政策、法案の
喉に詰まった気持ちの悪さの正体が腑に落ちた。
ひとつのモヤモヤはすっきりしたが、
しかし、本来の問題はすっきりしてない。
問題は、
高橋源一郎氏の言う
「透明性のなさ」と「コミュニケーションの不能さ」
なのだ。
つまり「信頼性のなさ」となる。
この問題はそうそう簡単には解けない。
東洋大日本国国憲按ノコト 主権在民への近道
東洋大日本国国憲按(日本国国憲按)
1881年8月 植木枝盛 起草
第五条
日本ノ国家ハ日本各人ノ自由権利ヲ殺減スル規則ヲ作リテ之ヲ行フヲ得(え)ス
第七十一条
政府官吏圧制ヲ為ストキハ日本人民ハ之ヲ排斥スルヲ得、政府威力ヲ以テ擅恣暴逆(せんしぼうぎゃく)ヲ逞(たくまし)フスルトキハ日本人民ハ兵器ヲ以テ之ニ抗スルコトヲ得(う)
第七十二条
政府恣(ほしいまま)ニ国憲ニ背キ擅(ほしいまま)ニ人民ノ自由権利ヲ残害シ建国ノ旨趣(ししゅ)ヲ妨(さまた)クルトキハ、日本国民ハ之ヲ覆滅シテ新政府ヲ建設スルコトヲ得
第百十四条
日本連邦ニ関スル立法ノ権ハ日本連邦人民全体ニ属ス
擅恣〘名〙 (形動) ほしいままにすること。また、そのさま。わがまま。きまま。
内閣総理大臣岸田文雄、世が世なら、
解散権が全てではなかったのだ。
国民の側に、握られていたのだ。
民主的也。
『情報隠蔽国家』 (第1章)
『情報隠蔽国家』 青木理 著
この国を覆い尽くす非道さ、その日常。
ひとつのドキュメンタリー映画を観ているようで、
いままでのこと、重いものを、あらためて、感じる。
青木さんが云うように、まさしく、酔狂。
残念ながら、酔って狂わなければ、
拙いながら、日々を送れはしない。
主な登場人物(登場順)
○ 現職 ● 当時 ◇ 現在、訴訟も含めどうなっているのでしょか
● 官房長官 後藤田正晴
○ 共産党参院議員 仁比聡平
● 防衛相 中谷 元
● 統合幕僚長 河野克俊
● 米陸軍参謀総長 レイモンド・オディエル
● 内閣総理大臣 安倍晋三
◇ 統合情報部 3等陸佐 大貫修平
○ フリージャーナリスト 青木理
● 森友学園理事長 籠池泰典
○ 加計学園理事長加計孝太郎
● 文科省事務次官 前川喜平
○ フリージャーナリスト 布施祐仁
● 防衛事務次官 黒江哲郎
● 陸上幕僚長 岡部俊哉
● 防衛相稲田朋美
● 米軍統合参謀議長 マーティン・デンプシー
● 米国防副長官 ロバート・ワーク
● 米海兵隊司令官 ジョセフ・ダンフォード
● 米空軍副参謀総長 ラリー・スペンサー
● 米国大統領 ドナルド・トランプ
しかしこれも、
国会やメディアで
大して問題視されていない。
暴政
『暴政 20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』
(ティモシー・スナイダー著 池田年穂訳 慶應義塾大学出版)
目次から興味が湧くと思います。
見開きの刺さってくる言葉と、20タイトルを載せます。
手に取りたくなると願いたい。
「政治においては、騙された、というのは言い訳にはならない。」
ーレシック・コワコフスキ
1)忖度による服従はするな
2)組織や制度を守れ
3)一党独裁国家に気をつけよ
4)シンボルに責任を持て
5)職業倫理を忘れるな
6)準軍事組織には警戒せよ
7)武器を携行するに際して思慮深くあれ
8)自分の意志を貫け
9)自分の言葉を大切にしよう
10)真実があるのを信ぜよ
11)自分で調べよ
12)アイコンタクトとちょっとした会話を怠るな
13)「リアル」な世界で政治を実践しよう
14)きちんとした私生活を持とう
15)大義名分には寄付せよ
16)他の国の仲間から学べ
17)危険な言葉には耳をそばだてよ
18)想定外のことが起きても平静さを保て
19)愛国者(ペイトリオット)たれ
20)勇気をふりしぼれ
とあります。
歴史から「暴政」を俯瞰させてくれる。
示唆に富む歴史的事実とその事実に関する言葉が沢山ある。
あげれば、すべて、得意のコピペ職人になってしまうくらいに。
あえて、例えば、
18)想定外のことが起きても平静さを保て、から
ジェームズ・マディソンの、
「暴政は「何らかの好ましい非常時に」姿現すのだ。
ハンナ・アーレントは
「私は、誰であれ単純に傍観者たりうるという意見にはもう与(くみ)しない」
このふたつを取り上げたが、こんなものじゃない、
一人ひとりに、届く言葉が沢山ある。
かといって、すべてを肯定する必要もなく、
疑問に思い、引っかかるところは、問題点として、
課題というと宿題みたいですが、
違和感として、とどめればいいのではないでしょうか。
ティモシー・スナイダー著
『ブラックアース』『ブラックランド』も読んでみたい、
好奇心をあおる、そんな一冊でした。